1年かけてあそぼう
私が絵本を選ぶポイントの一つに、「自然」がある。季節のうつろいや自然の中の暮らしを、あるがままに淡々と描いたもの。「自然の大切さ」を啓蒙的に主張しておらず、ただ自然の美しさや素晴らしさを伝えることで、読み手の心に「自然と共に生きたい」という想いを湧き起こさせてくれるもの。特に森が舞台になっているものに、強く吸い寄せられてしまう。
だって、ないんですよ。周りに自然が。かといって、自然あふれる環境(つまり田舎)では、映画だの演劇だのが好きな私はとても暮らせそうにないし…。だから、私がそういう絵本を手元に置きたがるのは、夢や憧れからきているんだと思う。
しかし、そんな疑似体験を絵本(本)に求めようとすると、おのずと「昔」や「田舎」が舞台になったものが多くなる。ま、そうやってノスタルジーに浸るのも悪くはないが、「結局自分のいる世界にはないんだ」と気づかされたりして、たまにむなしくなるんだよなあ。
そんな中、ロートラウト・スザンネ・ベルナー「さがしてあそぼう」(ひぐま出版)シリーズは、今までになかった面白さ。ストーリー性が織り込まれた「ミッケ!」のような、うーん、いや、ちょっと違うかな。春夏秋冬の4冊に分かれているこの本には、四季折々の町の風景や、そこで生活する人々の1年間の暮らしが細かく描写され、そこには自分が肌で知っている季節感があるのが嬉しい。
この本のユニークなところは、ページいっぱいに描かれている生き物や人間たちの行動を、場所を移動することで、また季節を移動することで、その背景にある物語を想像しながら読んでいけることだ。
例えば、同じ場所を開いた4冊の本を並べると、春に着工された幼稚園が秋に完成していたり、図書館やデパートの催しが季節で変わっていたりする。また、1冊の中をじっくり見ると、例えば、道でバナナを踏んで転んだAさんにもストーリーがあり、そのバナナを捨てたBさんにもストーリーがある、という具合い。ええっと、わかるかな?
とにかく、登場人物のキャラクターがはっきりしているので、行動を見ているだけでも楽しい。
さあ、百聞は一見にしかず。ちょっと大型本ではありますが、丈夫な作りなので、子供が乱暴に何度めくってもOK(たぶん、それに耐えられるように作られている)。我が家では、春に「春ものがたり」を買うという風にして、1年かけてそろえた。子供がめざとく…いや、観察力が伸びること請け合い!
著者:ロートラウト・スザンネ ベルナー
さがしてあそぼう春ものがたり
販売元:ひくまの出版
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