助けに行く
オリバー・ストーンという監督がどうも苦手だったが、「絶望に効く薬」というインタビューマンガに出ていたのをたまたま読み、ちょっとばかし興味が出たので、「ワールド・トレード・センター」を今頃見てみた。
でもよく考えたら、ニコラス・ケイジファンなんだから、もっと早く見なきゃいけなかった。
で、これは9.11で瓦礫の底から奇跡の生還を果たした2人の警官の実話なのであるが、助かった2人の話よりも、生死不明の夫を待つ妻や、彼らを命がけで助けに行く救助隊の人たちの姿が脳裏に焼きついてしまった。
特に救助隊員。仕事とはいえ、他人のために身を犠牲にしてまで助けに行くなんて。たった2人のために何人か死ぬかもしれないのに、それでもやらねばならないほど命は重い。
オリバー・ストーンは、そこで亡くなった大勢の人のことではなく、助かった2人のことを映画にすることで、悲劇や憎しみよりも希望や人の優しさを描こうと思ったのだという。ここらへんの発想は、笑いと希望で患者を救おうとしている医者パッチ・アダムスと同じだ。
それにしても、他国で戦争をしてばかりのアメリカは、真珠湾攻撃といい、自国では奇襲されてばっかりだな。
この映画は、生き埋めになっている人がいて、その人を待っている人がいて、その人を助けに行く人がいるという、ただそれだけのシンプルな物語だ。困っている人がいるから助けに行く。命があるからまだ生きていたい。昔はよくこういう脱出系のパニック映画があり、それをありえない出来事として単に楽しめばよかった。しかし、現実がフィクションを上回ってしまった今では、身近なものとして身に包まされるなあ。娯楽性やカタルシスがあるにしても。
でもだからこそ、奇跡がウソっぽくないし、それが尊いことだと思える。
ところでニコラス・ケイジ、笑わないところが相変わらずステキ。




