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2008/01/30

私の遺影

先週NHKの番組「クローズアップ現代」で、「明るい遺影を撮る」という試みをしたケアホームが紹介されていた。

生きているうちに遺影を撮るなんて、縁起が悪い。そんなことをしたら、お迎えが早く来てしまうのではないか。そう思う人もいるかもしれないが(実際に番組の中で、そう思って抵抗感を示したおばあちゃんがいたが、結局撮影する気になり、その写真をものすごく気に入っていた)、今は、「霊前に飾ってもらう自分の遺影を自分で選ぶ」という考え方に賛同する人の方が多い気がする。

というのも、ちょうどこの前「遺影、撮ります」という本と出会い、案外みんな「自分の遺影を人に選んでほしくない」と思っているんだなと思ったからだ。

その本の中には、「今日は、遺影を撮ってもらうのには最良の日だと思って」とコメントしている方もいて、うーん。時代は変わったと感心。その写真はハッとするほど美しかった。だって、病床でやつれた姿を撮ってもらうわけにもいかないし、若い頃の写真はたくさんあっても、年をとったり、ましてやホームにいたりしたら、写真を撮られる機会は少ないでしょう。

実は私も、遺族が選んだ「いかにもスナップ写真から加工しました」という写真を見て、故人はこの写真でOKなの?と思ったことが何度かあった。

この先ずっと「生前の自分」として仏壇に飾られ、拝まれていく大切な遺影。自分はもう死んでいるけど、その写真は自分のお気に入りの写真がいい。その写真の自分で覚えておいてほしい。そう思っている人も多いはず。だから、そのための「遺影撮ります」である。

しかしこれも、お迎えが近い人たちがやるからこそ「明るい遺影」となるわけで、番組でも、自分の遺影を見て「これならいい」と満足気に話すおじいちゃんおばあちゃんがいたが、もうそんな境地なんである。

でもよく考えたら、自分の意志で遺影を撮ることができるなんて幸せだし、そういう機会を与えられたことはすばらしいことだ。

ところで、「自分で遺影を用意する」という行為で思い出すのが、「夢千代日記」「八月のクリスマス」という映画である。

どちらにも、不治の病にかかって余命いくばくもない主人公が、そのことを誰にも言わず、写真館でこっそり自分の遺影を撮るシーンがあって、何しろ2人がまだ若いものだから、そこには悲痛な哀しみがある。無念やろうな…。

私の記憶では、彼らの遺影は感情を押し殺した証明写真みたいだった。写真家と思い出話をしているうちに、つい笑顔がこぼれてそこを撮られた「明るい遺影」とは全然違う。

自分のお墓や葬式代を用意しておくのもいいけど、写真もね。


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2008/01/24

エンジェル

女を描いた映画を作らせたら右に出る者がいないのが、ゲイの監督である。ペドロ・アルモドバルしかり。

そして、フランソワ・オゾン。

ああ、
あともう1人いたら、3人衆になるんだけどな(何でも3人衆にするのが好き)。誰かいない?

とまあ、要は、オゾン監督の新作「エンジェル」を見に行ったという話なのであるが、こんなベタなメロドラマ(しかも悲劇)が、この人の手にかかるとなぜこんなに面白いのかと、今更ながらにセンスを感じた次第。前作「ぼくを葬る」をしのぐパンチは食らわなかったにせよ、映画館にまで足を運んでよかったかなと。

「私にはベストセラー作家になる才能がある!」と信じて疑わない高慢なヒロインが、ほんとにまあ、なんてヤな女だと思いつつ、その自信を武器に成功への階段を登っていく様が快感でもあり、こういう現実が見えない(見ない)才能は現代女性にもありがちゆえ、若干の共感も覚えつつ、人生ってなんだろう?幸せってなんだろう?というありがちな問いかけも頭をかすめたこの作品。

エンジェルってば、自分の人生を小説にすればよかったじゃん!そうすれば、近代私小説の先駆者になれたかもしれないのに!

結局この人は、創作にではなく愛に殉じたところに、限界があったのね。

シャーロット・ランプリングが、チラチラっと出て、そこにいるだけで、なにかこうただならぬ雰囲気を漂わせるこの女優が、作品をピリリと引き締めている。

うーん。ゆずこしょうのような人だ。

エンジェルの傍若無人な言動にピクピクッと血管を浮き立たせる様子が、うまい!

一方、メガネをかけてヒゲを生やしたサム・ニールが、シャーロック・ホームズに出てくるワトソンのイメージにピッタリ。こんな人だったっけ?私にとっては、女性に振り回される役しか思い出せない役者だけど、こういうタイプの俳優もなかなかいそうでいないなあと思ったり。

あと、エンジェルの夫役の男優の目つきが、小林薫にソックリ。なので、小林薫にもきっとできる。エンジェル役は田中裕子。シャーロット・ランプリングの役は加藤治子。

ん?向田邦子ドラマ?

などなど、こんなことばっかり考えながら映画を見ている私である。

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2008/01/22

座頭市の芝居

去年の年末の話になるが、三池崇史演出の芝居「座頭市」を見に行った。

コンサートや映画に行くのは日常的な私も、こと芝居となると体験が少ないこともあり、劇場に着くとワクワクして緊張する。

そうそう、長い間忘れていたな~。この刺激的で高ぶる気持ち。ソワソワしてしまうのが新鮮だ。

主役は哀川翔でたぶん初舞台。準主役が阿部サダヲと遠藤憲一。あとは知らない役者ばかりで、マドンナ役の女優は宝塚出身ですかねえ(芝居がかったところがそんな匂い)。

で、三池崇史といえばアクションでしょう!

火事場での殺陣というクライマックスシーンでは、思わず「おおっ!」というタメイキが。

ちなみに私の右隣のおじいさんは、休憩時間になると芝居の文句をブツブツ言い、上演中は退屈そうにほとんど寝ていた。左隣の和服姿の女性は、身を乗り出しながら拍手をしたり笑ったり。心底この芝居を楽しんでいる様子がステキ。

でも、芝居ってセリフが聞き取りにくいわ。特に男性の声が。邦画でもたまにそうだけど、私の耳が悪いのかな。

哀川翔はちっこかったが、共演した阿部サダヲと長門裕之(うまい!)もちっこかったので、さほど気にならず。思った通り「気のいいアニキ」という風情で、最後らへんになると、疲れたのか、歩き方が目の見える人みたいになっていた。


意外だったのは、遠藤憲一である。こんなに「かっこ悪い男だけどカッコイイ役」をしているのを初めて見たよ。

今度は美輪明宏の「黒蜥蜴」を見に行ってみたいと思う。話のネタに…いや、一度この目で実物を…という好奇心から。

そういえば、「うちも行きたい」とダタをこねた娘(阿部サダヲファン)を、今回は連れていかなかった。だって値段が高いし、話が座頭市だし。でもいたんですよ。小学生の女の子がお母さんと一緒に!ちょっとジェラシー。

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2008/01/20

好きな写真家

私はあまり写真集を買ったり見たりしないのだが、べつに写真に興味がないわけではない。絵ハガキのような写真(特に動物や風景)や、すんごい場所に行って撮ったすんごい写真には、どうも心が動かされないだけである。

好みはモノクロ。人間が映っているとなおよい。

でも写真集は、写真がどうしても左右ページに割れてしまうのが難点。大きい写真が真ん中で折れてしまい、全体像がよくわからない。本だから仕方がないけど、あれがしらけてしまう。

でも、何度も眺めたくなるような写真集があればなあ。一人くらい好きな写真家がほしいなあとつねづね思ってはいた。

そこで、植田正治に出会ったわけですよ。

福山雅治が敬愛し、植田正治写真美術館オープン時には自作の曲をオルゴールにして捧げた鳥取出身の写真家。

鳥取砂丘に人物を作為的に配置して、不思議な空間を作り上げた代表作品を最初に見た時、そのキリコの絵のような、現代アートのような、ちょっと不気味で楽しくて、遠い昔の原風景を思い起こさせるノスタルジックな作風のとりこになってしまった。カッコイイ!中央志向でないのもいい。

残念ながらもう亡くなっていて、でも最近著作や作品集がどんどん出ているような気がするけど、なんでかな。

お陰で、これで私の好きな爺ちゃん3人衆がそろったそろった。植草甚一。長沢セツ。植田正治。みんな故人なのが、ちょっとさびしいのう。私が好きになる作家は、なぜほとんど死んでいる人ばかりなの?

写真集といえば、これは写真家によるものではないが、森村泰昌澤田知子の作品も好きである。体を張ったセルフポートレイト。

どんな写真かは、百の言葉よりも一見にしかず。店頭ではあまりお目にかからないと思うが、機会があればぜひ。


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2008/01/16

つつましく豊かに

今、毎日「大草原の小さな家」をDVDで見ている。1日3話ずつ。

娘も、「アニメを見なくてもいいから、これを見たい」というほどのお気に入り。メアリーとキャリーが好きらしく、メアリーには憧れを、キャリーにはかつての自分を投影しているようだ。ローラには興味なし。父さんが時々上半身裸で働いているのを見るたびに、「なんでだ」と不思議そう。

ところでこのDVDでは、吹き替えが時々字幕になるんだな。吹き替えの声が残っていない箇所があるんだって。

なので、途中でいきなり英語になる時があって、気分がそがれる。ああ、こんなことなら、昔コツコツと録りだめしたテレビ放映のビデオをとっておくんだった。

このドラマは昔何回も再放送をしていたので、私も何回も見ているはずだけど、今になってまた久しぶりに見てみると、それなりに新しい発見がある。

出っ歯だと思っていたローラの前歯が永久歯で(その隣の歯が抜けていることも)、いじわるなオルソン夫人も、虚栄心が強いだけで人情のわかる人だとわかったり。

そう。根っからの悪人のいない世界。

困っている人がいたら自然に助け合い、誰かを思いやることが特別でもなんでもなかった時代。

メアリーもローラのも、なんでこんなにいい子なんだろうねえ。

それに、インガルス一家のつつましく豊かな生活を見ていると、自分の周りにゴチャゴチャとあふれているたくさんモノを捨ててしまいたくなる。必要なものだけ最低限。それも、本当に気に入ったものだけを大事に。そんな気持ちになる。

そして、こう見えても実は涙もろい私は、働く父さん母さんの姿に泣き、健気で賢いメアリーとローラーの姿に泣き、いや実際には、「子どもの前で泣くのはちょっと」という自制心で涙を必死でこらえているわけなので、これがけっこうつらい。

そうしてDVDはまだまだ続き、毎日「うう」と心で泣いている私である。

本当に最近は、美しいもの、誠実なもの、尊いもの、優しいものに触れると、涙腺がゆるんでしょうがない。涙もろくなるのは老化現象の一種かもしれないが、大人になって、それがどんなにすばらしくて貴重なものかを知っているから、感極まって自然に涙が出てきてしまうのだと私は思う。

なので、恋愛映画や人が死ぬ話ではびくともしない私の涙腺が、電車の中で妊婦に席を譲る鼻ピアスの兄ちゃんを見ただけでも涙目に。

そりゃ、悲しくて涙を流すよりはいいに決まっているけど、大丈夫か?私。

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2008/01/14

ヘアスプレー

ミュージカル映画は理屈抜きに楽しめるが、私にとってそれはダンスシーンが楽しいのであって、ストーリーは二の次。物語は、踊って歌うための装置に過ぎない。

だからもし、ダンスシーンだけを抜粋したDVDがあれば、それを買う。だって見たいのは歌とダンスだけなんだし、往々にしてミュージカルのストーリーはかったるい。インド映画しかり。

そして、このリメイク版「ヘアスプレー」しかり。

それにしても、これはオリジナル版と別物だとはいえ、ここまで歌とダンスで埋め尽くさないといけないのかなあ。これでもかこれでもかと。舞台だったらこれでよいのだが、スクリーンで見ると、なんだかやりすぎじゃないかと思わないでもない。踊りのタイプが、全部似ている。

そもそもオリジナル版の毒気が好きな私は、ジョン・トラボルタが出ていなかったらたぶん見ていなかった。

巨体に化けた女装トラボルタが、いつトラボルタになるのか。つまり、トラボルタがトラボルタに戻ってトラボルタのダンスを踊る。必ずその一瞬があるに違いないと、それを見たさに私は映画館に出かけたのである。

で、その一瞬はやはりきました。最後に。

遅い!

でも、その瞬間があったのが嬉しい!

私には、スカートをはいた巨漢トラボルタの向こうに、「サタデーナイト・フィーバー」や「グリース」のトラボルタが見えたね。

ほんとにすごいな、この人は。

もう1つのお目当ては、我がクリストファー・ウォーケン。

しかし、スクリーンでお目見えするのが久々なので楽しみでもあり、役どころからみて不安でもあり。でもまさか、ウォーケンも踊るとは。

もともとミュージカル俳優を目指していたとかで、本人は嬉しそうだったけど、ファンとしては複雑。それになんだか笑いをとるシーンまであって、何やらせんだよ~。とほほ。

でもこれが見納めだとしたら、それはそれで花むけに。

ところで、オリジナル版の監督が最初の方でチラッと出ていたのを、一体何人の人が気づいただろう。露出狂の役。サイコーです。

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2008/01/12

コケの中の宇宙

本業とは別のジャンルで、精通している趣味があると、いいよね。仕事の幅も広がるし、そういう仕事は本業とは違うから、手を抜くというんじゃなくて肩の力が抜けていて、マニアックなファンが楽しんでやっているようなノリがいい。

例えば村上春樹でいうと、マラソンや音楽。そして、田中美穂さんのコケ。

倉敷で古本屋「蟲文庫」をやっている彼女はコケが大好きで、それを知った時には「古本とコケって妙に味わいがマッチ」と思いつつ、面白そうな人だな~と勝手に親近感を感じていたのだが、最近「苔と歩く」という本を出版されたので、つい買ってしまった。

苔に対する愛情があふれ、それでいて気軽な入門書にもなっているありそうでなかった本。コケを専門にしていない人だからこそ、作ることのできた本。

コケ専門家が書いたものではないから文章もひかえめながらも、時々クスッと笑えるユーモアがあって、「メガネにみつ編み」という見事な文科系女子ファッション(写真が載っている)の彼女が、つまり永遠の文学少女が、大人になった今でもクラブ活動でコケを観察しているような、よくわからんがそういうイメージが、この本を読んでよりくっきりと私の中で定着。

そういえば、クラスの中でいたいた。こういうタイプの女の子。めだたないけど、自分の世界をしっかりもっている子。友達になりたいタイプ。

コケもいいけど、行ってみたいな。蟲文庫←この店名からして、若い女の子がやっているとは思えないところがステキ。

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2008/01/10

スノードームの雪

去年は暖冬ということもあったのだが、ただでさえほとんど雪が降らない大阪で、私は去年一度も雪を見なかった。


いや、実際にはフケのような雪がチラチラ降ったらしいけど、私は見なかった。

冬なのに雪を見ないなんて!

これがけっこうショックでねえ。

私は自転車族だから、雪が迷惑な時も確かにある。でもやっぱり冬に一度は雪を見ないと、忘れ物をしたみたいで寂しい。面白くない。

そんなこともあって、雪国の人には怒られそうだが、ますます雪が恋しいこの冬。

そこでせめて、というわけでもないが、スノードーム、いいよね。できれば集めてみたい気もするが、現在我が家にあるスノードームは1つ。

これが変わったスノードームで、中身が半分に仕切られている両面タイプデザインだ。そして、雪が小さい模型の上に降るのではなく、絵をバックにして降るのである。製作者はナタリー・レテ。これを通販で購入した時には、彼女がそんなに有名なアーティストだとは知らなかったのだが、最近本が出たのでビックリ。

東京にはスノードーム美術館があるそうだけど、なるほど。雪をあまり見ない都会には、こういう美術館が必要かもしれない。

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2008/01/09

2008年は

ちょっと遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。どんなお正月をお過ごしでしたか?

私は部屋の模様替えをしてました。カラーBOXを一気に5つ購入し、本の整理など。映画チラシも国別から50音順に並べ替え。わりと好きです。こういう作業は。

ついでに、ベランダでドライフラワーになっていた草花も抜きました。

ちなみに今年の目標は、①早起きをする②原稿を書く③ダシをひくです。

①については、去年はやりたいこと、やらないといけないことがいっぱいあったのに、ほとんどできんかった。それはやっぱり絶対的に時間が足りないからだと痛感。

このままでは、このままで人生が終ってしまう。でも、成長ホルモンのために遅くとも12時には就寝したいので、その代わりにちょっとでも早起きしようかと。目指せ、睡眠時間7時間(今は8~9時間)!ぜいたくな目標でしょうか。

②「シネマチックな夜」を出版してから、早いもので1年。その間にブログなんぞを始めましたが、まとまった原稿にはなってないし、そのブログも現在は中断しがち。

これじゃいかん。いかんでしょう。道楽や思い出作りで、無理を承知で制作費を負担して本を出したんじゃないっす。

そんなことなど、まあ他にもいろいろ思うところもあって、意志の弱い自分に喝!

③まったく別次元の目標ですが、実は私はダシをひいたことがありません。

というのも、基本的に煮物や味噌汁類の和食を作らないんですよ。だって朝はパン食で、夜は酒飲むから味噌汁いらないし。煮物なら日本酒か焼酎だけど、最近はそういうの飲まないし。

って、食卓が酒中心?子どもの存在は無視?

と、年末に少し反省。辰巳芳子さんも、「ダシのひけない人は、結婚してはいけない」とおっしゃってるしね。

あ、肝心な目標を忘れてました。

④カードをなるべく使わない。年末にタカがはずれ、罪悪感を感じつつ本を買いまくってしまった自分をいさめております。今年は貯蓄の年にしたいです。はい。

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