2007/09/17

鈴虫とノコギリ

この連休中に、「サキタハヂメと鈴虫コンサート」というイベントを聴きに伊丹市まで行ってきた。場所は、旧岡田家住宅の酒蔵。ここは現存する日本最古の酒蔵だそうで、もちろんクーラーなし。高い天井に映し出された幻想的なライトと扇風機の優しい風が、そしてノコギリのポヨヨ~ン、ポワワ~ンという音が、観客を心地よい眠りに誘います。

Img178いや、眠れるというのは、人間として最大のリラックス状態ですよ。緊張したり不快だったりしたら、絶対に眠れません。なので、これはほめているつもりですが、どうでしょう。サキタハヂメさんも、「車を運転している時には聴かないように」とおっしゃっておりました。

共演の鈴虫さんたちと時々実験的にかけあいをしながら、ギターや三味線と一緒にノコギリを奏でるサキタハヂメ。先日NHKの番組トップランナーで拝見した通りの方で、一瞬「松山ケンイチ似?」と思ってしまったが、娘に言わせると「松山ケンイチよりもかっこいい」そうで、良い意味で純粋な、好青年という感じ。

今度10月に「世界のこぎり音楽フェスティバル」をやるそうですよ。ノコギリの音って、静かな口笛みたいな、歌みたいな音色だな~。それが眠りを誘う原因の一つかもしれない。

ノコギリのほかにも、この連休中に「鈴虫とハープ」「鈴虫とチェンバロ」などの組み合わせでコンサートがあったようで、鈴虫の町として、がんばっている伊丹市。

ところで鈴虫は、人が大勢集まっていようが、ノコギリが鳴っていようが、おかまいなしに鳴くもんですな。その数300匹。

「これだけで十分。何の楽器演奏もいらんやん」とは、サキタハヂメのコメント。何となく、鈴虫との共演はやりにくそうでした(鈴虫の方がいいからねえ)。

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2007/08/16

日常を音で記録

うちには未だにデジタルムービーカメラがないので、子どもの昔の姿を動画では見られない。

その代わり、声を録音してある。赤ちゃんの時の泣き声。モゴモゴと何を言ってるのかわからないおしゃべり。絵本を読んでいるところ。そうやって声だけを聴いていても、どんどん成長しているのがよくわかる。

銅版画家の山本容子は、旅に出るとカフェや地下鉄で音を録音し、帰国後にそのざわめきを聴いて、その風景や料理の味や匂いを思い出しながら、絵を描くという。細野晴臣は、子どもの頃電車のゴトンゴトンゴトンという音をいっぱい録音して、それをいつも聴いていたらしい。

そのエピソードを知った時、そういう感覚っていいなあと思った。写真や動画とはひと味違った、想像(妄想)の余地が残された世界。

なので、身の回りにある音や自然の音を使って音楽を作る人に、私は特別興味がある。

そこで出会ったのが、阿部海太郎の「パリ・フィーユ・デュ・カルヴェール通り6番地」である。

これはもともと、彼がパリ留学中に、友人たちへのパリ土産として作ったものだそうで、ビストロで流れているBGMや、オペラ歌手の歌声、教会の鐘、夜行列車の案内アナウンスなど、パリの街の音が巧みに織り込まれたプライベート・アルバムだ。常にレコーダーを持ち歩き、異国の「日常の音」を記録していたというが、中には突然レストランの客が歌い出すところが混じっていたりして、その場に居合わせたような臨場感あり。

曲のタイトルを見ると、「アントワープ発パリ行きタリス鉄道」「地下鉄フィーユ・デュ・カルヴェール駅」など、具体的な場所を示すものが二、三曲入っていて、ちょっとした旅気分も味わえるのも楽しい。

ストーリーを感じさせる音楽って、落ち着くなあ。

画像を隠し撮りするのは難しいが、音ならできそう。それに、画像には撮っている当人が写らないけど、音ならしっかり参加できる?

パリ・フィーユ・デュ・カルヴェール通り6番地 Music パリ・フィーユ・デュ・カルヴェール通り6番地

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2007/08/07

うり

奇跡の新人。ミラクルヴォイス。配信の女王。アコーディオンを抱えたシンデレラガール。

彼女を形容する言葉はたくさんあるようだけど、私が興味を惹かれたのは、彼女がアコーディオン以外にトランペットを吹き、なんと美容師としても活躍しているということだった。

中山うり

一体どんな音楽を生み出す人なんだろう。そこで早速デビューアルバムを聴いてみる。ふうむ。なんだか、かわいくて不思議な曲ばっかりだなあ。タイトルも「早起きラジオ」「走る女」とかだし。

それに声が、ミラクルヴォイスという名称からイメージしていたのとは違っていたけど、大人っぽいような男の子っぽいような、どこかで聴いたことのある声で、ヴォーカルがけっこう際立っている。

しかし、彼女が作詞作曲したものに混じって、唯一収録されていた他人の曲が、中島みゆきの「ばいばいどっぐおぶざべい」だったのにはビックリ!私は中島みゆきのファンなので、「お、趣味が合うじゃん」という嬉しさと、「よりによってこの曲を?」という驚きと。

だって浮いてるよ。これ。

でもうりちゃんは、どうしてもこの歌を入れたかったんだね。全曲自作にしてもよかったのに、わざわざこれ一曲だけ。しかもそれが中島みゆきとは。

うーん。中山うり。一筋縄ではいかなさそうだ。今後に期待。

今月末にライブがあるので、行ってみたいなあ。行けるかなあ。

DoReMiFa Music DoReMiFa

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2007/07/20

スペインの夏

暑い夏がくると、無性に聴きたくなるのが、「トーク・トゥー・ハー コンパイルド・バイ・アルモドバル」というアルバムだ。

これは映画監督ペドロ・アルモドバルが、「トーク・トゥー・ハー」の脚本を書いていた時に聴いていたという音楽を集めたもので、いわば「トーク・トゥー・ハー」の裏サントラである。

ペドロ監督は、基本的には脚本執筆中に音楽を聴く習慣はないそうだが、時々孤独に耐え切れず、その時の気分にマッチした曲を徹底して探し出して、それをずっと聴いてしまうらしい。つまりここに入っているのは、そうやって本人が厳選したお気に入りの曲ばかりというわけです。

例えば、「トーク・トゥー・ハー」の中でも実際に流れて強烈な印象を残した名曲「ククルクク・パロマ」(カエターノ・ヴェローゾ)のほか、チェット・ベイカーの「マイ・ファニー・ヴァレンテイン」のようなジャズのスタンダードナンバーもあって、ラインナップはバラエティに富んでいる。「マイ・ウェイ」(フランク・シナトラじゃないので、ご安心を)もあるしね。これを聴きながら、「よし。このまま我が道を進もう!」って勇気づけられたのかなあペドロ、なんて想像すると面白い。

中でも私は、ケバ・フンケラというバスク地方出身の女性ボタン・アコーディオン奏者による「マイティア・ヌン・ジーラ?」が、大好き。どこか憂いのある美しい声と幸福なワルツのメロディが、温かい祈りのよう。いっぺん聴いただけで、えもいわれぬ良い気分になってしまう。

ペドロって、やっぱりものすごいロマンチストだなあ。この歌を聴いただけでも、それがわかる。

監督が製作中にずっと聴いていた音楽を。それをこうして自分も聴くことができるとは、なんて貴重な追体験だろう。その作品を作っている最中の監督の心に少し触れるような、スリリングで面白い体験。

またこういう企画のアルバムが、出てほしい。映像のメイキングはもういいから。

トーク・トゥ・ハー ~イマジネイション コンパイルド・バイ・ペドロ・アルモドバル Music トーク・トゥ・ハー ~イマジネイション コンパイルド・バイ・ペドロ・アルモドバル

アーティスト:映画主題歌,シャーリー・ホーン,ジミー・スコット,ゴールドフラップ,マイケル・ブルック&シヴァン・ガスパリヤン,アルベルト・プラー,カマムリ:アナ D
販売元:ビクターエンタテインメント
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2007/07/13

昭和の雨

しとしと雨です。台風が近づいているので、本当は雨をうっとり眺めている場合ではないのですが、静かです。

こんな日には、昭和歌謡。21世紀にアレンジしなおした昭和歌謡が、いい感じ。私は女性ボーカルが好きなんですが、最近のお気に入りは、華乃家の「たそがれの夢」であります。

ちんどんミュージックを生業となさっている華乃屋姐さんですが、これは、ピアノの優しい響きに乗せてしっとりと。

雨音とマッチして、いい感じです。

昭和歌謡が今もてはやされている要因の一つに、歌詞の向こうにある想いが、さらりと心に響いてくる心地よさがあると思うのですが、その想いがやはり昭和的。

いえ、なんでもかんでも「昭和」という元号で表現してしまわず、ここは「今の時代がなくしてしまった良きもの」と言い換えますが、このような古い歌を聴くと、甘酸っぱくて狂おしい安らぎを感じてしまう私は、昭和の女。そんなあなたは、たとえ平成生まれでも昭和の女といえましょう。

それにしても、昭和歌謡に出てくる女性は、みんな女心が可愛いですなあ。それなので、その歌を口ずさんで様になる華乃家姐さんもきっとかわいらしい女性ではないかと、このCDを聴きながら思うのでした。

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アキ・カウリスマキのサウンド

アキ・カウリスマキの新作「街のあかり」を見た。敗者三部作の最後の作品で、今回は「孤独」がテーマだという。しかしその主人公が、今までと違って男前なのには、驚いたなあ。

まあ、作品の感想はおいおい語るとして、何が嬉しかったって、映画館のロビーで、アキ・カウリスマキ全作品からチョイスされたベストサントラ盤が、売られていたこと!

ひゃ~っ。こういうのを待っていたのよ。2枚組みで3600円。輸入盤みたいだけど、安い!

過去のない男」でクレイジーケンバンドの歌が使われたように、アキの作品で流れる音楽は、骨太でロマンティックで、とにかくカッコイイ。演歌みたいな、歌謡曲みたいな、音源もSPみたいな、日本人には懐かしいサウンド(日本語で歌う「雪の降る街を」が流れたこともあり)で、フィンランド・タンゴも、アルゼンチン・タンゴよりもけだるくてよいわ。

なので、映画を見るたびにいつも、「いい曲だな~」と思っていたのだけど、私の知る限りでは、サントラは「過去のない男」しかなかった。それが今、こうして集大成されたものを聴くことができるなんて、夢のよう。

きっと私のように、アキ・カウリスマキの音楽センスにしびれているファンが、世界中にいたのだ。そう思うと、また嬉しい。

50曲くらい入っている曲のどれ1つとして、気に入らないものがない。初期の作品と最新作との境目がない。音楽のジャンルはロックからオペラまでとバラバラなのに、それが一つのアキ・カウリスマキワールドとして、独特のまとまりをもっていて、改めて感心してしまう。

ジャケットには、映画のワン・シーンのようなアキ・カウリスマキの白黒写真が。


生誕50周年記念で最新作が公開されちゃうほど、こんなCDが売られてしまうほど、日本でもメジャーになったんだなあとしみじみした。

過去のない男 Music 過去のない男

アーティスト:サントラ,ザ・レネゲイズ,タピオ・ラウタヴァーラ,ブラインド・レモン・ジェファーソン,マルコ・ハーヴィスト&ポウタハウカ
販売元:ビクターエンタテインメント
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2007/05/05

てぬぐいサウンド

私はてぬぐいが好きで、台所でも風呂場でもてぬぐいを使っているのだが、なかなか気に入ったデザイン(原稿用紙の柄とかコーヒー豆の模様とか、そういうのがユニークなやつ)のものを店で見つけられないので、通販で買い求めることがある。

そんなわけで、先日も「てぬぐい」でネット検索をしていたところ、てぬぐい(TENEGUIT)という名のバンドを発見。「なんやろ?」と思ってのぞいてみると、アコーディオンとギターの3人組が、なにやら銭湯でライブしている写真が。

「これは面白そう」とビビビッと来た私は、CDの視聴をしてみて、先ほどの直感が確信に変わった。

いいねえ。

のどかでちょっぴりシュールなサウンド。まるで、ニューオリンズでちんどん屋に遭遇したような、春の日の午後に畳で昼寝しているような、よくわからんけど、そんな得もいわれぬ幸福感に包まれる。ひなびていて新しくて、いいわあ。

なので、早速メールして、CDを取り寄せてしまいました。HPには1枚100円って書いてあったけど、手作りしたものなので送料だけでいいと言ってくださり、感謝。

なんでもない日常を切り取ったフォークのような歌詞に、アコーディオンの異国情緒的な音色がミックス。何だか不思議な世界だな。カヴァー曲のアレンジも面白く、中でもショパンのワルツには、感激!

「ながいきワルツ」の「お茶、昼寝、散歩~」の歌詞が、しばらく頭の中をぐるぐる回る(最初「オッチャン、昼寝、散歩」かと思った)。

音楽もさることながら、私はこういう仕事をしている人たちが好きなのよ。彼らのような人たちとほんの少しでも触れあうことで、大嫌いな「組織」というものに仕方なく属している我が身を、自分なりになぐさめているところがある。うう。

TENEGUITは東京で活動しているバンドのようで、でも関西方面での仕事が多いとか。ぜひ機会があれば、行きたい。そして、てぬぐいを投げたい!(TENEGUITメンバーも、てぬぐいを集めているそうです)。

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2007/01/25

歌うベッシー

昨日ヴァイオリン奏者である友人に招待され、梅田までコンサートを聴きに行ってきた。「Dream Live 2007」という毎年阪急三番街が提供しているコンサートで、今年のゲストは、K(ケイ)、ピーボ・ブライソン、リサ、小柳ゆき。そして司会が、別所哲也だった。

正直言って、普段あまりR&Bを聴かないし、いかにも歌姫的な歌い上げが好きではないので、今回のゲストも半分しか知らなかった私。でも、うーん。ライブで聴くバラードはやっぱりいいねえ。大人のコンサートという落ち着いた雰囲気もくつろげる。久々だなあ。こういうの。

5歳の娘も一緒だったが、靴下を脱いであぐらをかき、持参したパン(夕飯)をほおばりながら、最後まで大人しく聴いていた。

Kが歌ったビリー・ジョエルの「オネスティ」とガーファンクルの「明日に架ける橋」が、どっちも高校の英語の授業で聴いた歌だったので、ついあの頃の思い出に頭が飛んだが、小柳ゆきの「ぅあなたぁの~ぉぅキスぅを~ぅかぞえましょぉ~ぅ」(熱唱というより激唱)で、我に返る。

しかしまさか、ホールでベッシーの歌を聴くことになるとは…。北京でオーケストラをバックに歌い、CDを出したんだって。

ところで今回、私はあの有名な「美女と野獣」の曲を「アラジン」のだと思い込んでいたことが、娘の指摘で判明。これって、恥ずかしいことなんだろうなあ…。だって、似てるじゃん!ディズニーアニメのデュエットは、全部おんなじじゃん!

そんな中、何よりも観察のしがいのあったのが、ベッシーである。

思った通り、英語を会話にはさむはさむ。でも英語ペラペラのゲスト相手だったのが、ちょっとつらい。しかし、今までベッシーを思い浮かべるたびに、「んぷぷぷ」という笑いがもれてしまっていたのだが(ベッシーと呼ばれている時点で、もうアウト)、生ベッシーは実に好青年。好感度よすぎて困るほどだ。適度にかっこよくて適度にスマートだから、こういうイベントの司会にはもってこいだろう。

この日は最終公演だったせいか、アンコールでバラを客席に投げたりして盛り上がった後、ベッシーが本田美奈子の話をした。彼女はこのライブにも出演したことがあるらしく、その話と白血病の話。

「彼女は本当に…歌が好きでした」

と、途中から涙で言葉を詰まらせるベッシー。いい奴だ。でも最後の最後にそんな話を聞いて、高揚していた気分がしゅんとしてしまったのも確か。そういうことは、途中で話してほしいよ。

歌いながら客席の間を歩いてきたピーボを見た娘が、「こっちに来るんではないか」と本気でおびえていたのがおもしろかったです。世界のピーボも、子供にとっては、スキンヘッドの赤オニ?

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