2008/08/31

助けに行く

オリバー・ストーンという監督がどうも苦手だったが、「絶望に効く薬」というインタビューマンガに出ていたのをたまたま読み、ちょっとばかし興味が出たので、「ワールド・トレード・センター」を今頃見てみた。

でもよく考えたら、ニコラス・ケイジファンなんだから、もっと早く見なきゃいけなかった。

で、これは9.11で瓦礫の底から奇跡の生還を果たした2人の警官の実話なのであるが、助かった2人の話よりも、生死不明の夫を待つ妻や、彼らを命がけで助けに行く救助隊の人たちの姿が脳裏に焼きついてしまった。

特に救助隊員。仕事とはいえ、他人のために身を犠牲にしてまで助けに行くなんて。たった2人のために何人か死ぬかもしれないのに、それでもやらねばならないほど命は重い。

オリバー・ストーンは、そこで亡くなった大勢の人のことではなく、助かった2人のことを映画にすることで、悲劇や憎しみよりも希望や人の優しさを描こうと思ったのだという。ここらへんの発想は、笑いと希望で患者を救おうとしている医者パッチ・アダムスと同じだ。

それにしても、他国で戦争をしてばかりのアメリカは、真珠湾攻撃といい、自国では奇襲されてばっかりだな。

この映画は、生き埋めになっている人がいて、その人を待っている人がいて、その人を助けに行く人がいるという、ただそれだけのシンプルな物語だ。困っている人がいるから助けに行く。命があるからまだ生きていたい。昔はよくこういう脱出系のパニック映画があり、それをありえない出来事として単に楽しめばよかった。しかし、現実がフィクションを上回ってしまった今では、身近なものとして身に包まされるなあ。娯楽性やカタルシスがあるにしても。

でもだからこそ、奇跡がウソっぽくないし、それが尊いことだと思える。

ところでニコラス・ケイジ、笑わないところが相変わらずステキ。

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2008/07/14

カメレオン座はでかい?

久々に、自分の見たい映画を1人で映画館まで見に行ってきた。30年前に松田優作のために書かれた脚本を阪本順治が監督した映画「カメレオン」。主演は意外にも藤原竜也だ。

最初は、童顔の藤原竜也にこんな役は無理があると思ったが、「オールド・ボーイ」を真似したというホウキ頭に黒づくめファッション、ボディダブルをほとんど使わず、危険なアクションシーンを自分でこなしたという入れ込みように、俳優として新しい境地を拓こうとしているパワーを見た。

映画も面白かった。緊張感と哀しさとおかしみがって。「亡国のイージス」以降、阪本順治作品をずっと見ていないのだけど(特に理由はない)、「やっぱりいい監督だなあ」と改めて思った。

で、問題は、藤原竜也の顔の大きさなんだな。

藤原竜也は、演技も下手ではないし、私の好きな俳優だ。でも、こういう顔のでかい俳優が、ハードボイルド系アクション映画のクールな役どころに合うのかどうか、やっぱり考えないとなあ。

ほんとに、見ている間中、顔の余白が気になって気になって…。おまけに色白で丸顔だから、髪が風になびいて輪郭がモロ出しになると、比率が一目瞭然。とほほ。服が黒いので、よけいに強調されてしまう。

藤原竜也の顔のでかさは、前から承知していた。長めのストレートヘア?でうまくごまかしていたけど、これは知る人ぞ知る事実である。

なので、大河ドラマ「新撰組!」のカツラによって表面積の広さが暴露された時、自分のことのようにヒヤヒヤしたものだったが、その私が、「カメレオン」でアップがあるたび、そのあまりのだんびろさに、つい笑ってしまった。

大きい黒サングラスをかけても、サングラスが大きく見えない!

藤原竜也にはいい俳優になってほしいだけに、この顔のでかさが致命傷にならねばよいが…と、この映画を見て、ふと心配になりました。

舞台なら気にならないんだろうけどねえ。

少なくとも、アクション映画特有の緊張感にでかい顔はそぐわない。そのことを、藤原竜也で知った私です。

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2008/04/30

めがねちゃん

「かもめ食堂」ファンを当て込んだような映画「めがね」。

確か、出演者全員がメガネをしているという触れ込みだったが、ちょっとだけ出ていた薬師丸ひろ子も、メガネかけてた?きっとかけていたと思うんだけど、普段メガネをかけていない人がかけているというのに、印象がその程度。それだけメガネと顔が一体になっていたということか。

でもなぜ全員がメガネ?「人を色メガネで見るな」ってことでもあるまいに。

で、肝心の映画のことだが、思ったよりマイナスイオン度低し。この程度で「たそがれる」だなんて、都会の人は簡単だな。田舎の人、これ見て怒らないかな。「春にカキ氷」は、「春にビール」という私の感覚に似てるな。など、そういうことをぼんやり考えたりして、たそがれながら鑑賞しました。

うーん。味つけの薄いオーガニック料理みたいな映画だ。

でも、これを見て「きれいな海を見たいね~」という感想だけでは、作品としてバカみたいじゃない?いいのかな?それで。

結局「めがね」は、監督の意図とは別のところでやはり二番煎じは免れず、インパクトに欠けるし、光石研が礼儀正しい標準語をしゃべっている時点で、観客を(少なくとも私を)なめていると思う。

「これ以上お客さんが増えても困るんで」「ここ、携帯通じないんですよ。いいでしょ」って、そりゃいいご身分ですこと。ここは、携帯通じるところで携帯捨てる勇気のない人に、携帯のない生活ごっこしてもらう場所ですか。

メルシー体操も、ねらいすぎ。しつこい。この程度で癒される傷なんざ、最初から傷でも何でもなかったのさ。

あ、私怒ってますか?おかしいなあ。なんか思い出したら、ムカムカしてきちゃって。すんません。

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2008/04/28

トンマッコルにいく?

韓国映画「トンマッコルへようこそ」を見た。「トンマッコルってお酒の名前みたい。あ、それはマッコリか」などと思いながら、見た。そしてこれが、一見面白そうだったのに、案外つまらなくてガックリ。

戦争の愚かさをこういう形で描きたかったのはわかるんだけど(わかりやすいからわかる)、詰めが甘いのう。最後は男のロマン?

殺しあうべき敵同士が、ひょんなことから同じ空間におらざるをえなくなるという映画は、他にも「ノーマンズ・ランド」「ククーシュカ」があるが、この完成度の違いはなに?こう言っては何だが、「トンマッコル」は、感情移入するにはあまりにも子供だましなのである。

して、その敗因は、

①中くらいの盛り上がりが途中何度もやってくるので、疲れる。

②頭の弱い天真爛漫な女性が争いの犠牲になるという展開が、あざとい。しかもそのあざとさが、古い

③やたらと蝶を飛ばす演出が、安直で鼻につく。あと、空から何かが降ってくるというシーンもやたら多い

④いくらおとぎ話とはいえ、ここまで村人がノーテンキでいいのか。無知でも恐怖に対する本能はあるだろうに、ここまでくると不自然。

⑤スミス大尉を探しに来た軍隊を相手に玉砕するという展開について、スミス大尉がすぐに帰ればよかったのでは?

以上、特に⑤が納得のいかない私である。全体的に、おとぎ話と現実のサジ加減がだんだん破綻してきて、見ている方が不完全燃焼になってしまうのが致命的。これならばいっそ、コメディにすればよかったんじゃないか?へんに男のおセンチにしてしまうから、しらけちゃうのだ。

ところで、ストーリーの要となる2人の男が渡辺謙と田口トモロヲに似ていて、しかもおいしい役が、最初は謙さんかと思っていたら実はトモロヲだったという…。

そんなことで喜んでいること自体、集中して見ていなかった証拠。そして、面白くない映画がなぜ面白くないのかについて、あれこれ考えるのが実は結構面白かったりする私であった。

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2008/04/21

女の涙

ヘレン・ミレン主演「クイーン」と、ジョディ・デンチ主演「ヘンダーソン夫人の贈り物」(←この邦題は×)を見た。

私がこの2人の大ファンなのでたまたま続けて見ただけなんだけど、うーん。2人とも全然若くないイギリスを代表する大女優という共通点がある。

それに、偶然どちらもイギリスを舞台にしていて、イギリス女王と大金持ちの未亡人という違いはあれど、2人とも映画の中でたった一度だけ泣き、なんと、その泣き方がソックリ!

これは「クイーン」でクイーンが言っていたことだが、「人前でむやみに感情を表さない」というのがイギリス人の伝統的なあり方らしい。

それにふさわしく、女王も未亡人も美しい自然に囲まれて1人ぼっちになった時、こらえていた涙を思わず流す。

最近はすっかり「涙は女の武器。武器だから使わなソン」という風潮なだけに、この「女の涙は人知れず流すもの」という古風なシーンがなんかこうジンときてしまい、そうだよなあ。女の涙はこうでなくては。なんて妙に感動してしまった私。

特に「クイーン」の方は、いわばこの作品の要のシーンなので、ヘレン・ミレンがそれはもうステキで、シワだらけの顔アップがこんなに美しいとは、さすが女王様!

一方、悪くはないがB級っぽい「ヘンダーソン」の方も、ジョディ・デンチはおばあちゃんなのにいたずらっ子みたいな魅力があるし、共演したボブ・ホプキンスが初めてセクシー?に見えた。

「好きな料理は?」と聞かれて「美味しい料理!」と答えるように、私が好きな映画は面白い映画。でも、こうやってたまにイギリス映画を見ると、やっぱりイギリス映画が好きだなあと再認識する。

上流階級のゴチャゴチャした人間関係を描いたやつとか文学が原作のやつとか、コスチュームには全然興味ないのに、そういう類のものが最近好き。きっと、見ても内容をよく覚えていないからだと思う。噛むたびに味がにじみ出るスルメ映画。私も歯があるうちは、何度も噛みしめたい。

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2008/02/22

市川崑へのラブレター

市川崑監督が亡くなった。つい最近、岩井俊二監督のドキュメンタリー「市川崑物語」を見た余韻が残っていたので、とっても残念。この映画を見ながら、「こんなにヘビースモーカーでも、長生きして映画を撮っているんだからすごいな~」と感心したばかりだったので、よけいに。

気骨とユーモアのある翁監督が、これでまた一人日本からいなくなった。なんかもう、今村昌平が逝ってから次々と…。今度は鈴木清順があぶない?

この「市川崑物語」にはナレーションがなく、岩井俊二によるコメントが無声映画のように活字で表されている。しかもそれがものすごく個人的なコメントなので、最初は面食らう。

要するに、これは岩井俊二による市川崑論であり、市川崑という映画人と運命的な出会いをし、そこに強く影響された岩井俊二が己のルーツをたどっていく映画なのだ。そして、ラブレター。

この映画を見ていて、無性に昔の「犬神家の一族」を見たくなった。

当時小学生くらいだった私は、これら金田一耕介シリーズを「生首が出てきて、犯人が必ず女。因縁べっとりのワンパターンで暗く哀しい映画」という程度の認識しかなかったので、大人になってチラッと見た時には、まずその音楽のかっこよさにしびれてしまった。そして、金田一は古谷一行の方が好きなのに(テレビドラマ版のファン)、「市川崑物語」で、実は映画の方も全部見ている自分に驚き、角川映画の影響力を改めて思い知る。

でもやっぱり、市川崑が「犬神家の一族」をそのままリメイクした意図が、私にはどうもわからないな。一体何をしようとしたのか。本人がやりたくてやったんだからいいんだけど、戦争の影がまだ残っている当時の時代の空気というか、そういうやりきれないものを21世紀に映し出すにはムリがあろう。他の女優よりはまだマシかもしれないが、松嶋奈々子じゃなあ…清潔感がジャマして。

しかし、「あの名作をそっとしておいてほしかった」とファンが思っていても、誰もリメイクを望んでいなくても、監督がやりたいと思ったら映画は作られる。しかもそれが自分の作品ならば、誰も文句は言えない。

ああ、映画は監督のものなんだ。だから「犬神家の一族」は市川崑のものなんだ。

でも、それをやって許される監督と許されない監督がいて、市川崑は許された。

晩年自分の代表作をリメイクした市川崑は、それが遺作になるとは思っていなかっただろう。何かを思うところがあってリメイクにチャレンジした後、「よっしゃ!これで次にいける!」と思い、新作の構想を練っていたはず。

だから、もう1本は撮ってほしかった。それは駄作になったかもしれないが、リメイクではなくオリジナルな作品で、有終の美を飾ってほしかった。そういう意味でも、今回の訃報は早すぎた。それが私には一番残念だ。

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2008/02/21

女王サマ

「エリザベス ゴールデン・エイジ」を見た。

前作に引き続きエリザベス女王を演じるケイト・ブランシェットが、程よく貫禄が出ていて、エリザベス女王の成熟度と重なってリアルな感じ。9年という年月は、こうして見るとけっこうな時間なんだなあとしみじみしてしまった。こういう類の映画は、やっぱり映画館で見るに限る。

それにしても、エリザベス女王が、もう笑っちゃうくらいに着替えるの何の。実際にそうだったらしいが、カツラで髪型もとっかえひっかえ(ハート型の髪型が!)。陰謀を知り、ショックで泣きながら部屋に閉じこもっている時にも、きっちりおめかしをしている女王様。パンフに「着飾ることはパワーを見せること」と書いてあったが、オシャレの原点は武装であり、戦略のためのツールなのである。

前作ではそこまでファッションが印象的ではなかったので、これは今回の見所の一つ。

脇役も、前作と同じく大好きなジェフリー・ラッシュが出ているし、出番は少ないが重要な役どころでサマンサ・モートンが出ているし(出ているとは知らなかったので、嬉しかった!)、2人の女から愛される色男の海賊がクライブ・オーウェンというのが、納得いくようで少々疑問も残るけど、全体的に不満なし。この海賊=冒険家が実在の人物だというのが驚きで、けっこう史実に基づいたエピソードがちりばめられている映画のようだ。

ところで、スペインの無敵艦隊が、日本で言うところの神風に遭って惨敗するのだけれど、「これが神の意思なのか」とさめざめと泣くスペイン王が、私にはおかしくて。そもそも「神をも恐れぬエリザベスに天誅を!」という大義名分で侵略戦争をしかけたのに、あっさり「これも神の思し召し」って…。懲りずに2回もやってきた元寇に比べると、これであきらめるなんてカワイイのう。

もしかしたら、晩年のエリザベスを描いた第3作が作られるかもしれない。すごいな。1人の人生の転機をピックアップした連作なんて、他にないのでは?それも、エリザベス女王という稀有な歴史上の人物と、ケイト・ブランシェットという適任がいればこそ。

でも3作目にはジェフリー・ラッシュがいない(この作品で死んだから)のが、さびしい。「パイレーツ・オブ・カリビアン」みたいに生き返るわけにもいくまい。

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2008/01/24

エンジェル

女を描いた映画を作らせたら右に出る者がいないのが、ゲイの監督である。ペドロ・アルモドバルしかり。

そして、フランソワ・オゾン。

ああ、
あともう1人いたら、3人衆になるんだけどな(何でも3人衆にするのが好き)。誰かいない?

とまあ、要は、オゾン監督の新作「エンジェル」を見に行ったという話なのであるが、こんなベタなメロドラマ(しかも悲劇)が、この人の手にかかるとなぜこんなに面白いのかと、今更ながらにセンスを感じた次第。前作「ぼくを葬る」をしのぐパンチは食らわなかったにせよ、映画館にまで足を運んでよかったかなと。

「私にはベストセラー作家になる才能がある!」と信じて疑わない高慢なヒロインが、ほんとにまあ、なんてヤな女だと思いつつ、その自信を武器に成功への階段を登っていく様が快感でもあり、こういう現実が見えない(見ない)才能は現代女性にもありがちゆえ、若干の共感も覚えつつ、人生ってなんだろう?幸せってなんだろう?というありがちな問いかけも頭をかすめたこの作品。

エンジェルってば、自分の人生を小説にすればよかったじゃん!そうすれば、近代私小説の先駆者になれたかもしれないのに!

結局この人は、創作にではなく愛に殉じたところに、限界があったのね。

シャーロット・ランプリングが、チラチラっと出て、そこにいるだけで、なにかこうただならぬ雰囲気を漂わせるこの女優が、作品をピリリと引き締めている。

うーん。ゆずこしょうのような人だ。

エンジェルの傍若無人な言動にピクピクッと血管を浮き立たせる様子が、うまい!

一方、メガネをかけてヒゲを生やしたサム・ニールが、シャーロック・ホームズに出てくるワトソンのイメージにピッタリ。こんな人だったっけ?私にとっては、女性に振り回される役しか思い出せない役者だけど、こういうタイプの俳優もなかなかいそうでいないなあと思ったり。

あと、エンジェルの夫役の男優の目つきが、小林薫にソックリ。なので、小林薫にもきっとできる。エンジェル役は田中裕子。シャーロット・ランプリングの役は加藤治子。

ん?向田邦子ドラマ?

などなど、こんなことばっかり考えながら映画を見ている私である。

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2008/01/14

ヘアスプレー

ミュージカル映画は理屈抜きに楽しめるが、私にとってそれはダンスシーンが楽しいのであって、ストーリーは二の次。物語は、踊って歌うための装置に過ぎない。

だからもし、ダンスシーンだけを抜粋したDVDがあれば、それを買う。だって見たいのは歌とダンスだけなんだし、往々にしてミュージカルのストーリーはかったるい。インド映画しかり。

そして、このリメイク版「ヘアスプレー」しかり。

それにしても、これはオリジナル版と別物だとはいえ、ここまで歌とダンスで埋め尽くさないといけないのかなあ。これでもかこれでもかと。舞台だったらこれでよいのだが、スクリーンで見ると、なんだかやりすぎじゃないかと思わないでもない。踊りのタイプが、全部似ている。

そもそもオリジナル版の毒気が好きな私は、ジョン・トラボルタが出ていなかったらたぶん見ていなかった。

巨体に化けた女装トラボルタが、いつトラボルタになるのか。つまり、トラボルタがトラボルタに戻ってトラボルタのダンスを踊る。必ずその一瞬があるに違いないと、それを見たさに私は映画館に出かけたのである。

で、その一瞬はやはりきました。最後に。

遅い!

でも、その瞬間があったのが嬉しい!

私には、スカートをはいた巨漢トラボルタの向こうに、「サタデーナイト・フィーバー」や「グリース」のトラボルタが見えたね。

ほんとにすごいな、この人は。

もう1つのお目当ては、我がクリストファー・ウォーケン。

しかし、スクリーンでお目見えするのが久々なので楽しみでもあり、役どころからみて不安でもあり。でもまさか、ウォーケンも踊るとは。

もともとミュージカル俳優を目指していたとかで、本人は嬉しそうだったけど、ファンとしては複雑。それになんだか笑いをとるシーンまであって、何やらせんだよ~。とほほ。

でもこれが見納めだとしたら、それはそれで花むけに。

ところで、オリジナル版の監督が最初の方でチラッと出ていたのを、一体何人の人が気づいただろう。露出狂の役。サイコーです。

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2007/12/06

2人の天才ピアニスト

最近、ピアニストが主人公の映画を2本見た。

僕のピアノコンチェルト」と「4分間のピアニスト」という映画。主人公は、前者が親の期待から解放されたいと思っている少年で、後者は人生に失望している服役中の女性である。

このように実に対照的な2人の物語であるが、共通点が2つある。どちらも天才ピアニストであること(少年の方は、ピアノだけでなく何でもできる天才児)。そして、舞台でシューマンのピアノ・コンチェルトを弾くことだ。

なぜシューマン?

もちろんこれは偶然だろうけど、詩的で激しいこのコンチェルトがどちらの映画にもピッタリで、ドキドキ。震えるようなこの感動は、「シャイン」でラフマニノフのピアノ・コンチェルト第3番を聴いた時に似ているなあ。

そんなこんなで、めずらしくサントラを買ってしまった私である。

映画はどっちもオススメ。でも、決して「僕の」が凡庸というわけではないが、「4分間の」があまりにひと筋縄ではいかない映画なので、強烈な印象を残すのはこっち。

何しろ、最後まで裏切られっぱなしなのだ。パンクやね。むろん、アメリカ映画のようなカタルシスとは無縁で、途中何度か訪れる盛り上がりがゴツゴツしているところも、ドイツ映画らしくてよい。

ピアニストが登場する映画はたくさんあるけれど、「4分間のピアニスト」の毛色がちがうのは、そこに「自由」というテーマがあるからだろう。しかも男女の恋愛抜き。

ヒロイン役の若い女優もいいが、ピアノ教師役の若くない女優に注目。彼女の、シリアスな中にもコミカルな一面がさりげなくにじみ出るシーンが、大好きだ。

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2007/11/19

哀しきダーク・ファンタジー

「幼児に見せるとトラウマになるかも」とまで言われたスペインのダーク・ファンタジー映画「パンズ・ラビリンス」。

私はてっきり、出てくる化け物があまりに怖すぎるのかと思っていたが、実際には出てくる人間の方が数倍怖かった。

というか、これ、ファンタジー映画?

だって、スペイン内戦の歴史映画を見た気分だったよ。すごく哀しいし。「マッチ売りの少女」がハッピーエンドというのなら、この映画もハッピーエンドには違いないが、通常のファンタジーではあり得ないショッキングなストーリー展開に、ハラハラして涙が出る。

初めて見たよ。こんな映画。

でも、見終わった後決して楽しい気分にはならないけど、見てよかったと思える素晴らしい映画だと思う。なんかこう、得もいわれぬ感動がじわじわとわいてくるのだ。

しかし、自由のために血と涙を流したことのある国は違うな。そして、「それを忘れてはいけない」という想いから作られた映画が、こういう毛色の変わったファンタジーだというところがまた違うな。

このセンスさすが!

不思議とファンタジーが盛り込まれている方が、現実の悲劇性が伝わってくるんだよね~。主人公の女の子も、特に美少女ってわけじゃないところがよい。

私はもともとスペイン映画が大好きなのだけど、これもまた忘れがたい1本。

それにしても、ああ、娘と一緒に見に行かなくてよかった~。娘がこれを見てもいいのは、うーん。何歳だ?

ともあれ、ガキにはわからん深い映画である。

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2007/11/09

こども・ミュージカル・ドキュメンタリー

最近映画をすべて映画館で見ている。

つまり、家で全然映画を見てないっていうこと。しかも月にほぼ1本。とほほ。

ちなみに9月は、「アーサーとミニモイの不思議な国」。娘と姪を連れての作品選びで、「河童のクゥと夏休み」よりはマシやろうと思って見たわけだ(吹き替え)が、なんというか、おばあちゃん役のミア・ファロー(声・確か夏木マリ)が、もともとおばあちゃんみたいだったとはいえ意外にも保っていて、ちょっと驚いた。

あと、CGで作り上げたヒロインが、リュック・ベッソンの女の好みが凝縮された顔とキャラで、2人の元妻とソックリで、恥ずかしくないのか。これ。見終わった後、「リュック・ベッソンは完全に終った…」とひとりごちた私である。まさかここまでダメになっていたとは、もと大ファンとしてはやはり哀しい。

10月は「ヘアスプレー」。これも姪と娘と一緒だったが、字幕だったのに、めくるめく歌とダンスシーン&わかりやすいストーリーだったせいか、子どもたちも大満足。ミュージカルは年齢を超える!

個人的には、ジョン・ウォーターズ監督のオリジナル版の方が好きだけど、これはこれで楽しくてワクワク。配役がいいからね。ミシェル・ファイファーのいじわる役とジョン・トラボルタの女役。踊るクリストファー・ウォーケンは…微妙。ファンとしては、ウォーケンに笑いはとってほしくない。

そして、「ミリキタニの猫」というドキュメンタリー映画。これはもう、涙目で映画館を出たほどよかった。

波乱万丈の人生を歩んできた日系人画家ミリキタニ(漢字で書くと三力谷)じいちゃんが、最初はホームレスで、最後は仕事と住居のある巨匠(ホームレスの時から自分ではそう言ってるけど)になり、その過程でつらい過去と和解する。誇り高き芸術家。そしておちゃめ。

それにしてもこのおじいちゃんもすごいが、アメリカの福祉ネットワークの豊かさと、個人情報の管理体制の厳密さがうらやましい。年金記録が消滅するようなどこぞの国とは、月とスッポン。私もニューヨークでホームレスになりたい。

ああ、今度はフランソワ・オゾン監督の新作「エンジェル」が見た~い!この監督のは絶対に映画館で、と決めている。

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2007/10/04

美味しいのものが作りたい

料理の本を読むのが好きだ。中でも、実用的なレシピ本を一つの読み物として読むのが、最近のお気に入り。

薬膳。精進料理。ロシア料理。ベトナム料理。精進料理。

最初から「作ろう」と思って読むわけじゃないから、どんな料理でもいい。

読んでいて、もし「作りたい」という気持ちがムラムラわいてきたら作ってみるけど、ほとんどは私の手に負えないものだったり、材料が揃えられなかったり。それでいい。

異国の料理を眺めて、その向こうにある歴史や文化を想い、個人の料理家による本だったら、その人となりや「食べる」という行為に対する姿勢を感じとる。料理を見ながら、作り手と対面している感じ。小説を読むのと同じ感覚かな。だから、手抜きや裏ワザ、節約系の実用本位な本は、そりゃ一冊くらいは持ってるけど、そういう切り口がギラギラ、ガチャガチャしていて好きじゃない。

そして、読み物として料理本を読むわけだから、それを作っている料理家にはけっこう厳しいかも。

レシピの書き方や文章にも敏感だ。

料理は、素材を生かしたシンプルで豪快かつ繊細な料理が好み。米沢亜衣。長尾智子。辰巳芳子。有元葉子。高山なおみ。根本きこ。南風食堂など。料理上手な作家では、向田邦子や宇野千代。あれ?なんだかみんな女性だなあ。しかも、人柄に共通点があるような。

ちなみに、栗原はるみは大嫌いだよ。「主婦として料理で家族に尽くすのが喜びです」という自虐的なスタンスが、気持ち悪い。「肉を焼くのは主人の方がうまいんですけど」とか平気で書いてるし(だって関係ないじゃん。そんなこと)、そういうベタベタした無神経な感じがたまらん。あと、ゴージャスお菓子研究家の藤野真紀子。議員になってガッカリ。そんなアホだったとは。

で、こんな風に本で料理を眺めているのもいいんだけど、本当は実際に作っているところがみたいんだよね。千切りをしている手つきとか、いつ味見をしているのかとか、そういうの。

それでつい入手してしまったのが、高山なおみのDVD「四季のゆっくりごはん」。あさり、にんじん、ゴーヤ、ごぼう、牡蠣といった旬の食材を使って、高山なおみが料理をしているところがバッチリ拝見できる。

この人は、「アクも味のうち」ってアクをとらないんだよね。こういう自信が好き。どれも簡単で滋養のある料理ばかりで、うーん。作りた~い!ムラムラ。

かといって、私が料理好きだと思われると、困る。特に上手くもないし。ただ、創作意欲を刺激されるのが楽しいだけで。いつも食べきれないほど作っちゃうのも、自分が食べたいから、誰かに食べさせたいからというよりも、単に作ってみたいから。

私は食いしん坊ではありません。

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2007/09/27

ジャンゴ!

見ている間中ドキドキしすぎて涙が出そうになった。

生きててよかった~っ!映画館で見ることができて、神様ありがとう。

スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ

三池崇史監督が好きだから見ただけだったが、こんなにアドレナリンが放出した映画は、最近では「シン・シティ」以来。このバカバカしさ!このかっこよさ!これぞ映画!

何が楽しいって、出ている俳優がみんな絶対に楽しんでいるのが、ひしひしと伝わってくるところだ。馬に引きずられても、十字架が体を貫通して死んじゃっても、何だか嬉しそう(どっちも香川照之のことだけど)。伊勢谷も、今まで「役者とは認めんぞ」と思っていたが、この映画では適役。オーラがあるわ~。

とにかく石橋貴明以外は、みんな文句なし(木村佳乃はビミョー)。心配していた伊藤英明も、意外と様になっていた。

しかしやはり特筆すべきは、桃井かおりでしょう。これが女優人生最後の打ち上げ花火かと思うほどの気合い。もうちょっと美人だったらよかったなあという気もしたけど、意外な伏兵に撃たれて「あーあ。全くお前はしょうがないわねえ」という顔とか、死ぬ間際のバイバイが、うまい!桃井かおりは健在だ。

みんなが英語をしゃべっているのも、思ったより違和感なし。このお陰で別世界に入り込めるので、かえってよかったんじゃないか。そこからして、すでにバカバカしいのがよい。

言っておくが、これはお笑いパロディ映画ではないよ。笑えるシーンはあるけどね。他の観客は、石橋貴明の「ヨ・シ・ツ・ネ!」シーンで爆笑していたが、私は佐藤浩市が「ヘンリー」と呼ばれるのにこだわるところが面白かった。汚れ役がステキ。

安藤くんもよかったなー。こんな役がやれて、嬉しいやろうなー。それにしても、大人になったなー。ジャンゴ!

ちなみに、主題歌は北島三郎。日本のソウル歌手のすごみを、ひしひしと感じました。

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2007/08/27

ネズミでも作れる料理

レミーのおいしいレストラン」を見ました。

「食べた~い!」というより、「作りた~い!」という気持ちになった。ハーブ。チーズ。ワイン。やっぱり私は、フレンチが好きやわ。

食べている時は、よく味わって神経を食べ物に集中しなきゃね。

でもネズミ嫌いな人は、見ない方がいいかも。

私は、悪役キャラの料理評論家が好きです。最初はイヤな奴だと思ったけど、ああ見えて、レミーのことを即座に理解する頭の柔らかさ。余計なことも言わないし、認める時にはちゃんと認める潔さに惚れました。彼もこれから太るかな。

レミーの作る料理のレシピ本も、あります。

Book レミーのとっておきレシピ―WHAT’S COOKING!

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2007/08/08

特典映像のジレンマ

DVDについている特典映像というやつは、ありがたいんだかありがたくないんだか、いつも微妙である。

というのも、私は制作裏話やメイキングというやつが基本的に嫌いで、「この映画を撮るのにこーんな苦労をしました」「私はこう思って演じました」って言われてもなあ。そんなんどうでもいいやん。作品だけが全てや、と思う。映画の解釈やテーマも観客が決めることだし。

それに、本編を見た後にそういう特典映像を見ると、例えばさっきまで血だらけになって殴り合いをしていた俳優が、いきなりTシャツ姿でベラベラしゃべっていたりするわけで、しらけるのよ。

でも、いくらしらけるのがわかっていてもつい見てしまうのが、特典映像のワナ。これは、私が「せっかくだからもったいない」という貧乏性のせいなのか、それとも映画ファンのサガなのか。

結局見たって、大概つまんないのにねえ。

あ、でも「青春の殺人者」という映画に入っている長谷川監督のインタビューだけは、単なる作品説明にとどまらない面白さがあるので、オススメします。監督のしびれるキャラクターが必見!

他にも特典映像には、メイキング映像というものあるが、私はこれだけは絶対に見ないことにしている。

実は、昔メイキングがめずらしかった時代には、私も積極的に見ていた。

ところがある時、カンピオン監督の「ある貴婦人の肖像」という映画のメイキングで、主役のニコール・キッドマンが「だめ。もう出来ないわ」と、泣いて部屋から出てこないという場面があって、それを見てガッカリしたというか、何だか腹が立ってしまったのだ。

撮影現場での出来事を知っても、しょうがない。

キッドマンが演技に苦労して逃げている姿など、見てどうする。がんばってるなー、すごいなーって思う?

映画は料理と同じ。厨房でどんな戦争が繰り広げられていたとしても、お客は何も知らないで、そこに出された料理をただ堪能すればよい。どんなにお金と手間隙をかけて作られた料理でも、まずけりゃ怒るし、美味しければ満足する。

しかしそう思う一方で、例えばこれがどんな時代に作られた作品だとか、監督が置かれていた状況だとか、そういう背景を知っていればそれはそれで、映画を見る目が深まるのも確か。

なので、情報もまあそこそこに、知りすぎもせず知らなさすぎもしないさじかげんで、というところだろうか。難しいなあ。

でも、ソン・ガンホが「復讐者に憐れみを」の出演依頼を何回も断っていたという話は、教えてもらってよかったなあ。どういう気持ちでこれに出たのか、不思議だったので。

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2007/08/02

ローラ・ダーンのゴム唇

見てきました。見てしまいました。デヴィッド・リンチの新作「インランド・エンパイア」。

3時間。長い。しかも今回は、虚実が入り混じるといういつものリンチ・ワールドが、4重構造になっているという手の込みよう。

理屈で解釈できるところと出来ないところが、これまた絶妙に配置されていて、リンチ、相変わらず飛ばしてます。

それにしても、狭い迷路みたいな廊下をエンエン歩いたり、どこかからチラッと誰かの顔がのぞいたり、登場人物がわけのわからないことを言ったりと、もったいぶってるなあ。リンチファンは、作品のナゾ解きをしたくなるみたいだけど、最初からないね。答えなんか。この監督は感覚的なタイプだ。映像を見ていればわかる。今回はやたらとピンボケの映像があったが、センスがいい。

ローラ・ダーンがステキだった。口がグニャニヤ動いて、きれいになったり醜くなったり(時々中島みゆきに見えた)。前からファンだったけど、これでますます惚れ直す。ついていきます。どこまでも。

あと、別の意味で注目していた裕木奈江は、私の知っている裕木奈江(子犬のような演技)だったので、ガックリ。イーストウッドやリンチが使ったからといって、この人をありがたがる必要は全くない、と確信した。


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2007/07/15

韓国の復讐

パク・チャヌク監督の復讐三部作を、ついに、やっと見た。

見た順番は2作目→3作目→1作目だったけど、一番よかったのは、2作目の「オールド・ボーイ」。同じ監督の作品かと思うほどの突出した完成度で、ダントツ。他の「復讐者に憐れみを」「親切なクムジャさん」は悪趣味スレスレ、というのが私の結論である。

何しろこの2作品は、小さな子どもが理不尽に犠牲になるのが不愉快で、現実にもありそうなことだけに、気分が悪くなる。夜うなされる。かんべんしてくれ。

「親切なクムジャさん」は期待が大きかっただけに、なんだ、「クムジャさんの親切」ってこの程度のことかとガックリした。恨みの深さも、他のに比べるとインパクトが弱く、全体的に印象が薄い(っていうか、他のがあまりにあんまりなんで)。

「復讐者に憐れみを」は、実はどうしようもなくかわいそうな話なのだが、復讐が復讐を呼び、結局、出演者全員が残酷な死に方をしてしまうという見た事もない展開が容赦ない。また、その容赦のなさが魅力でもあり、忘れがたい作品ではある。ただ、髪を緑に染めた主人公が、どうしても「マシュー」に見えてしょうがなかった。

とまあ、悪口ばっかり書いてしまったが、3作品に共通しているのは、役者の圧倒的なうまさだ。

すごい。脱帽。これは一見の価値あります。

これだけうまいからこそ、ストーリーに怖いくらいのリアリティが出て、観客も自然に感情移入して物語に入っていけるわけで、たいしたもんだわ。

なので、作品自体はあんまり好きじゃないけど、本当に見てよかったし、なかなかどうして、すっかり韓国の俳優を見直してしまった私。恋愛映画だと、みんな大根に見えるのにねえ。

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2007/07/11

負けてもやる

そうそう。「負け犬」の反対は、「勝ち組」じゃなくて「勝ち馬」だよねって、映画「リトル・ミス・サンシャイン」を見ながら思った。

犬や馬ならいい。「負け組」「勝ち組」という言葉は、下品で好かん。「私たち、勝っている」と腕を組んで自己陶酔している輩が、「あなたたち、負けている」と、自分たちのようでない人間を一方的に括っているだけだから。

そこで今更だけど、強い相手を前に、戦わずして負けを認めて服従するのが「負け犬」で、その弱い犬が、安全地帯にいる時だけ遠吠えして威嚇するのが、「負け犬の遠吠え」です。

負けるとわかっていても、闘わないといけない時がある。それは、男でも女でも子どもでも同じこと。

勝ち組になるためには、負け戦さは最初からしない方がいい。しかしそれでは負け犬だ。

黄色いポンコツバスをみんなで押して走り出し、一人ずつバスに乗っていくシーンに、なんだか涙が出そう。なんでだろ。

私が一番信頼している(というか、好みが合う)サンダンス国際映画祭で評判をとった話題作なだけに、派手でもなく地味でもなく、フツーだけどフツーでない作品。ニーチェに心酔し、沈黙しつづける長男を演じたポール・ダノに、今後注目だ。

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2007/07/06

フラでフラフラ

保育園の行事で、フラダンスを踊るハメになった。たまたまその行事の係だったので、強制出演である。

確か去年は、「野菜バリバリ体操」という子どもたちが普段踊っている体操だったのに、なぜ今年はフラダンス?私の立ち位置が前列なのも、なぜ?

いやもう、むずかしいよ。フラダンス。手の動きが覚えにくいし、けっこう腰にきます。

で、そんなこんなで「ブルーハワイ」が頭から離れなくなった私は、ついふらふらっと映画「フラガール」を見てしまいました。

ふう。

密かに南海キャンディーズのしずちゃんを期待して見たんだけど、なんでこの程度で賞にノミネートされたり騒がれたりするのか、お姉さんにはさっぱり。

でもこういう映画を見ると、富司純子側に感情移入している自分に気づいて、改めて驚いてしまう。そりゃ自分が通ってきた道だから、もちろん10代の子たちの気持ちもわかるけど、30年働いた炭鉱をクビになって帰ってきてみたら、娘が肌を見せてチャラチャラしたフラダンスの衣装を着ていたら、そりゃ怒るわ、とか、もうすっかり親の視点だ。

なので、蒼井優や松雪が何をしようが何とも思わないが、富司純子が陰からこっそり舞台を見ているだけで、もう涙腺がちょっぴり…。しかしほんま、富司純子は60代でなお、掃き溜めにツルだね。

松雪はなかなかいい感じにがんばっていたが、いかんせん、泣き顔が醜い。顔がゆがんでいても鼻水が出ていても、心をとらえる泣き顔はあるが、クライマックスシーンの松雪のこれは…。うーん。笑顔は取り繕えることができても、泣き顔には地が出やすいのかな。

「女優と泣き顔」について、ちょっと考えさせられました。

そうそう。この映画に興味がなかったので、出演者を3人しか知らなかった私は、トヨエツが出ていてビックリ。っていうか、最初のうち誰かわからんかった。ほとほと方言が似合わない男。

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2007/07/04

さようならパイレーツ

「パイレーツ・オブ・カリビアン」最新作を見た。「もうこれで終ってくれ」と思うので、勝手に三部作と決めてしまうが、やっぱりこういう三部作シリーズは、二作目が一番面白い。

「ロード・オブ・ザ・リング」しかり。起(承)転結の「転」の段階が、中途半端だけど一番ワクワクするのだ。完結編は、それまで広げに広げた大風呂敷を何とかしてたたまにゃいかんので、それだけでもういっぱいいっぱい。

で、このパイレーツも、観客を飽きさせるのがよほど怖いのか、見所を作ろうと必死だ。私の感想は、次の通り。

①ナゾがかなり残って消化不良
②キーラ・ナイトレイが色気のなさすぎ
③オーランド・ブルームのこもった声が耳障り
④チョウ・ユンファがかわいそう
⑤ジャック・スパロウ出過ぎ
⑥デイビイ・ジョーンズがステキ

いや~もう。⑥は自分でも意外でしたね。鼻がないので、鼻のあたりをパコパコいわせて、怒ったりショックを受けたりするジョーンズ。すごくわかりやすい感情表現で、ジャック・スパロウとは違って、本当にウソのつけない人?なのよ。ロマンチストだし。

それに、今回初めて素顔が明かされたのだが、あんまり違和感なかったのはなぜ。ヒゲがなければ、あんな顔にならなかったというわけか。

海から出られないジョーンズが、桶に入れた海水に足をつっこんで、浜辺に立っていた姿には爆笑だ。

それと、二作目からずっと気になっていたのが、ジョーンズの家来でサメみたいな横長の顔の奴。セリフが今まであったのかなかったのかわからないが、今回じいっと観察したところによると、片目がつぶれていた。突出したインパクトなのに、たいして役割がないのがよい。密かにこやつのファンです。

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2007/06/09

犬も食わぬ

プラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーがこの映画で…という下世話な興味がなかったら、一体なんじゃろかという夫妻の痴話ゲンカ映画「Mr.スミス&Mrs.スミス」。

もうちょっと、バカバカしいほどスカッとしているかと思っていたから、ガックリ。

いや、バカバカしいのは十分バカバカしいのだけど、この程度のバカバカしさって、時代遅れじゃないですか?コメディとしてもアクションとしても、目新しさまるでなし。何だか、「Mr.インクレディブル」と「ローズ家の戦争」を足して、「スパイキッズ」で濾したような映画だなあ。わけわからんけど。

でも、やんちゃな男と完ぺき主義の女というわかりやすい組み合わせを、いかにもそうなんですというブラピとアンジーが演じて、それは説得力があった。

ところで、アンジェリーナ・ジョリー、そんなにきれいですか?というのが、私の長年のギモンです。

鼻が低くてアゴが出ていて、横からみると、顔がへしゃげているよ。ともさかりえみたい。いっとくが、私は彼女のファンである。でも、きれいだとは思ったことは一度もない。だって、肉食系の凄みのある顔だもの。そこが魅力なんだもの。スタイルはいいけど顔がでかいし、どっちかというと男顔でしょう。

なので、草食系のプラピとは、相性バツグンだあ。今回それを認識しました。

それと、アメリカ映画にありがちな決めゼリフが、なぜかこの映画では耳障りで、車に乗り込んできた敵を、反対側のドアから外に放り出して、「便利な車だぜ」とつぶやくブラピ。2人が決死の覚悟で敵を倒しに出る直前に、「あの世で会おう」とつぶやくブラピ。他にもいろいろ。ブラピ。しゃべりすぎ。軽口が付け焼刃ぽいのが、しらける原因か。

男は競争したがる動物だが、くれぐれも恋人や妻とは張り合わないように。「負けるが勝ち」ですよ。といっても、アメリカ人にはこの意味がわかんないか。

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2007/06/03

謎のピアノマン

去年の今頃、イギリスの海岸でずぶ濡れになった男が保護されたニュースを、覚えていますか?

彼は記憶喪失なのか何もしゃべらず、身元も不明。しかし、紙とエンピツを渡すとグランドピアノを描き、ピアノを弾かせたらプロ級の腕前だったので、「謎のピアノマン」として、大きな話題を呼んだ。

その時、「映画の宣伝ではないか」「配給会社のヤラセではないか」とあらぬ疑いをかけられたのが、「ラヴェンダーの咲く庭で」という映画である。

その映画を最近見た。

嵐の翌朝、海岸で倒れていた青年が老姉妹に助けられる。彼はポーランド人でヴァイオリニスト。しばらく姉妹の世話になっていたが、彼にはアメリカに渡って、世界的なヴァイオリニストになりたいという夢があったので、最後には姉妹のもとを去ってしまう。

見所は、この姉妹の妹の方が、孫ほど年の離れたこの青年に恋をしてしまうところだ。

ひと目見た時からこの青年に惹かれ、その好意がいつしか愛情に変わっていく。最初は「死んだ息子にでも似ているのかな」と思ったけど、どうやらこのおばあちゃんは、彼に「男」としての魅力を感じているらしく、生まれて初めて自分に訪れたこの密かな恋にとまどっている。

うーん。あるのかな。こういうこと。あるかもしれないな。

そんなおばあちゃんの乙女心を、説得力をもって演じたのが、ジョディ・リンチだ。さすが、貫禄のある女王役もこなせるが、こういう「若い男にときめいてもおかしくない」ようなおばあちゃんも、うまいことうまいこと。すねたり、ドキドキしたりと、子供のようなところもあって、日本ならこの役、誰にやらせようかと勝手にキャスティングしてみたが、思いつかず。

でも、映画の出来はあまりよくなかった。悪くはなかったけど、Bマイナスという感じ。

ところで、先ほどの謎のピアノマンの正体は、フランス人だのチェコ人だのノルウェー人だのという憶測がさんざん飛び交った後、いきなり本人が「ドイツ人です。ゲイです」と告白。以前病院に勤めていた経験を生かして、精神障害のマネをしていたのだそうで、しかも、実はピアノは全く弾けず、ピアノの絵を描いたのも「たまたまその時、頭に浮かんだから」だって。

すごい人騒がせ。でも、なんておもしろい。

両親はその頃農業に忙しくて、テレビを見ていなかったので、息子がそんなことになっているのを知らなかったらしい。とほほ。事実は映画よりも奇なり。

それにしても、このニュースがこれほど人の心を捉えたのは、彼がピアノ弾きだったからだと思う。「船が難破して記憶喪失?」というだけでも、映画のようにロマンティックなのに、それがピアニストだなんて!

人は、ピアニストやヴァイオリニストにかくも弱い。もしこれが、「大工仕事がプロ級」「自転車に乗ったら、オリンピック選手のように早い」「太鼓がうまい」だったら、これほど注目されなかっただろう。

このニュースで、人々のクラシック音楽家に対する強い憧れを、改めて垣間見たような気がした。

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2007/05/30

ハゲでセクシー

「俳優セクシーハゲクラブ」というがある。正式に今、私が発足させた。

名誉会長ショーン・コネリー。会長ジョン・マルコヴィッチ。副会長テレンス・スタンプ。広報部長エド・ハリス。営業部長ジャック・ニコルソン。

そしてこの前、ニコラス・ケイジに続き、ビル・マーレイが入会した。

それにしてもビル・マーレイ、いつからハゲていたんだろう。私としたことが、最近まで気がつかなかったよ。これにて、会員2名。他に誰かいないかなあ。ティム・ロビンスがそろそろきてますが、セクシーかどうかがビミョー。

残念ながら、日本の男優には、西村雅彦のように、ただのハゲならいるが、セクシーハゲはまだいない。竹中直人は落ち着きがないし、笠智衆はおじいちゃんだし。

セクシーハゲには、男としての現役感と知性がなくては。

日本のセクシーハゲ第1号は、誰だ?


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2007/05/29

女が狂うと

映画に登場する狂った女性のほとんどが、ヒラヒラのワンピースを着て、場合によっては日傘を差したりして、へんな少女風になってしまうのは、なぜだろう。現実として、本当にそういう傾向があるのか、単に従来の狂女イメージから抜け出せないだけなのか。

でも、もしや、それは男の固定観念なのでは?という気がしたのは、映画「コーストガード」の中でジーパンにTシャツ姿だった若い女性が、狂ってしまったとたん、薄い白ワンピース姿に変貌したからである。そして、ずっとそういうヒラヒラの服を着ているので、「これは自分で選んだのかなあ。それとも、家族が着せているのかなあ」などと、つらつら考えてしまった。

一方、民間人をスパイと間違えて射殺してしまい、罪の意識で狂っていく男は、迷彩服を脱がなくなり、戦争ごっこがやめられない。

そうか。女は狂うと、童女になって日傘を持ち、男が狂うと、鉄砲を持って殺人者になるのか。

うーん。すごくわかりやすくてイヤだけど、何かを示唆しているようで興味深くもあり、この「狂った女の服装の描き方」について、ちょっと考えてみたいなあと思っているところ。

さて、肝心のこの映画のできばえは、キム・ギドク監督大ファンであるこの私が、「つまらん」ときっぱり言えるほどの駄作。

女が狂う理由も男が狂う理由も、なんだか納得がいかないし、チャン・ドンゴンの大きく見開いた瞳ばかりが頭に焼き付いて、ノレないの。何がいいたいのかわかるけど、わかりたくないの。

という映画でした。



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2007/05/13

ジョディ・フォスターはやっぱり足が太い

TSUTAYA DISCASで、せっかくDVD借り放題の生活をしているのに、借りる作品がどれも見やすそうな映画に流されている気がする今日この頃。

理由はわかっている。

①私の入っているMプランは、在庫のあるもの優先なので、最新作がレンタル中なことが多い

②「すぐ見なければ」という気持ちがあるので、「ながら見」でもOKな作品を選んでしまう

③子供が一緒に見る可能性があるので、過激なシーンがなさそうなものをつい選んでしまう

もちろん、見たくないものは借りないけど、やっぱ借り放題だと、「ま、これでも見てみるか」という気楽さが、落とし穴。店でDVDを選ぶのと違い、作品のタイトルをきちんと入力しないといけないから、見たい映画をとっさに思い出せないのも、一因だろう。新しい出会いもないしね。

なので、「アンジェリーナ・ジョリーファンとしては、一応チェック!」ということで、「アレキサンダー」を見てしまったり(時間の浪費)、「評判になっていないが、案外掘り出し物かも」と、スケベ心を出してどうでもいい韓国映画を見てしまったり(自己嫌悪)と、最近失敗の連続。ああ、一体私は何をやっとるんだ。

そんな中、久々に見た良作が、我がキム・ギドク監督の「春夏秋冬そして春」である。

水に浮かぶ古い寺院を舞台に、息を呑むような美しい四季と、その移り変わりになぞらえて、弟子である男の子の成長が描かれる。この老師がいい。かっこいい。人間の愚かさを見つめ、優しく、そして厳しく導いていく老師のまなざしに、深い愛を感じる。

最後らへんになって冗長気味になり、テンポが崩れてしまうのが、この監督のクセ(欠点?)だけど、それでも日本人の心にじわじわと触れる良い作品だと思う。

もう1本は、スパイク・リー監督の「インサイド・マン」。

スパイク・リー初の一風変わったサスペンス映画ということで、何かと話題になったハリウッドぽい作品だが、ジョディ・フォスターの出番があんまりなくて、めずらしくイヤな女の役だったのが、予想外(そういう使い方が、うまいんだけどね。ピッタリだし)。

それにしても、相変わらずスーツが似合わないねえ。知性的な顔とはすばらしく一致するのに、下半身が「どすこい体型」だから、後姿が洗練されていないのよ。ルックスに似合わないたくましいふくらはぎに、ますます親近感がわいた私。

処々にスパイク・リーらしい皮肉とユーモアもちりばめられていて、退屈せず、私の頭では今一つよくわからないところもあったけど、不思議な余韻を残す映画だった。

それにしても、デンゼル・ワシントンはうまいのう。いい顔になってきた。ウイリアム・デフォーの出演も、ちょびっとしか出ていないけど。嬉しい。


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2007/05/03

狂気と伝説の記録②

悪魔とダニエル・ジョンストン」は、デヴィット・ボウイやトム・ウェイツに大きな影響を与えたという伝説のシンガー・ソングライターダニエル・ジョンストンのドキュメンタリー映画だ。

あまりにも繊細ゆえに躁うつ病になり、病院に入ったり出たりしていたダニエル。クリエイターとしては素晴らしい才能があるけれど、セスナに乗っている最中に、キーを窓から放り投げたりするので、家族は大変。それでも家族はダニエルを理解し、支えようとする。

ダニエルの歌は、上手下手を超えて、理屈抜きに人の心を打つ。クマのような体型から想像できない高めの声。詩心にあふれた言葉。一度聴いたら忘れられない歌い方。感極まって本当に泣くし、腹の突き出たオジサンだけど、子供の感性をそのまま歌に託せる純粋さがある。

中でもダニエルは、ローラという美しい女性を崇拝し、彼女を想う歌を何年にもわたってたくさん作っていて、1回の失恋で100曲の歌を作る中島みゆきみたいだ。うん?ちょっと違うか。でも同じか。

でもこの映画で一番驚いたのは、ダニエルの超人的な記録魔ぶりである。

子供の頃から、自分と自分に関わる人々を記録し続け、膨大なビデオとカセットテープを残しているダニエル。自分を叱る母親の声まで、盗み録りしてさ。このとりつかれ方は、やはり常人ではないが、でもその「自分自身による人生の記録」のお陰で、このユニークなドキュメンタリーができたのだからね。

ところでDVDには、特典として、憧れの人ローラと20年以上ぶりかに再会した時の映像が収録されている。映画館で初めてこのドキュメンタリーを見た彼女は、そこに映された当時の自分(もちろんダニエルが撮影)も、今回初めて見たそうだ。自分を女神のように美化し、理想化された愛を執拗に、そして深く歌い続けている男との再会。

こわい~っ!

でも、あらら?そう思ったのは私だけだったようで、何だかちょっと信じられない再会劇だわあ。

他にも、ダニエルが10代の頃に撮った映画もいくつか収録されていて、月曜日の朝、自分をたたき起こしに来る母親と、どなられて学校に行く自分を1人2役で演じた作品が、好き。音楽でなく映像の方に行っていたら、どんな異才ぶりを発揮していただろうかとちょっと残念に思った。


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2007/04/29

スローなブギって?

片岡義男とか角川映画とか、もてはやされていた当時はバカにしておったが、今見てもなかなか面白く、古臭くなっていないところをみると、やっぱりそれなりにすごかったのかなと思う。

映画「スローなブギにしてくれ」のことである。

しかし、映画にそんなに興味もなく、しかも邦画嫌いだったのに、80年代の邦画を思い出すと、角川映画しか浮かばないのが、悔しい。これは、松田聖子のファンでもなかったのに、ヒット曲を全部ソラで歌えてしまうのと同じだ。

とはいっても、私は今、初めてこの映画を見たのである。何しろ、浅野温子が道路にぬわ~っと寝そべっているポスターと、南佳孝の主題歌しか知らなかった。なので、「山崎努と古尾谷雅人が出ていたんだ~」とビックリしたほどの無知ぶり。でもきっと、高校生だった当時の私がこれを見ても、よくわかんなかったと思う。今なら「私もつきあいたい」と思う山崎努も、ただの怖い男に映っただろう。

のらネコみたいな浅野温子が、だんだん色っぽくなっていくのが、すごかった。おっぱいボロンのヌードが2回もあったのが、すごかった。「ここで話は終わり」と思うシーンが、3回くらいあった。

で、この映画を見ながら、「昭和」や「平成」という元号で時代を括ることには抵抗があるものの、やはり「昭和的」な匂いというものがあって、それが一体なんなのか。どういうものが「昭和的」なのか。昭和にあって平成にないものは、何なのか。今日この「昭和の日」(←なんじゃこりゃ)に、ちょびっと考えてみたいものだと思ったけど、昭和って長いよ。ひと筋縄ではいかないよ。

なので、とりあえず、昭和の一時代を席巻した角川映画について、「あれはあれで、意味のあるものだったんだなあ」ということが今頃わかってきたということで、それでよしとしよう。

でもこの映画に関していえば、再評価したのは角川春樹ではなく、監督藤田敏八の才能ですけどね。たった一ヵ所あるスローモーションのシーンが、よかったです。


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2007/04/27

狂気と伝説の記録①

女優のナスターシャ・キンスキーが、「なんであんな顔をした父親から、こんな美貌の娘が?」「父親に似ても似つかない」という言われ方をよくされていて、それがずっと気になっていた。気になっていたんなら、父親(俳優)の出演作を調べて見てみたらいいのだが、ズルズルと忘れたままに。

そんな私のために、ヴェルナー・ヘルツォーク監督が作ってくれた(ウソ)のが、この「キンスキー 我が最愛の敵」という映画。怪優と呼ばれたクラウス・キンスキーとの長年にわたる交流を、監督がしみじみと振り返ったドキュメンタリーだ。

それにしても、キンスキーの常軌を逸した言動といったら、唯我独尊・傍若無人という形容詞じゃ、なまぬるいレベルである。だって、エキストラのインディオが、「あなたのために、あいつを殺しましょうか?」と監督に提案するほどですよ。すごいでしょう。またそれを、「いや、彼はこの映画に必要だから、やめろ」という監督の断り方もどうかと。

人間よりも映画。

でもやっぱり監督も、本気でキンスキーの殺害計画を練ったことがあるらしい。しかし彼は、それほど憎んでいるキンスキーを使って、5本の映画を撮った。どれも、映画史上に残る作品だ。

キンスキーがどんな人間であれ、自分の作品には不可欠な俳優。監督はそれをわかっていた。キンスキーとの日々は、苦悩と葛藤の連続だったことだろう。

この映画の最後に、蝶とたわむれるキンスキーの映像がある。それまでの野獣のような彼とは別人のように、優しくてにこやかな表情。「彼を記憶にとどめておきたかった」という監督の言葉に、キンスキーに対するすさまじい憎悪と愛情がひしひしと伝わってきて、何だか泣けてくる。

愛していたのね。キンスキーを。キンスキーの方は知らないけど。

それにしても、監督と俳優ってつくづく因果な関係だなあ。


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2007/04/21

大統領2本勝負

ピアノを弾く大統領

韓国人は、ほんっとにこんな映画を見て、感動するんですか?それとも、「ジウが出ているドラマなら、どんなもんでもヒットする」という目論見で、日本の韓流ブーム用に作ったんですか?

今時、どうしてわざわざこんなぬるい映画を作るのか、逆にものすごく知りたい気持ち。

アン・ソンギとチェ・ジウのキスシーンが、まさかと思うほど直球すぎて、気持ち悪かった。愛に年齢差があってもいい。でも、それなりにラブ・シーンは考えてもらわないと。

大統領の理髪師

ソン・ガンホの一人勝ち(よくわからんが、そういう言葉が浮かんだ)。

韓国史に詳しくないので、どこまで本当のことか知らないけど、「大統領がなんぼのものかい!」って思う話。それがどんな形であれ、罪もない子供がひどい目に遭わされるのを見たくないなあ。後半から不快指数120%。



以上。前者は、ふと魔が差して見てしまい、自爆してしまった例だが、後者は、それなりに期待があっただけに、ちょっとショック。

「大統領」がタイトルにつく韓国映画は、もう見ん!とほほ。


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2007/04/07

そこそこの2本

イン・ハー・シューズ

キャメロン・ディアスが、初めていい女優に見えた。全然好きなタイプの女優ではないのに、表情に目が釘づけになる。ちょっとくやしい。

そして、ピカピカしているキャメロン・ディアスの対極として、頭はいいけどダサイ姉がいるわけだけど、その役をやった女優が本当にダサくて、んまあ、こんなにドレスが似合わない女優がいていいのかと、役作りだとしても(そりゃ役作りでしょうけど)、あんまり見たくない女でした。ひっつめ髪にメガネ姿が、一番似合っていたと思う。皮肉ではなく。

でも何がよかったって、おばあちゃん役のシャーリー・マクレーン。老いてもなお、保ってます。初めて、今のシャーリー・マクレーンがステキに見えた。

とまあ、私にとっては、新しい発見の多い映画でした。

カポーティ

1959年に起きた一家惨殺事件。当時、世間はこの犯人を「怪物」扱いし、その残忍性に震え上がったらしい。でも今の私たちは、もっと残虐な殺人事件をたくさん知っているので、その衝撃が今ひとつピンとこない。それが、ああ、恐ろしい。

なんてことをちょっと思ったけど、まあ、そんなことはこの映画と全然関係ない話で、映画のテーマは、小説のために犯人に近づいたカポーティの葛藤です。

それにしても、フィリップ・シーモアがカポーティに似ているとはねえ。いや、正確には「似せている」わけだけすですが、ホモっぽい物腰が本当に板についていた。

大好きなクリス・クーパーの出番が、思ったよりも少なくて、それがさみしかった。

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2007/03/28

グエムルの子ども

映画には、それがどんな種類のものであれ、やはりカタルシスが必要だ。

なんてことを、カタルシスに乏しい韓国映画「グエムル」を見てしみじみと思った。

最初は面白かったのになあ。なんだろう、このモヤモヤとした後味の悪さは。

人が死にすぎるせいか、子供が死ぬせいか。あらゆる犠牲を払って一致団結する家族が、結局悲しい思いを二回も味わなきゃいけなかった理由が、納得いかなかったせいか。

途中から軸があっちこっちにぶれて、「もしや期待ハズレ…」というイヤな予感がしたのだけれど、ソン・ガンホのお陰で何とか最後まで持った感あり。

そういや、この監督の「殺人の追憶」はものすごく面白かったのに、「ほえる犬は噛まない」がこれまた期待ハズレで、なんか私とは相性が悪いのかも。細かい盛り上がりが、あちこちに多すぎるんだよ。

それと、韓国映画には雨が降るシーンが多いような気がするけど、中でもこの監督は、どしゃぶりがお好き?「殺人の追憶」でも「グエムル」でも、どしゃぶり続き。どっちにも出演しているソン・ガンホは、大雨に打たれっぱなしだ。

バカ息子のお陰で、災難(どころではない)に遭ったお父ちゃんが、「あーあ」とあきらめた表情で、「お前ら、あっち行け」と手を振るシーンが、怖いとこなんだけどちょっとおかしくて、よかった。このお父ちゃん、もうちょっと出演シーンが多くてもいい。

でもま、「殺人の追憶」で強烈なインパクトのある容疑者役をやったパク・ヘイルが、また出ていたのは嬉しかった。一瞬別人のように、オッサンぽくなっていたけど。

ところで、グエムルは死ぬ前に子どもを産みませんでしたか?もしや、ゴジラやエイリアンみたいに、続編を作る気があるのではないかねえ。だったら、やめとけ。やめとけ。

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2007/03/23

旅する肉片

ヤン・シュヴァンクマイエル監督の新作「ルナシー」を、映画館で見ることができた。

ヤン・シュヴァンクマイエルは、チェコが生んだ鬼才。人形や粘土や日用品などを使った立体アニメで、幻想的で独特な世界観を構築。御年70歳を超えてもなお、その作風は健在だ。いいねえ。気骨あるシュールレアリストのおじいちゃん(私好み)。

この「ルナシー」は、エドガー・アラン・ポーやサド侯爵からアイデアを得たという。そんなことを、冒頭いきなりシュヴァンクマイエル監督が登場して説明。しかも「これはホラーです」って言い切られ、そうなの?と思ってみていると、ひゃ~っ。終盤あたりから、その意味がジワジワとわかってくるのであった。

まあ、ただのホラーじゃないけど。

ところで、ヤン・シュヴァンクマイエルの作風には、生肉や骨といったモチーフがひんぱんに登場し、また、食べている時の人間の口元をアップで映したりと、グロな要素がある。そのせいか、本国チェコでは女性で彼の映画を見る人は少ないとか。

なのに、日本人女性の間ではなぜか大人気で、ファンサイトもあります。

「ルナシー」でも、大きな肉の塊から切り出された肉片たちが、床を転がったりくねくねしながら、いろんな所へ出向いて好き勝手なことをするシーンがあり、でもそれが、気持ち悪いやらカワイイやら。コマ送り的なユーモラスな動きが、だんだんクセになる。

「今の世の中の社会組織には、相反する2つの姿勢が対立しあっている」として、精神病院(現代文明の象徴)を舞台に、「完全な自由を主張するもの」と「抑圧された全体主義を唱えるもの」の姿を描いたこの作品。「哲学的ホラー」と呼ばれるだけあって、いろいろなことを考えさせられたけど、でもそんなことより、束の間異界にどっぷり浸れた快感が忘れがたい。

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2007/03/22

映画のイラスト

やっとスキャナを買ったものの、暖房のない部屋で寒いし、何か出来そうになくて怖くていじれず、繋ぎっぱなしでそのままにしていたけれど、職場で先生(Web担当のあずちゃん)を見つけてヤル気が出てきた今日この頃。

そもそもスキャナが必要だったのは、もう1つの待機中ブログ「空想映画館kino」にイラストを載せようともくろんでいるからで、そのイラストというのは、こんなのです。

さて、これはなんという映画でしょう?

Photo ←誰もが知っているミュージカル映画 



答えは、そのうち「空想映画館kino」で!

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2007/03/20

シベ超解禁

マイク・ミズノ(水野晴郎)監督の「シベリア超特急」を、とうとう見てしまいました。すまん。
しかし、今後シリーズ第二作、第三作を見るかどうかは、今のところ未定。思ったより、気軽に鑑賞できるようなシロモノではなかったので、体力と相談中だ。

マイクは特典映像の中で、「最近の日本映画はけしからん!自分の内面ばっかりぐちゃぐちゃ描きおって。映画はエンタテイメントでなくてはダメだ!」とのたまっていたが、これも十分、内面世界を前面に出している作品では?

(昔の)映画が好きで好きでたまんない水野晴郎。でもセンスがないので、名作のオマージュではなくパクリのコラージュになってしまったシベ超。しかしそれがあまりにもおそまつなので、みんなから許してもらっている。いいな。笑ってあげることが、この映画に対する最大の供養かもしれない。

とにかく、「とんでも映画」として名高いこの「シベリア超特急」は、列車の中なのに画面が全然動かないとか、学芸会みたいな殺人ミステリーだとか、そういうツッコミをする方がバカみたいに思えてくるのだから、不思議。それが、シベ超マジックだ。

それにしてもマイクは、この映画がB級カルト映画になってしまったことを、どう思っているんだろうか。みうらじゅんや浅草キッドに絶賛されている本当の意味を、わかっているとは思えないし、「すごい」という言葉を額面どおりに受け取って喜んでいるようなので、マイクはシベ超シリーズをこれからも作り続けるだろう。

では、出演者(かたせ梨乃やアガタ・モレシャンではなく、三田佳子や寺島しのぶ)の胸のうちは?うーん。わからん。でもそのうち、シベ超に出るのが、一種のステイタスになったりして。

ところで、この映画の見所は、ポアロもどきに事件解決にいどむ水野晴郎が、推理をしようとして目を閉じるたびに、眠っているように見えるところ。これ、毎作ごとにやるんだろうなあ。

実は最初、この映画の破綻している雰囲気が、映画史上最低の映画監督と言われたエド・ウッド(ジョニー・デップ主演で映画化)の作品に似ている気がして、ちょっとドキドキした私(しかし、エド・ウッドのオリジナリティの足元にも及ばず)。

それにしても、事件の経緯やタネ明かしが、ほどんと理解できなかったのは、私のせいなのか映画のせいなのか。そして意外にも、シベ超は反戦映画だったのでした。

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2007/03/15

うちの犬が1番じゃ

久しぶりに、中国映画らしい中国映画を見た。たまにこういう映画を見ると、何だか新鮮だ。

わが家の犬は世界一」という親バカなタイトルがついたこの映画。愛犬のために奔走する男の姿を通して、今の中国と庶民の暮らしを描いたユニークな作品である。

それにしても、中国人は犬を食べるけど、犬を飼うのもずいぶんお好きなようで、でもそのためには登録料が5000元(7万くらい?)かかるから、それを払いたくなくて、警察に見つからないように、夜こっそり散歩する人たち。でもそれがまた、犬を連れてみんなゾロゾロ公園に集まってくるもんだから、返って目立ってしまい、警察に闇討ちされる始末だ。

そしてとうとう、主人公の犬が検挙。犬の運命が決まる午後4時までのカウントダウンが始まる。カーラっていうんですよ。この犬。私の嫌いな室内犬タイプ。このカーラちゃんを猫かわいがりしている主人公(お父ちゃん)は、家族よりも犬が大切なんだって。その理由は、「この犬だけが、自分を人間扱いしてくれるから」なんだって。

なので、それはもう必死になって、カーラちゃんを助け出そうとするのだけど、金で解決できるのにその金がない。さあ、どうする?

息子のパンツを「デザインが許せん」と勝手に破り捨て、犬の服は嬉しそうに買ってくるお父ちゃん。そんな父親を見て、「俺より犬が大事なのか!」といじける息子。そして、この2人を苦々しく、また温かく見守るお母ちゃんさて、この犬騒動で、家族の絆は再び強くなるのでしょうか。

思ったより面白い映画だったけど、カーラちゃんに全然感情移入できなかった私は、「お母ちゃんが、あき竹城に似てる?」ということばかり気になっていたのでした。

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2007/03/14

アメリカンな狼男

コメディだと思っていたのに、すっごく久しぶりに見直してみたら、映画「狼男アメリカン」はホラーだった。はて?別の映画と混合していたのかなあ(あとで、マイケル・J・フォックス主演映画「ティーン・ウルフ」と間違っていたことが判明)。

とはいえ、この映画も狼男の変身シーンが評判だった話題作で、今見てもこのシーンは、1981年当時の特殊メイク技術を総動員して作られたすごいパワーを感じて面白い(しかも2回も見せてくれて、大サービス)。

満月が顔を出すなり、指がのびのびのびっと伸びて狼になり、背中がもりもりもりっと盛り上がって狼になり、顔がめりめりめりっと変形して狼になる若者。CGよりも臨場感があって、目が釘づけだ。
でも完全に狼男になった姿が、ナマケモノみたいなのはなぜ?うーん。これが当時の限界なのか。でも、その愛らしいフカフカな体つきと残虐性のギャップが返って怖く、怪物の哀しいサガも感じたりして。

自分が狼男だと知って苦しむ主人公と、その彼を愛してしまった恋人の姿が、映画「ザ・フライ」を彷彿とさせて切ないのだが、所々に、狙ったのか狙っていないのかわからない笑いも。

だいたい「狼男アメリカン」というタイトルからして、ふざけています(舞台がイギリス)。狼男に殺された人たちが呪われて成仏できず、ゾンビになって街をウロウロしていたり(ポルノ映画館で待ち合わせ)、悲劇的な終り方から一転してポップな音楽でエンディングになったりと、意表を突いた笑いが。

なので、これをホラーと呼ぶのは憚れる。昔はわからなかったが、何だかあっけらかんとしたヘンな映画で、見終わった後、もしかして、ものすごいセンスのある作品なのかも、という気がしてくる。

ちなみに、エッチなシーンもしっかり登場するので、決して子どもには見せないように(私は一緒に見てしまいました…)。でもそういう自分は、この映画を16歳の時に映画館で見たはずなのに、強烈な変身シーンしか覚えていなかったから、そんな心配は無用かも。

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2007/03/11

汚れちまった私に

今頃「ハウルの動く城」を見た。一生見ないかもと思っていたのに、なんとなく。

で、やっぱり、特に見ておかなくてもいい映画だった。ガックリ。最近のジブリには、戦略的なあざとさ(さすがジブリは日本のディズニー)を感じて鼻につくのだけれど、この「ハウル」でも鼻がつんつん。はあ。今度は戦争と魔法ですか。「千と千尋の神隠し」を超えるスケールを目指したら、こうなっちゃうのだね。

特に、期待以上にヘタっぴいだった木村拓也。いくらでもこの役にふさわしい人材はいただろうに、話題づくりで木村拓也にやらせたリスクは大きいよ。ホントにもう、「自然体でカッコイイ」と自分では思っているに違いないあのボソボソしゃべりが、そのまんま声優として通用すると思ってんのかっていう、演技も満足に出来ない奴に声の演技ができてたまるかっていう、早い話が「調子に乗るなよ木村拓也」と私は言いたい。

それに、アニメの声を有名俳優がやると、よほどうまい人(夏木マリや美輪明宏クラスになれば、むしろ相乗効果あり)でない限り、その人の顔がどうしても浮かんできてしまうので、気が散る。私はそれがとってもイヤなのだけど、この作品ではそれが、木村拓也と賠償千恵子というなじめないツーショット。倍賞千恵子が「だってハウルを愛しているの」と言った時など、もうかんべんしてくれと思ったのは、私だけだろうか。

とにかくこの2人の声は、本人の気配がありすぎて画面から浮いていた。木村拓也の自意識過剰と賠償千恵子のカマトトが、鑑賞のジャマだった。これは、アニメとして致命的でしょう。子ども向け海外アニメの吹き替えならばまだしも、ジブリが万を期して打って出た新作がこれでは、センスを疑う。でも、そもそも期待しすぎ?

などとブツブツ悪態をついていた私。

ところが翌日、ネットで「あなたの心の汚れ具合は?」という占いをしたところ、デッドストック100%という結果が出たので、「ハウルの動く城」をキラキラした目をして鑑賞できなかったのは、私の心が隙間なく真っ黒に汚れているせいかもしれないです。占いの診断書に、「あなたは自分のことしか考えていませんね」と書いてあったしね。ふん。このドス黒い心が洗われるような映画を、早く見たいものです。

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2007/03/09

世界は2度死ぬ

以前映画館に勤務していた頃、深作欣二監督の追悼特集を企画したことがあった。その時、「初めて見た」という若い世代にも、「再度見直した」という若くない世代にもすこぶる評判が良かったのが、「蒲田行進曲」と「復活の日」。この2本が、今なお観客の心を揺さぶり、感動と涙を誘う名作として生き残るとは、公開当時は思いもよらなかったなあ。うーん。長生きはしてみるもんである。

特に「復活の日」は、南極を含む海外ロケしまくり。主題歌も英語で、俳優も外人を採用しまくりの金使いまくりで、今見てもすごい気合いの入れよう。角川春樹の執念が注がれた熱い一作といえよう。

「復活の日」は、細菌兵器が誤ってばらまかれ、「イタリア風邪」と称される原因不明の病気で、世界中の人たちがバタバタと死んでゆく話である。ワクチンを求めて暴動が起こり、病院は野戦病院と化し、山積みにされた死体が焼かれる。もちろんSFだけど、今じゃひょっとするとありえるような話なので、公開当時よりも怖さがリアルだと思う。

人類滅亡の危機にさらされ、残った人たちは、国や人種を超えて、みんなで知恵と力を合わせざるをえない状況に追い込まれる。そうそう。今の地球温暖化問題も、ここまで切羽詰まらないと、世界は一丸となれないんじゃないかと思ってしまった。
しかし映画では、ウイルスにやられた地球が、もう一度、今度は核兵器でやられてしまうのだから、どうしようもなく自業自得。果たして人類は、そこから復活できるのか?奇跡の生還を果たした草刈正雄が、その希望を象徴しているのかもしれないけど、まだまだ道のりは遠い。

ところで、この草刈正雄と共演して日本中をビックリさせたオリビア・ハッセーだが、彼女がノルウェー人という設定だったとは、いやはや。この2人のキャスティングが、当時いかにすごいことだったかを若い世代に伝えるとすれば、誰に例えればよいだろう。オダギリジョーとジョディ・フォスター?

とりあえず、「日本沈没」みたいに、この作品が安易にリメイクされないことを祈るのみ。

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2007/03/07

セーラー服と薬師丸ひろ子

先日ケーブルで、「24時間まるごと薬師丸ひろ子」という特集をしていた。 24時間も薬師丸ひろ子とは、濃ゆくて甘酸っぱくて、少しエグみのあるフルコース料理のよう。いや、そんなことよりも、こんなことされたら昔の自分を思い出してしまって、わたしゃ恥ずかしい。

何を隠そう、高校生の頃、写真集をすべて買い、部屋にカレンダーを貼り、雑誌の切り抜きを下敷きに入れて、髪形も薬師丸カットにしていたほどのひろ子ファンだった私。それゆえ、薬師丸ひろ子関連の芸能ニュース(当時)を、自分でも嫌になるほどよく覚えている。

例えば、「Wの悲劇」の時、初めてのベッド・シーン(といっても画面真っ暗)を受けて、新聞のテレビ蘭に「薬師丸ひろ子、ついに処女喪失?」という見出しが載り、彼女が「はい。監督から、股にタマゴをはさむようにと言われました」とコメントしたこと(おいおい)や、「セーラー服と機関銃」のラストシーンを撮り終えた後、車に飛び込んで大泣きしたこと。初めてのキスシーン撮影では、スタッフが気を使って外に出たことや、有名な「カイカン!」のシーンで、本当にホッペに傷がついたことなどなど。

しかしそんな私も、さすがに24時間はつきあいきれないので、見たのは「野性の証明」「セーラー服と機関銃」「Wの悲劇」の3本だけ。でも、この3作品だけで十分でしょう。実際、今見ても面白いのは、この3作品だけだ。特に「セーラー服と機関銃」は、ゆるぎない彼女の代表作だ。

長澤まさみ版のドラマ「セーラー服と機関銃」は未見だが、それでも薬師丸ひろ子よりはこなれているだろう。それほど、この薬師丸ひろ子はぎこちなくてダサい。「なんでこんなんでアイドルだったんだろう」と、今なら私でも思ってしまう。でも、この堅さが魅力なのだ。父親の葬式の後、「ひとりぼっちになっちゃった」と、ムリして塗った口紅をぬぐったり、父親の愛人の「女」の部分に反発したり、そういう思春期特有の世慣れていない部分が、今の女子高校生では感じがでないでない。

それと、今回25年ぶりくらいにこの映画を見なおしてみて、「こんなに荒唐無稽な映画だったのか」と、その面白さに驚いた(なんせ当時は、薬師丸ひろ子しか眼中になかったもんで)。コミカルであやしくてバカバカしくて。でもそれが、何だか切なくて。

「邦画といえば角川映画」だったあの時代。でも私は、「金だけかけて安っぽい」と心の中でバカにしていたのだけど、案外いい作品も作っていたんだなあ。でもえらかったのは、相米監督かもしれないけどね。

若い時に好きだった映画を、大人になってもう一度見ると、夢が破れることもあるが、こんな風に、その映画をもっと大切に思えるようになることもある。
というわけで、最近あまり面白い映画がないとお嘆きのあなた。新しい作品ばっかり追いかけていないで、たまには一度見た映画を見直すことを、オススメします。

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2007/03/03

ロシアSF映画の味わい

やっと見ました。ロシアの傑作SF映画2本。どちらも必見の面白さ。


「不思議惑星キン・ザ・ザ」
ほっぺをパチパチと叩いた後、両手を広げて脚を曲げ、「クー!」と叫ぶ。これが挨拶である不思議惑星に、ひょんなことからワープしてしまったロシア人男性2人。何とかして地球に帰りたい彼らと、いい人なんだか狡猾なんだかよくわからない異星人たちが繰り広げる脱力系の駆け引き。

砂漠の空をユラユラ飛ぶ銅鐸みたいなUFOが、こわいようなおかしいような。ふざけているようで、実は社会風刺が満載らしいこの映画は、モンティ・パイソン風のユーモアと、アヴァンギャルドなセンスに彩られたクセになる一品だ。ロシア。おそるべし。


「UFO少年アブドラジャン」
ソ連崩壊前のウズベキスタン映画。ソ連軍の全面協力のもと、本物の戦車や戦闘機が登場し、宇宙センターでロケもやってしまったのだそうだが、全部セットに見えるこのチープさが、たまらない。「スピルバーグ宛の手紙に書いた話」という設定で、「E.T.」をもじったような、宇宙人の少年と人間の交流が描かれる。もちろん中身は、「E.T.」よりもよい。

お椀のようなカワイイUFO(娘はこれを見て、「あ、吊るしてある」と即座に言った)に乗ってきた少年を、まるで我が子のようにかわいがるおじさん。少年の超能力によってバカでかいスイカがなり、みんなクワにまたがって空を飛ぶ。最初はゲラゲラ笑えるドタバタコメデイかと思っていたけれど、じわじわと心が温かくなり、それでいてちょっぴり切ない素朴なおとぎ話だった。

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2007/02/28

デビルマンよ、永遠に

私たち、ここまでナメられていいんだろうか。冨永愛に、ボブ・サップとkonisikiに、宇崎竜童&阿木曜子夫妻に、小林幸子に、永井豪に、そして監督に。面白くないだろうなと思ってはいたが、まさかここまでとは・・・。映画「デビルマン」。わざわざナメられに行った私も甘かったんだけど、このチャチさは想定外だ。学芸会?原作と比べてどうのこうのといえる以前の問題でした。

何よりも、肝心のデビルマンが目つきが悪いだけで、かばってあげたくなるほど弱そうなのよ。唯一期待していた戦いのCGシーン(ちょこっとしかない)も、ゲームみたいだし、一体何がやりたかったんだろう?せめて、デビルにとりつかれたkonisiki(外見は人間)が、「サタン、ばんざい!」と叫びながら銃弾に倒れた瞬間に、ヘンなデビルに変身してほしかった。

そんな私は、これを見ている間中、頭の中は原作マンガへ。私が原作を読んだ時にはもういい大人だったが、それでもあまりの衝撃に、しばらく夢でうなされたものだ。この映画が中途半端に原作をなぞっているだけに、一層心は原作に飛び、原作の偉大さをしみじみと思う(それをぶち壊したのは、原作者本人だけど)。本当のデビルマンを知らない方は、ぜひ原作を!

そうはいっても、こんな映画にだって、少しは取り柄があるものである。暴徒に家を囲まれ、もはやこれまでという時に、阿木曜子が旦那に「ねえ、浮気したことある?」と聞くシーン。「ないよ」「ウソでも嬉しいわ」と夫婦が最後に交わす会話に、不覚にもグッときてしまった私。だって、阿木曜子がかわいいんだもん。リンチシーンは、あそこまで見せる必要はなかったと思う。結果だけを見せれば、何があったかわかるのに。そっちの方が怖いのに。ダサイ演出だ。

あ、あったあった。見所が1つ。涼の父親である本田博太郎がデビルにとりつかれ、何だかよくわからない化け物になって、うごめいているシーンには、笑わせてもらった。ホントに、何をやらせても一生懸命な博太郎。またしても、惚れ直しました。

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2007/02/27

ヘレン・ミレン万歳!

WOWWOWに入っていた頃は、アカデミー賞授賞式の日に有給をとり、友人を自宅に呼んで昼間っからワイン飲みながら、ライブ中継をワイワイと見ていたものである。アカデミー賞は、賞レースには興味がなくても(ノミネート内容すら、発表当日まで知らなかったりする)、お祭り騒ぎとして鑑賞するにはもってこいの一大イベント。私たちは、「ジョニー・デップが髪切ってるぅ~!」とか「あれがバンデラスの娘?」とか言って喜んでいるだけのただのミーハーと化し、じれったい同時通訳なんか全く聞いちゃいない。画面の隅っこに顔がチラッと映ったスターに一喜一憂。懐かしい思い出だ。

残念ながら、今は録画で見るしかない身の上であるが、今年のアカデミー賞で何よりも嬉しかったのは、ヘレン・ミレンの助演女優賞受賞だった。ダイアナ妃の事故死をめぐるイギリス王室の騒動を描いた「クイーン」という映画で、エリザベス女王を演じたヘレン・ミレン。まだ見ていないので想像するしかないのだが、想像しただけでも、外見もソックリで雰囲気もピッタリ!もともとヘレン・ミレンのファンだっただけに、喜びもひとしおだ。

ところで、イギリス女王といえば、最近はジュディ・デンチのイメージがあったかもしれない。「至上の恋」「恋に落ちたシェイクスピア」で女王役をやったから。確かに、ジュディ・デンチの貫禄ある女王もいい。でも私は、ヘレン・ミレンのおっとりした気品が女王っぽいなあと、密かに思っていた。

実は彼女は、「クイーン」の前にも、イギリス女王を演じたことがある。「英国万歳!」という映画だ。これは、18世紀に国王ジョージ3世が突然発狂してしまった史実を基に、王の治療や後継者争いで王室が右往左往する模様をブラックに描いた作品。ヘレン・ミレンは、狂った国王に「ん、まあ」と心を痛めつつ、どこか他人事のようにこの事件を見つめている女王だった、と思う。よく覚えていないけど、そんな印象。これがよかった。だから、ヘレン・ミレンにまた女王をやってほしかったのよ。願いが叶って私は嬉しい。

ちなみに、この「英国万歳!」でダメ皇太子を演じたルパート・エヴェレットが、必見のおかしさである。育ちがよく、野心はあるけど器が小さいという役をやらせたら、こんなにうまいとは。気品とユーモアと崩れてきた美貌という点で、ヒュー・グラントに通じるものがあるが、ルパートにはどこかすっとぼけた突き抜け感があり。ゲイをカミングアウトしてからのルパート・エヴェレットが、私は好きだ。

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2007/02/23

プラハ!と叫んでみよう

チェコ映画の新作「プラハ!」(http://www.praha-movie.com/)は、2001年制作とは思えぬような、レトロな作り。それは、ファッションとかそういう見た目だけじゃなく、演出もとってもレトロなので、臨場感はバツグンだ。

1968年プラハの春を舞台に、若者の青春を描いたこの映画。最初は「グリース」みたいだなあと思ったけど、そこはやはりチェコ映画。ミュージカル部分が、アメリカ映画とは違います。何しろ美術セットの色使いやデザインの斬新さ。ユニークさ。突然別世界に早変わりするところがインド映画みたいである。男女6人がトロッコ(!)に乗って、そのまま宇宙をぐるぐるめぐるシーンに展開してゆくシーンには、特に感動した。

これを好きか嫌いかと聞かれたら、申し訳ないが、好きではない。サカリのついたティーンエイジャーの話が面白くないのと、男優がビックリするほどかっこよくないのと、全体的に古めかしくてまどろっこしいから。でもダンスシーンだけは、手放しで絶賛しよう。ここだけ編集して何度も見たいほど、カッコイイ。

とはいえ、この映画は、ただの好いた惚れただけではないので、見た後に何ともいえない余韻が残る。プラハの春が踏みにじられ、若い恋人たちの未来やいかに、という終わり方には、じんとした。歴史の暗い影がじんわり迫ってくるこのラストがあればこそ、恋にはしゃぐピチピチな彼らの青春がよけいに切ない。

ところで、若い男女が一目ぼれするシーンが、2人だけにスポットライトが当たる演出だった。これは「ウエストサイド物語」にソックリ。恋に落ちた2人の目には、一瞬周りが見えなくなるという心理描写なのだけれど、「ウエストサイド物語」の時には感動したのに、この映画ではちょっと笑ってしまったのは、なぜだろう。

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2007/02/22

ロバート・イーズという男

前から見たかったドキュメンタリー映画「ロバート・イーズ」を見る。女に生まれて結婚して二児の母となり、のちに男として生きた人の話。いわゆる「おなべ」でありますが、でも母でもあるというのがすごいでしょう。そして恋人は、男として生まれたけど女になっている人。つまり2人は、トランスセクシャル同士のカップルなのである。

私は、リスクを背負って自分に忠実に生きている人が好きなので、だから自然に、トランスセクシャルの人たちに関心が向いてしまう。それは単なる好奇心ではなく、どちらかというと、憧れに近い。

で、このロバートさんは、子どもの頃から自分を「男」だと思っていて、なのに結婚して妊娠・出産を経験したわけだから、「子どもを産んだ男」なのである。つまり、男でも子どもが産める場合があるっていうことだ。これには目からウロコ。

ご本人は、出産はステキな体験だったと回想しつつ、「最高で最悪の体験」というような複雑なコメントをしていた。ムリもない。そんな彼を理解する息子のインタビューで、普通に「母が」という言葉が出た時、「母」というのは性別ではなく、「母」という存在を指す概念なんだなあとつくづく思った。愛情を注いで子どもを育て、人生の後半は男として生きている母を、息子は優しく見守っているんだなあ。しかし孫が、くりくり巻き毛のロングヘアで、お人形のようにかわいらしい男の子だったのを、私は見逃さなかったよ。将来は男?女?

ところでロバートは、子宮を末期ガンに侵されていて、余命いくばくもない体だ。最後に残っていた「女」が彼の命を奪うとは、なんという皮肉な運命か。しかし彼は、最期までダンディで愛情深く、ユーモアがあって、そこには自分らしく生きてきた人の潔さが感じられて胸を打つ。

舞台が保守的なアメリカ南部だったせいかもしれないが、トランスセクシャルたちの性転換手術は、医師側の差別意識から、とてもずさんなものだと、この映画で知った。それにガンになっても「周りの患者が嫌がるから」とまともな治療を受けさせてもらえず、治療費もバカ高い。

それでも彼らは似たもの同士でコミュニティを築き、助け合いながら、生きている。絶望を突き抜けたような彼らの明るさが軽やかで、ロバート・イーズは何だか幸せな人だなあと思った。

DVD ロバート・イーズ/ROBERT EADS

販売元:ビデオメーカー
発売日:2004/07/23
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2007/02/17

君は「ロッキー」を知ってるか

何だかつらいニュースを耳にしたので、このやり場のない思いを誰かと分かち合いたくて、思わずキーボードを叩いている。

映画「ロッキー・ザ・ファイナル」が、春の公開に先がけ、今月22日から開催される「ゆうばり応援映画祭」のオープニングを飾る!ご存知「ロッキー」ことシルベスター・スタローンが、16年ぶりに復活させたこの映画。老体にムチ打って再びリングに上がるロッキーに、財政破たんした夕張市が「復活」「あきらめない」に共感し、ロッキーが振りあげたこぶしの上に、大文字で「がんばれ夕張!」と印刷した特製「ロッキー・ザ・ファイナル」のポスターまで作成。

ああ。ロッキーに自分を重ねているのは、スタローンだけかと思っていたが、違ったのね。べつに夕張市を応援しないわけではないけど、それを「ロッキー・ザ・ファイナル」に託すのは、正解?スタローンも、他人を応援している場合かっていう。何だかもう、「一緒にスクラム組んで、どん底から立ち上がろう」という悲痛さが伝わってくるだけで、むしろ寂しさが倍増。この「ロッキー」新作も、そっとしておいてあげたかったのに、こんな形で注目されちゃって、どうしよう。

この「ゆうばり応援映画祭」は、夕張市を応援するために、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」を復活させたものだそうだ。「応援」という言葉がストレートに入っているところや、「ロッキー」に白羽の矢(かどうか知らないけど)を立てたところが、いかにも行政的オヤジ的センス。映画祭をやるのはいいかもしれないし、でもやるんなら、山形国際ドキュメンタリー映画際みたいに、テーマを持って長く続けてほしいと思うけど、目玉が「ロッキー」16年ぶり新作の日本初公開!とは、あまりにしょぼかろう。

でも、こうやってニュースになっているところを見ると、話題性はあるのだろう。だから、一応成功?後は、映画と一緒にコケないよう、祈るのみ。

それと、誰かに無性に言いたいので、この話題を。

織田裕二がホームドラマに初挑戦し、20歳年下の妻(上野樹里)をもつ40男の役をやるんだって。それで、その義母が昔の恋人だったという設定なんだけど、なんと、その義母をやるのが大竹しのぶ!

織田裕二は、「ええ?20歳も年下の奥さん?マジ?しかも、お母さんがモト彼女?」って叫んだらしいけど、現実にあるかもしれないよねえ。でも私が世間に問いたいのは、大竹しのぶと織田裕二ですよ。許していいの?この2人が意味深な視線を交わしたり、若妻に隠れてドタバタやったり、こっそり昔のラブラブ時代を回想したりするのを。これ、ホラーじゃなくてコメディーだよ。絵的に想像しただけで、何かがこみ上げてくる私。でも最近刺激がないので、怖いもの見たさで初回くらいは見るかも。

では、織田裕二と恋愛関係にあった5歳年上のこの義母に、一体誰がふさわしいだろう。黒木香?いや、現役すぎて危ないな。うーん。

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2007/02/13

長くて短っ!

こんな映画を配給する会社も会社だが、それを見ている私も私である。

「テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生 まだテハンノにいる」という韓国映画のことだ。宣伝文句は、SFエロティックホラーカルトムービーだって(それを言うんなら、カルトじゃなくマニアでしょう)。監督が編集・脚本・撮影・音楽等ほとんど全部一人でやり(そうじゃなきゃ、こんな映画に作れん)、いかにも低予算で作ったという思い入れたっぷりの映画。初期の塚本晋也みたいだけど、塚本晋也の方が才能は上。「鉄男」見てないけど。

最初ホラー風アダルト映画みたいだったので、つきあいきれんと思いつつ、でも途中から突然女子高生と先生が歌を歌いあったりして、妙にギャグっぽいので、淡い期待を抱いて見続けた私。すると、ラストがなかなかの展開で、「やっぱ映画は、最後まで見なきゃわかんないもんだわ」としみじみしてしまった。お陰で、なんだかすごい映画を見たような錯覚に陥っている。

女子高校生が「今日は月がきれいね。私妊娠したみたい。愛する先生の子供。三人で幸せに暮らしましょう」とエンエン独白するシーンに、オペラが流れるわ、バラバラにされた彼女がナゾのバアさんに足踏みミシンでつなぎあわされ、殺人マシーンとして蘇生するわ、悪趣味と破綻が奇妙に入り混じって先が全く読めず。そういう面白さは確かにある。

でもさ。女子高校生が、自分を殺した張本人である先生に復讐をしようとしたら、なぜだか銃が撃てず、「担任は撃てないようにプログラムしてあるんだ!イッヒッヒッヒ」と高笑いする先生。そこへ、いきなりやってきた妻が「あなた~っ。今学校から連絡があって、校長に昇進したんだって!」と言ったとたん、女子高校生が自分の股間に設置したマグナムを先生にぶっ放したのには、笑ったよ。結局コント?で、そのココロは、

①先生が「担任」でなくなったので、殺すことができた

②先生が「校長」を殺すためのプログラムを組み込んでいた

うーん。どっちだろ。たぶん②。

あ、ネタバレになっちゃったけど、誰も見ないから、いいよね。

ちなみにこの映画は、1時間もない短さで、それがいい。というか、それが限界。タイトルの長さは、「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」には負けた。残念。

テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる DVD テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる

販売元:ジーダス
発売日:2003/11/28
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2007/02/10

ドイツ人がほとんど出てこないドイツ映画

昨日見た「ゲート・トゥ・ヘブン」は、ドイツ映画のはずなのに、時々インド映画になるので驚いた。つまり唐突に、バックダンサーつきで歌ったり踊ったりのめくるめくエンターテイメントが始まる。でもこっちはこれをインド映画だとは思っていないから、心構えができていない。だからさすがの私も、引いたよ。いくらヒロインがインド人だからって、これはないやろ~。しかもその余波なのか、ラブシーンがインド映画っぽくてしらじらしく、恥ずかしさ110%。やんなっちゃう。

私はドイツ映画が見たかったんじゃ。ドイツ語の響きとドイツ人(男)の顔が好きなんじゃ。

なのに、出てくるのは、インド人やロシア人やモンゴル人やアフリカ人ばっかし。そんな風に国際色豊かなのは、これが密入国の話だからなんだけど、主人公2人が「パイロットになりたい」だの「スチュワーデス(フライトアテンダント)になりたい」だのとねぼけたことを言っているかと思ったら、後半は子ども救出作戦になっちゃうし、話にブレがありまくり。一体何の映画なんだ。これは。

あーあ。キンキンのドイツ映画かと思ったのに、残念。そして、ヘンな映画(ヘンなのは私?)。

でも私は空港が好きなので、その点では楽しめたと思いたい。空港で暮らす話は他にもあるが(「パリ空港の人々」「ターミナル」「裸足のトンカ」)、この映画には密入国がからんでいるせいか、他とは毛色がちょっと違う。でも、つまんない映画には変わりない。

この監督の前作「ツバル」は、画面がセピア色がかった青や赤で統一され、確かセリフもほとんどなく、しゃべっても意味不明の言葉で、実験映画というほどのことではないけれど、ユニークだった。主演がドニ・ラヴァン(「ポンヌフの恋人」)とチェルパン・ハマートヴァ(「ルナ・パパ」)というのも、なかなかオツなキャスティングだったし、面白いセンスがありそうだと思ったんだが…。

というわけで、モテすぎのヒロインに舌打ちをしつつ、タイトルの意図もわからないまま、映画は終わった。次作は見ないかも。

ゲート・トゥ・ヘヴン DVD ゲート・トゥ・ヘヴン

販売元:キングレコード
発売日:2005/01/13
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TUVALU ツバル DVD TUVALU ツバル

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2007/02/09

オアシスはどこにある

何を今更とお思いの方もいるだろうが、遅ればせながら、公開当時あちこちで大きな話題になっていた韓国映画「オアシス」を見た。夜明け前に見るタイプの映画じゃなかったんだけど、そうとは知らずに朝5時から。

いつも、見たい映画の情報は極力シャットアウトしている私なので、この映画の内容については、チラシのイメージとソル・ギョングが出ていることくらいしか、知らなかった。まあ、結果的にはそれでよかったんだけど、まさかこんな映画だったとは…。

そういやこの映画、「○○な純愛」という言われ方もしていたっけ。純愛ねえ。そりゃ純愛なんだろうねえ。他に言い様がないよ。でもいきなり主人公が家宅侵入して、障害者の女性を(なりゆきで)レイプ未遂してしまうシーンが、この世のものとは思えぬほど不快。デリケートな人だったら、見ていて吐くね。

何しろソル・ギョングが上手すぎて、困っちゃうよ。ホントに。いるいる。こういう人。やるやる。こういう人はそういうことを。でも「うう。見ちゃおれん」と言いつつ、指の間からしっかり見てしまうのはなぜ?見ちゃいけないものを見てしまったという気持ちは、間違いなくあるものの、それだけじゃない何とも収拾のつかない気分。

切なくもどかしい話ゆえ、見ているうちに後味が悪そうな予感がチラリとしたが、ところがどっこい。主人公は恋愛ターミネーター(古い言い方)だった!そう思うと、涙を誘うようにできているのかもしれないラストが、私は笑えてしょうがなかった。

社会の片隅でそっと寄り添っている彼らを見ると、「支えあいながら生きるって、こういうことなんだな」としみじみする。窓から差し込む陽だまりのようなオアシス。「がんばれ」とは言わないけど、暖かく見守るくらいは私にもできる。

韓国映画には容赦がないところがあって、私はそこに他にはない魅力を感じるのだけど、こんな映画も韓国でしか作れないと思う(リメイクはありえん)。そういう意味では、見る価値あり。ただし、見た後で薦めた私を恨まないように。

オアシス DVD オアシス

販売元:バンダイビジュアル
発売日:2004/12/23
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2007/02/06

おっぱいづくし

この頃なぜか、私はおっぱいづいている。それは、たまたま読んだ本や見た映画が、①「おっぱいバレー」②「オッパイ星人」③「恋するブラジャー大作戦(仮)」だったからだ。

①「オッパイ」はオッサン臭くてやらしいけど、「おっぱい」は無邪気で子どもっぽい。だからこの小説のタイトルは、平仮名で大正解。バレーに強くなったら、美人教師のおっぱいを見せてもらえる。ただそれだけで、バレーをがんばる男子たちを描いたこの小説は、映画化も決まり、今後ますますメディアに登場しそうだ。

でもホントに、あの年頃の男の子って、こんなバカですよ。それが「バカ(でもカワイイ)」のひと言で済まされるうちに、めいいっぱいバカをやったらいいし、それが男の子の正しい青春ではないかと思う。いい年をしたおじさんになって、女子トイレを盗撮したりスカートの下を隠し撮りしたりするよりは、健全だ。

②一応映画なの?これ。よく知らないけど、でもこれ以上詳しく知りたくない気もする。アパートの一室でオッパイ星人(顔だけ実写のCG)たちが、ダラダラと雑談をしているという、深夜10分枠で見るべきシロモノ。遠藤憲一がコワイ。

③誰かがこの映画を絶賛していたのでつい見てしまったのだが、こんなおバカな三流コメディに、カリーナ・ラウとかカレン・モクがフツーに出ているところが、香港映画のすごさだ。ブラジャー会社に就職した男2人の三流ドタバタ劇。彼らが猛特訓の末、ひと目見ただけで、服の上からバストサイズとブラのメーカー&デザインを当ててしまうシーンだけ、ちょっと笑った。

あーあ、こんなにいっぱい「おっぱい」を連発しちゃったよ。検索キーワード「おっぱい」でこのサイトに来た男性の方。ご期待に添えなくてすみません。

おっぱいバレー Book おっぱいバレー

著者:水野 宗徳
販売元:泰文堂
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オッパイ星人 DVD オッパイ星人

販売元:キングレコード
発売日:2005/08/03
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恋するブラジャー大作戦(仮) DVD 恋するブラジャー大作戦(仮)

販売元:タキコーポレーション
発売日:2006/09/08
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2007/02/03

遺伝子の未来

未来社会といえば、昔は必ずロボットやサイボーグが出てきて、未来=機械化社会というイメージがあった。それが今や、遺伝子。クローンや遺伝子操作や体外受精がフツーに行われ、それにより新たな管理社会が生まれている未来。そんな世界では、赤の他人でも「遺伝子が同一=血縁者」になることがあるので、彼らは愛し合うことを禁じられてしまう。それが、このイギリス映画「コード46」(2003年)の物語だ。

マイケル・ウィンターボトム監督らしいザラッとした映像。反復するような音楽。ドキュメンタリーのような作り。驚いたのは、ティム・ロビンスとサマンサ・モートンの身長差が、大人と子供くらいあるってこと。こんなデコボコカップル、初めて見たよ。

SFなのに、乗り物は地下鉄や飛行機で、町には屋台が並び、食べ物も今と変わらない。それなのに、世界の成り立ちが「外」と「内」に分かれ、指紋でドアが開き、コンピュータが今日の予定を教えてくれるという微妙な未来ぶり。そういう、いかにもSFっぽい作りじゃないところが、かえってリアルだ。

これは、間違いなくラブ・ストーリーなんだけど、ティム・ロビンスは、彼女と一緒にどうするつもりだったんだろうねえ。

笑うとでかいエクボができるティム。何だかそのエクボが、まぶしかった。

CODE46 スペシャル・エディション DVD CODE46 スペシャル・エディション

販売元:ハピネット・ピクチャーズ
発売日:2006/04/28
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2007/02/02

ピンク映画

月1回しか映画館に行けない。その貴重な1本に、ソフィア・コッポラ監督「マリー・アントワネット」(http://www.ma-movie.jp/)をあてていいのかどうか、ちょっと悩むところではあったが、最近は「話題作はその時に見る」をモットーにしているので、見ましたよ。予想通り、客席が主婦層ばっかしだった(レディースデイの昼間なので)。

裏タイトルは、「マリーの青春」だね。確かにこの監督は、女の子の「気分」を撮るのはうまいかも。当初は画面がピンクピンクしているイメージがあったが、意外にくすんだブルーがきれい。本物のベルサイユ宮殿で撮影しただけのことはあり、王妃たちの暮らし(遊んでばっかりだったが)に、臨場感があった。個人的には、ジュディ・デイビス(王妃の教育係)を久々にスクリーンで見られたのが、嬉しい。

ところで、昨今「女子」「女の子」「乙女」というキーワードでカルチャーを語る女性が増えてきたが、この映画は、王妃をスバリ「一人の女の子」として描いてあるんだから、女の子映画の代表といえよう。しかし私は、自分が、彼女たちが語るような「女子」だった記憶がなく、いや、女子だったことは絶対にあるはずなのだが、そんなピンク色をした女子ではなかったので、「これが女子」「女子ならこう」という分析に、どうにも違和感が。そんなモト女子、いないですか?

それから、もう1本。

これはDVDだが、「プルートで朝食を」というアイルランドを舞台にした映画を見た。女の子になりたい男の子が大人になり、お母さんを探しながらいろんな人たちに会って、カッコよく言えば、自分の生き方を見つけていく話だ。ゲイが主役でもゲイ映画という感じは全くなく、しかもこんな風にIRAを織り交ぜている映画は、私が今まで見た中ではこれが初めて。甘い夢と苦い現実がほどよく混ざり、笑えて切なくて、私は好き。

ちなみに、プルートは冥王星のこと。冥王星で朝食を食べたら、どんな気分だろう?

この2本、たまたま同じ日に鑑賞。どっちかに軍配を挙げるとしたら…うーん。やっぱり「プルート」だろうか。「マリー」はわかりやすいが、「プルート」は人に魅力を説明しにくい。そこが勝ち。

プルートで朝食を DVD プルートで朝食を

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2006/12/22
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2007/01/31

暖冬の怪談

暖冬で光熱費は助かるが、初春みたいにここまで暖かいと、さすがにちょっと不安になる。特にここ大阪は、連日ぬくい。今は真冬よね?寒い冬ってどんなかったっけ?

だから寒くなりたかったというわけでもないが、怪談紙芝居「猫三味線」をDVDで見た。もともと「紙芝居」という形式が好きな私だが、「昭和30年代に作られた伝説の紙芝居を復活!」と聞けば、しかもそれが「怪奇復讐譚&長編時代劇」と聞けば、コワいもの見たさの虫がウズウズするというもの。それに、紙芝居師梅田佳声が語っているというではないか。いや、実はこの人のことは今まで知らなかったんだけど、私は「話芸」に弱いのだ。

しかし、これがまた長い長い。何しろ全56巻600枚だそうで、シェイクスピアか大河ドラマかっていうくらいの、因果応報に満ちた悲劇。江戸の豪商を金目当てに殺した浪人が、その娘に取り入って結婚をして跡を継ぐ。しかし、前のご主人がかわいがっていた猫だけが、この男の本性を見抜いていた!だから、婚儀をジャマしようと、三々九度の杯をくわえて逃げたりね(涙)。で、この猫が恨みを晴らすわけだが、やはりそこは「必殺仕事人」とは違います。この味わいは、どっちかというと、歌舞伎や浄瑠璃に近い。

実写的な絵柄が「昭和」の匂いプンプンで、目の前でお芝居を見ているようなリアルな臨場感。時々「ああっ!」なんてセリフが一緒に書かれていたりして、マジメに笑わせてくれる。

でも、最後らへんでいきなり実写がはさみこまれるのは、どうしたことか。猫の魂が乗り移った猫娘が生まれる場面から、急に調子が狂う。これも、唐沢俊一(脚本・演出・総監督)の趣味なんだろうけど、ガクッときてしまう。だって、極道だけど色男な主人公を演じた役者が、ダチョウ倶楽部の竜兵みたいなんだもん。猫娘の安っぽいメイクも、いかがわしさを出すための意図的な演出なんだろうけど、どうですか。これ。

とまあ、見た人同士でいろいろと盛り上がれる作品である。梅田佳声の江戸弁語りは、堪能。「あとでカラオケに」とか「ディズニーランドに連れていってやる」などといった現代風アレンジにも違和感なく、欠けた巻の説明も「ないんだからわからないよ」というノリ。この軽さの按配が、陰湿な物語にホッと風穴を開けている。

ところで、見終わった後は寒くなるどころか、何だかしんみりしてしまった。スカッとする敵討ちとは程遠いこのやりきれなさは、なに。「あんな男でも人の親だったんだなあ」というむなしさよ。

真夏にお寺の本堂で鑑賞会をしてはいかが?ただし、R12指定ってことで。

猫三味線 DVD 猫三味線

販売元:バップ
発売日:2006/07/26
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2007/01/27

二日坊主

5時起き、2回できました。でもやってみてわかったのは、7時に映画を見終わろうと思ったら、5時に起きてちゃ間に合わないってこと。起きてすぐ見始めるわけじゃないんだからさー。その前に、5時きっかりに起きれないってば。

だったら4時半だ。4時半。それしかない!でもムリ!そこまで映画好きじゃない!

とはいえ、一応2回は達成できたから、私にしては上等だ。そして、そうやって寒い朝まっくらな部屋で鑑賞したのが、「モンスター」と「クラッシュ」である。どっちも朝っぱらから、しかも出勤前に見るような映画ではないが、たまたまレンタルしていたので。

「モンスター」

クリスティーナ・リッチが、健気で愚かでしたたかで、よかった。彼女が出ていなかったら、見てない。シャーリーズ・セロンの醜さは一見の価値があるが、この主人公に興味があるんなら、ドキュメンタリー映画「アイリーン」を見た方がいいと思う。

「クラッシュ」

みんな見るべし。その際は、歯を食いしばって、最後まで見るべし。とにかく脚本がすばらしい。マッド・ディロンが意外にサイコー!

そういえば、「クラッシュ」は、同タイトルの洋画がすでに1本あるのが、まぎらわしい。そこで両者を区別するため、悪いが勝手に副題をつけさせてもらった。「クラッシュ~白も黒もありゃしない」というのはどうだろう。

あーあ。やっぱり起きられないなあ。でも早朝に鑑賞するのは、なるべく軽いやつ、元気なやつ、明るいやつ、エネルギーがいらないやつに偏ってしまいそうだったから、計画が頓挫してよかったかも(前向き)。

とりあえず、今後は自分に譲歩して、休日の6時起きを目指してみよう。いつもは9時起きのダメ人間だけど、そのくらいの情熱はあるはず…?

アイリーン 「モンスター」と呼ばれた女 DVD アイリーン 「モンスター」と呼ばれた女

販売元:キングレコード
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モンスター DVD モンスター

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クラッシュ DVD クラッシュ

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2007/01/24

映画館で五月女ケイ子

いつまで経っても、この人の名字を正確に呼べない。だからいつも名前を口にする時、「さとおめ」だったか「そとおめ」だったかわからなくなり、ドキドキしてしまう(←どっちも間違ってる)。

私は彼女のファンだが、作品以外の情報(顔や私生活など)が入ってこないよう、注意している。知りたいけど知らないままにしておきたい唯一の人。

だけどつい最近、彼女が「図鑑を見ながら描いている」という情報をキャッチ。愛読書はジョン・アーヴィング「熊を放つ」と「鳥の図鑑」だって。うーん。意外といえば意外。

その「そおとめ」ケイ子であるが、最近スクリーンでイラストを見かけませんか。上映前に流れる「ストップ・ザ・海賊版」のCMです。

私が知っている前のCMは、かわいい女の子が「映画が盗まれる」と言いながら黒い涙を流すという情に訴える作りだった。それが今度は、五月女ケイ子の「館内で堂々とビデオを回している人を、おそろしいものでも見るような顔つきで見ている人たち」のイラストとは、なんという思い切った方向転換。映画館に集う不特定多数の老若男女には、このセンスについていけない人も多かろうに、時代は変わったものだ(じじくさい感慨)。

で、最初見た時には、思わず「わははは」と声を出して笑ってしまった私。隣にいた娘がおびえて、「なに?なにがおかしいん?」と聞いてきたが、説明のしようがない。

とにかく、映画館に行く楽しみがこれでまた一つできたのが、嬉しい。今後、いろいろなシチュエーション(手口)をシリーズ化してほしいものである。

新しい人妻 Book 新しい人妻

著者:五月女 ケイ子
販売元:PHP研究所
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2007/01/22

首が太い

昨日「僕の大事なコレクション」というウクライナが舞台の映画を見た。家族のコレクションを集めているという変わった趣味の男が、自分の祖父の出身村を訪ねる話で、イライジャ・ウッドが出ている。

まあまあ、悪くない作品だった。わりと重い内容なのに、おとぎ話を見たような不思議な印象が残るし、ウクライナの生活や風景を見るのも楽しい。

問題は、イライジャ・ウッドの首の太さである。一体どうしたんだ。頭の横幅と同じじゃないか。しかも、まつげは長いし目はでかいし、肌も陶器みたいに真っ白で、全てが人形っぽい。

「ロード・オブ・ザ・リング」の時には、そんなに気にならなかったけどなあ。首。それは役がホビットだったからか、それともまだそこまで太くなかったからか。

とにかくこの映画、イライジャの首を鑑賞(堪能)するには、もってこいだ。

そういえば、ハリー・ポッターのダニエル君の首が太くなりつつあるのを、私は新作の予告編で確認した。ファンには今後が気になるところだろう。彼が、第2のイライジャにならぬことを祈る。

首ってどうして太くなるんだろうねえ。鍛えるとそうなるのかと思っていたが、ダニエルを見ていると、体質?

太い首も、ジョン・トラボルタみたいに似合っていればOKよ。

僕の大事なコレクション 特別版 DVD 僕の大事なコレクション 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/11/03
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