2008/07/12

ニコニコしている古道具屋さん

この前、たまたま雑誌で長嶋康郎著『古道具ニコニコ堂のなんとなくコレクション』という本を知り、ニコニコ堂という名前の古道具屋さんって面白いな、コレクションもすっとぼけていて、それでいてさみしそうなところが素敵だなと思っていたら、『古道具ニコニコ堂です』という本もあることが判明。

そして、長嶋さんが発行している手書き新聞を集めた『ニコニコ通信』という本が、もっと以前に出版されていたことも発見。


もしかして、知る人ぞ知る有名人?

と思っていたら、

なんと、長嶋康郎は作家長嶋有のお父さんで、近日公開される「ジャージの二人」に登場するお父さんのモデルになった人だって!

あ~、このつながりに驚いた驚いた。


また、「100万回生きたねこ」の作者佐野洋子が、この長嶋さんのことを、「世間も浮世も無いらしく、役に立たない事だけを云う」と自著の中で評していたと知り、佐野洋子のエッセイを昔読んでいた私としては、実はもっと前に長嶋さんと出会っていたのかもしれないと、何か縁も感じたりして…。

映画では、長嶋さんの役を永遠のロッカー鮎川誠(ジャージ姿でもかっこよすぎ)が演じているのだが、ご本人は高田渡や長新太を髣髴とさせるようなおじいちゃんで、いいねいいね。私好み。

ちなみに、息子で原作者でもある有さんの役は、堺雅人が演じている。


長嶋さんは、若い頃いろいろあって、30歳くらいで古道具屋を始めたそうだ。その頃から、力が抜けていたんだろうか。これはぜひ、この3冊を全部読まねば。

古道具ニコニコ堂です Book 古道具ニコニコ堂です

著者:長嶋 康郎
販売元:河出書房新社
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古道具ニコニコ堂のなんとなくコレクション Book 古道具ニコニコ堂のなんとなくコレクション

著者:長嶋 康郎
販売元:新紀元社
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2008/07/09

すーちゃんの未来

今や1つのジャンルになっているエッセイマンガ。

私も好きでたまに読むが、軽い読み物なだけに立ち読み1回で十分なものが多い中、時々「これは」と思うような作品に当たると嬉しい。

最近のそれが、すーちゃん。

絵柄がかわいくてフツーなので一見中身がなさそうであるが、これがなかなかゆるく見えて鋭いんだな。30代独身。1人暮らし(←ここがいいのだ)のすーちゃんが、仕事と家を往復しながらいろいろ考えたり悩んだり迷ったり、ちょっと嬉しいことがあったり嫌なことがあったり。

ご覧のように、すーちゃんは一時期「負け犬」と称されていた女性(マンガの中にもこの下りが登場。ちなみに「何に負けてるの?」と笑っていた)で、そういう点では彼女と今の私に何の共通点もない。それなのに、すーちゃんの思っていることやモヤモヤしていることが、感じている違和感やもがいている部分が、そうそう、そうだよねって本当によくわかるのだから不思議だ。

すーちゃんと友達になれそう。

他に登場するすーちゃんの友達も、それぞれの境遇の中で考えたり悩んだり迷ったりしているのだけど、どれもさらりと、しかしホントのところをズバリと突いていて、爽快。たとえば、犬が大嫌いなくせに、社長の犬に媚を売っている上司を見た時の感想とかね。

印象に残ったのは、彼女たちがよくため息をつくこと。こんなにため息をついてる主人公って、すごいな。なんせ、冒頭いきなり「はぁ~、疲れた」というセリフで始まるくらいだから。

それに彼女たちは思いをめぐらせる時、どこか遠い目をしている。そこがいい。この「ため息」と「遠い目」の組み合わせが、好きだなあ。

というわけで、作者の益田ミリはなかなか見所あり。全部の作品が好きというわけではないけど、今後の動きの注目したい。ちなみに、彼女は大阪生まれで、私とそんなに世代が違わない。

読むのなら、続編「結婚しなくてもいいですか」も合わせてどうぞ。

すーちゃん Book すーちゃん

著者:益田 ミリ
販売元:幻冬舎
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結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日 Book 結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日

著者:益田 ミリ
販売元:幻冬舎
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2008/05/23

マンガ家のおしゃべり

マンガも読むが、マンガ家のインタビューを読むのも好きな私。しかし、以前は雑誌のコーナーでちょっとしかお目にかかれなかったこれらの記事が、最近本になっている。しかも次々と。しかも、インタビューをする人が小説家だったり脚本家だったり同業者だったり。

つまり、インタビューする側が今までとは違う人種なので、話題もマニアックになったり、ミーハーだったり、深~い話になったりする。

とまあ、私が言っているのは、柴崎友香『ワンダーワード』と本谷有希子『イママン』とよしながふみ『あのひととここだけのおしゃべり』のことだけど。

いいですよね。女性のインタビュアーはミーハーで。

この3冊は、三人三様全くカラーが違い、登場するマンガ家にもダブリがないのでそれぞれ読み応えがあるが、本谷有希子のは内容はないけど、読みやすくて単純に面白く(オールナイトニッポンのコーナーの書籍化だから、これでいいのだ)、柴崎友香のは嫌いじゃないけど、彼女がかもしだす空気感にどうもなじめない。

よしながふみのが一番、好きかも。まあ、話題の大半がBLなので、門外漢には実感としての面白さはないけど、ノリはわかるよ。ノリは。

それに、プロのマンガ家がプロのマンガ家にインタビューするとこうなるんだという、一本強い筋の通った対談色の濃い本だから、いろいろなことを考えさせられるし、「いいこと聞いちゃった」というオトク感がある。

今後も出るかな。こういう類の本。夏目房之介も、やるかな。でも「BSマンガ夜話」みたいに、活字になっちゃうとつまらなくなるってこともあるからな。

何にしても、これだけマンガ家が注目される時代って、今までなかったと思う。いやはや、それもちょっと複雑な気持ちではありますが。

ワンダーワード―柴崎友香漫画家対談・エッセイ集 Book ワンダーワード―柴崎友香漫画家対談・エッセイ集

著者:柴崎 友香
販売元:小池書院
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イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集 Book イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集

著者:本谷 有希子
販売元:駒草出版
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よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり Book よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

著者:よしなが ふみ
販売元:太田出版
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2008/05/17

てって

手手」 沖縄の読谷村で発行されているリトルプレス。

「“手”をめぐる四百字」(季刊「銀花」編集部) 各分野の第一人者50人による手をめぐる400字のエッセー。肉筆で載せてあるところがニクイ。

美しい手とは働く手だ。だから、美しい手にはシワが多く、指も太い。私がそれに気づいたのは40代になってからのことで、それまでは子どもでバカだったので、マニュキアを塗っていない手を醜いと感じ、手がガサガサのおばちゃんを見ると、「あんな女にはなりたくない」と思っていた。

いや、お手入れは大切ですよ。でも、マニュキアでキラキラした手を見ても、べつに美しいとは思わなくなった。

私が好きなピアニストフジ子・ヘミングの手は、ビックリするほど小さくて指も短く、農家のおばあちゃんみたいにシワシワだ。でもその手から生み出される音楽は、「音楽を奏でるとはこのことか」と目からウロコが落ちるほど心を揺さぶられる。

料理人の手もそう。物を創り出す人の手は、みんな労働者の手だ。

だから、今時の過剰にきれいに整えられた長い爪などを見ると、「その手で何をするの?」と思ってしまう。ま、携帯を打つくらいで何にもしてないんだろうけど。

しかしそうはいっても、あまりにほったらかしの手や爪も、やはり女としては考え物。

特に爪。私が美しいと思うのは、ヤスリなんかで手入れをされた清潔な爪だけど、ただ塗ればいいマニュキアと違い、これには日常的な努力と美意識の高さが必要だろうから、やっている人は本当にステキだと思う。化粧が上手な人よりも素肌が美しい人の方が、賞賛に値するのと同じで。

手は、動いている時が一番美しい。無駄なく動いている手を見ていると、気持ちがいい。生きた手。表情のある手。白魚のような手になりたければ動かさないことらしいが、シワ防止のために笑わない人みたいで、哀れよね。

男の手だと、爪の間に土や油が染み込んでしまったような手がいいな。長い間一生懸命に仕事をしてきた手。シャーロック・ホームズは、依頼人の手を見ただけで職業を当てていた。キーボードばかりを打ってきた手は、一体どんな手になるのだろう。

“手”をめぐる四百字―文字は人なり、手は人生なり Book “手”をめぐる四百字―文字は人なり、手は人生なり

著者:白洲 正子
販売元:文化出版局
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2008/04/11

枯れております

「デブセン」ではなく「カレセン」である。これが案外、密かに、実はちょいワルおやじよりも、若い女性に好まれているのである。

そりゃそーだ。ちょいワルおやじは、日本人の胃袋にはもたれる。

いやそれ以前に、日本の男はちょいワルおやじにはなれない。いくら葉巻を吸ったり、バカ高いスーツや時計を身につけて高級車を乗り回していても、しょせん西洋かぶれの付け焼刃。ビンボー臭いのである。

日本で不良中年になるのなら、バンカラでしょう。そして日本の男は、枯れるべきである。日本文化の底流には、ワビサビの枯山水があることを忘れてはならない。

そこで、「カレセン」という本が最近出たわけだが、表紙のおじいちゃんに「あらステキ」と思って中を開くと、笹野高史と笠智衆の代わりに夏目房之介と蟹江敬三が載っていた。

あの~、この2人、枯れてますか?どっちかというと、本人は「ちょいワル」のつもりなんじゃあ…。

カレセンに現役感は無用。キーワードは「ご隠居」である。

それにしても、このカレセンといい腐女子といい、女が男をおおっぴらに鑑賞してもOKな時代になってきたんだなあとしみじみ。女のオヤジ化ともいえるし、モテがどうのと、女が恋愛に疲れてきたのもあると思う。

ところで、ホストクラブ通いも恥ずかしいことではなくなった今、男性のストリップはどうだろう。ムキムキマッチョは気持ち悪がられるから、やるんなら、着流しで殺陣をやってもらい、着物が乱れてちらちらっと見えるっていうのが、いいと思います。ルックスは、杉良太郎ではなく市川雷蔵タイプでお願い。

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2008/04/10

プライドはある?

好き嫌いは別として、どんな分野でも長い間第一線で活躍している人は、尊敬に値する。それが、浮き沈みの激しい人気商売なら特に。

なんつって、要は私が最近、一条ゆかりの「プライド」にハマっているという話なんですわ。今頃ね。今更ね。

きっかけは、萩尾望都が薦めていたからなんだけど、もともと一条ゆかりは特に好きな漫画家ではなく、どっちかというとこの頃は「けっ」と思っていたのに、それがもう中毒のようにガツガツと。まだ8巻しか出ていないので、「犬夜叉」や「あずみ」のように、一気に何十巻と読み勧められないのが残念(それはそれで、体力がもたんが)。

で、これがまた、当たり前だけど出来すぎた展開の連続で、「そんなに都合よくチャンスはこんやろ」っていう話なんだけど、メロドラマの王道っていうんですか?わかっちゃいても、ぐいぐいと読ませる。読ませられる。悔しい。

さすが、だてに何十年も人気漫画家をやってないな、この人は、と感心。

一条ゆかりの漫画はゴージャスだと言われているらしいが、確かにネームには金がかかっているそうで、こうして「有閑倶楽部」以来久しぶりに読んでみると、ああ、こういう決めセリフは自腹で豪華に遊んでいないと書けないな、と大人になった私にはわかる。

なんせ、「男か仕事かといわれたら、私は仕事をとる。仕事は私を自由にしてくれる」とのたまった一条ゆかりである(そして離婚)。そういう腹の据わったプロ意識の高い女は、嫌いじゃないです。

漫画は一瞬にして、読者を別世界に連れて行ってくれる。映画と本の中間にあり、両方のイイトコドリをしている娯楽。

思えば、10代でずいぶん漫画に溺れた私だったが、それが40代で再熱してから、いまだおさまらず。まるで自分の生まれた河に戻っていくシャケのように、10代の頃の自分の世界を求めている私。

多感な時期に出会い、それが今の自分の血や肉になっているのだから、結局その原点が1番居心地がいいってことですね。ご飯と同じだ。子供の頃に食べた物で、その後の味覚が決定するようなもの。

漫画は、国産雑食かな?子供時代に鍛えた胃袋で、ますますガツガツいくぞ~。

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2008/03/03

スウェーデンの新しい絵本

スウェーデンの絵本といえば、真っ先に思い浮かぶのが「長くつ下のピッピ」だろうか。正確には絵本ではなくて児童文学だけど、最近子ども向けの絵本版(同じ作者によるもの)も出たようで、他にも昨今の北欧流行りをうけて、新しいスウェーデン作家の絵本が日本でも次々と読めるようになった。

その中で、従来のスウェーデンのイメージをくつがえすような絵本がある。

その名も「セーラーとペッカ」という元船乗りのおじさんとイヌのお話シリーズだ。

荒井良二が大ファンだというこの絵本は、かなり不思議な作風。ペットでなく同居人みたいに普通に居間でテレビを見たりしているイヌのペッカが、時々よつんばいになって歩く。ゴキブリ(カワイイ!)が普通に洋服店を営んでいる。もちろん人間も普通にいる。

シュールで懐かしくて、へんてこで温かい。

だいたいこれを絵本といってよいのかどうか。マンガみたいなコマ割りだし、ストーリーにもはっきりした着地点がない。写真とコラージュされた絵が現代アートみたい!

と思っていたら、なんと作者は現代美術作家だそうで、だからこういう、子どもに何かを伝えようとか教えようとか、大人のノスタルジックを刺激しようだとか、そういううさんくささから遠く離れた今まで見たこともない絵本が作れたんだな。

なので、ひと目みてとりこになった私は、シリーズを全部持っている。

1番好きなのは、「いったいどうした?セーラーとペッカ」で、このタイトルからして一体どうした?っていう、あらゆる既成概念を打ち破る変わったお話。短編映画のような余韻を残す終り方が大好きだ。

ここにセーラーとペッカがいると思うだけで、世界がほんの少し楽しくなる。

でもこれ、最初はアメリカの絵本かと思った。清潔でオーガニックでかわいいのだけがスウェーデンではないことが、これでよくわかる。

いったいどうした?セーラーとペッカ (SAILOR OCH PEKKA 2) Book いったいどうした?セーラーとペッカ (SAILOR OCH PEKKA 2)

著者:ヨックム・ノードストリューム
販売元:偕成社
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2008/03/01

鳥の住まい

せっかくデジカメを買ったのに、なんだか前よりも写真を撮る気になれない。以前は何かあるごとに、大量のフィルムを消費していたっけ。

でも写真を見るのは好きだ。好みがはっきりしているせいかあまり写真集は持っていないけど、だから気に入った写真集がほしいなと常々思っていた。

そんな時、偶然知った「バードハウス」という本。そういえば、以前大阪のギャラリーでバードハウスの写真展をやっていて、すごく行きたかったけど行けずにいたのを思い出し、「これは運命の再会だ」と勝手に思って購入する。

家にはツリーハウスの本があり、たまに眺めては「夢があるねえ」なんて思っていたけど、こっちは鳥の巣箱だよ。この世にいらないといえばいらないものだし、わざわざ人間が作ってやることもないわけなのに、こんなのが庭にちょこんとあるだけで、自然のサイクルに自分も参加できたような、そんなくすぐったい気分になってしまう。

なんといっても、このかわいらしさ!

巣箱は鳥かごや犬小屋とは違い、ペットのために作るのではない。野性の動物が快適に住める場所を、人間がちょっとだけ手を差し伸べて用意する。鳥は気に入ればそこに住むし、気に入らなければ知らん顔。この程よい距離感がいいのだ。

そんな関係を築くことができるのは、もしかしたら巣箱だけかも?

それに、鳥は巣箱の見た目にはうるさくないだろうから、そこは作り手のセンスによって、こんなにも様々なデザインが生まれるという驚き。

巣箱は日本ではあまり見かけないけれど、鳥をカゴに閉じ込めたくない、でも近くまで来てほしいあなた。ぜひバードハウスに挑戦を!

ただし、場所選びが難しそうですな。毎年ツバメに来てもらって軒下に巣を作ってもらうよりかは、実現できそうだけどね。

バードハウス―小鳥を呼ぶ家 (INAX BOOKLET) Book バードハウス―小鳥を呼ぶ家 (INAX BOOKLET)

販売元:INAX出版
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2008/02/02

0円なり

家作りに興味がある。

といっても、もし大金があったら、倉庫でも木造校舎でもいい。もともと人が住む場所ではない建物(病院以外)を改装して、店をやったり住んだりしてみたいと思う。

ポイントは、同じリフォームでも「住居でない場所を住居にする」というリフォームがしたいところ。一から好きなように建てたいとは思わないのが、自分でも不思議だ。また、いくら豪華でも、普通の一軒家やマンションには興味がない。だから、「アパート→ローンを組んで一軒家またはマンション」という住宅スゴロクにも、全く興味がない。

実は本当は、リスのように大きな木の中やモグラのように地面の下に住んでみたいのだが、できそうにないので、そこはツリーハウスを別荘にすることで我慢。夢物語ではあるけれど、これが本音だ。

私にとって家とは、「巣」である。え?こんなところに住んでるの?こんな暮らし方をしてるの?とあきれられようが、既存のものに手を加えつつ、自分に合った住まいをコツコツ作っていくのがいいな。

そんな私が嬉々として読んだのが、その名もズバリ「0円ハウス」という本。つまり、ホームレスがリサイクルでセルフブルドした家を集めた写真集である。

私は常々、たいがいの人は目を背けてしまうであろうこのダンボールハウス&青い家のことを、「中はどんな風になっているのか、のぞいてみたい」と思っていた。何しろ私は、「自分も、もしかしたらあんな風になるかもしれない」と思っているので、そういう意味でも「いやだ「汚い」と思ったことがない。あくまでも、「家」の中を見てみたいという好奇心からである。

で、この本によって、ついにその実態が明らかに!こんな本が出るなんて、すごいぞ!

それにしても、ああ、人はなぜ棲家を作ってしまうのだろう。狭いながらも楽しい我が家。そこかしこに垣間見られる知恵と工夫。いろんなものをかき集めて作ったまさに「巣」という感じが、私の胸を揺さぶる。

難しい本がきちんと並べられたインテリっぽい部屋。夫婦で住んでいる昭和のお茶の間みたいな部屋。太陽電池で電力をまかなっている家もあれば、いつでも移動できるよう、リアカーの上に建てられた家もある。

同じ家は2つとない。これは当たり前のようで、当たり前ではないと思う。

そして、これらの家を眺めているうちに、なんだかジンとしてくるのは、同情や憐みではなく、どんな暮しであっても、暮らすからには少しでも快適にしたいという人間の本能が、哀しいというか可笑しいというか。

外から中が見えないので、あんな狭い箱の中に閉じこもって何をやっているのかと思っていたけど、テレビを見ながら晩酌するオッサンがいて、オトウちゃんが帰ってきたら味噌汁を温めるオカアちゃんがいて、そこには小市民の普通の暮しがあった。

しかし、やはりあの青いビニールシートは、景観をそこねるなあ。


なんで他の色がないの?もっと楽しいデザインもほしい。もし私が0円ハウスを建てるとしたら、あのビニールの色は許せない!

0円ハウスの住人たちは、必要に迫られて家を建てたわけだが、それでも私には、創意工夫の乏しいただの豪邸に住んでいる人よりも、人間らしい生活をしているように見える。今はべつに、自ら好んで0円ハウスで暮らしたいとは思わないが、もしその時が来ても、楽しく巣作りをやろう。

0円ハウス Book 0円ハウス

著者:坂口 恭平
販売元:リトルモア
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2008/01/30

私の遺影

先週NHKの番組「クローズアップ現代」で、「明るい遺影を撮る」という試みをしたケアホームが紹介されていた。

生きているうちに遺影を撮るなんて、縁起が悪い。そんなことをしたら、お迎えが早く来てしまうのではないか。そう思う人もいるかもしれないが(実際に番組の中で、そう思って抵抗感を示したおばあちゃんがいたが、結局撮影する気になり、その写真をものすごく気に入っていた)、今は、「霊前に飾ってもらう自分の遺影を自分で選ぶ」という考え方に賛同する人の方が多い気がする。

というのも、ちょうどこの前「遺影、撮ります」という本と出会い、案外みんな「自分の遺影を人に選んでほしくない」と思っているんだなと思ったからだ。

その本の中には、「今日は、遺影を撮ってもらうのには最良の日だと思って」とコメントしている方もいて、うーん。時代は変わったと感心。その写真はハッとするほど美しかった。だって、病床でやつれた姿を撮ってもらうわけにもいかないし、若い頃の写真はたくさんあっても、年をとったり、ましてやホームにいたりしたら、写真を撮られる機会は少ないでしょう。

実は私も、遺族が選んだ「いかにもスナップ写真から加工しました」という写真を見て、故人はこの写真でOKなの?と思ったことが何度かあった。

この先ずっと「生前の自分」として仏壇に飾られ、拝まれていく大切な遺影。自分はもう死んでいるけど、その写真は自分のお気に入りの写真がいい。その写真の自分で覚えておいてほしい。そう思っている人も多いはず。だから、そのための「遺影撮ります」である。

しかしこれも、お迎えが近い人たちがやるからこそ「明るい遺影」となるわけで、番組でも、自分の遺影を見て「これならいい」と満足気に話すおじいちゃんおばあちゃんがいたが、もうそんな境地なんである。

でもよく考えたら、自分の意志で遺影を撮ることができるなんて幸せだし、そういう機会を与えられたことはすばらしいことだ。

ところで、「自分で遺影を用意する」という行為で思い出すのが、「夢千代日記」「八月のクリスマス」という映画である。

どちらにも、不治の病にかかって余命いくばくもない主人公が、そのことを誰にも言わず、写真館でこっそり自分の遺影を撮るシーンがあって、何しろ2人がまだ若いものだから、そこには悲痛な哀しみがある。無念やろうな…。

私の記憶では、彼らの遺影は感情を押し殺した証明写真みたいだった。写真家と思い出話をしているうちに、つい笑顔がこぼれてそこを撮られた「明るい遺影」とは全然違う。

自分のお墓や葬式代を用意しておくのもいいけど、写真もね。


遺影、撮ります。―76人のふだん着の死と生 Book 遺影、撮ります。―76人のふだん着の死と生

著者:野寺 夕子
販売元:圓津喜屋
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2008/01/20

好きな写真家

私はあまり写真集を買ったり見たりしないのだが、べつに写真に興味がないわけではない。絵ハガキのような写真(特に動物や風景)や、すんごい場所に行って撮ったすんごい写真には、どうも心が動かされないだけである。

好みはモノクロ。人間が映っているとなおよい。

でも写真集は、写真がどうしても左右ページに割れてしまうのが難点。大きい写真が真ん中で折れてしまい、全体像がよくわからない。本だから仕方がないけど、あれがしらけてしまう。

でも、何度も眺めたくなるような写真集があればなあ。一人くらい好きな写真家がほしいなあとつねづね思ってはいた。

そこで、植田正治に出会ったわけですよ。

福山雅治が敬愛し、植田正治写真美術館オープン時には自作の曲をオルゴールにして捧げた鳥取出身の写真家。

鳥取砂丘に人物を作為的に配置して、不思議な空間を作り上げた代表作品を最初に見た時、そのキリコの絵のような、現代アートのような、ちょっと不気味で楽しくて、遠い昔の原風景を思い起こさせるノスタルジックな作風のとりこになってしまった。カッコイイ!中央志向でないのもいい。

残念ながらもう亡くなっていて、でも最近著作や作品集がどんどん出ているような気がするけど、なんでかな。

お陰で、これで私の好きな爺ちゃん3人衆がそろったそろった。植草甚一。長沢セツ。植田正治。みんな故人なのが、ちょっとさびしいのう。私が好きになる作家は、なぜほとんど死んでいる人ばかりなの?

写真集といえば、これは写真家によるものではないが、森村泰昌澤田知子の作品も好きである。体を張ったセルフポートレイト。

どんな写真かは、百の言葉よりも一見にしかず。店頭ではあまりお目にかからないと思うが、機会があればぜひ。


夏りょうこの映画専門ブログ「空想映画館Kino」は、コチラ

シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
販売元:文芸社
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2008/01/12

コケの中の宇宙

本業とは別のジャンルで、精通している趣味があると、いいよね。仕事の幅も広がるし、そういう仕事は本業とは違うから、手を抜くというんじゃなくて肩の力が抜けていて、マニアックなファンが楽しんでやっているようなノリがいい。

例えば村上春樹でいうと、マラソンや音楽。そして、田中美穂さんのコケ。

倉敷で古本屋「蟲文庫」をやっている彼女はコケが大好きで、それを知った時には「古本とコケって妙に味わいがマッチ」と思いつつ、面白そうな人だな~と勝手に親近感を感じていたのだが、最近「苔と歩く」という本を出版されたので、つい買ってしまった。

苔に対する愛情があふれ、それでいて気軽な入門書にもなっているありそうでなかった本。コケを専門にしていない人だからこそ、作ることのできた本。

コケ専門家が書いたものではないから文章もひかえめながらも、時々クスッと笑えるユーモアがあって、「メガネにみつ編み」という見事な文科系女子ファッション(写真が載っている)の彼女が、つまり永遠の文学少女が、大人になった今でもクラブ活動でコケを観察しているような、よくわからんがそういうイメージが、この本を読んでよりくっきりと私の中で定着。

そういえば、クラスの中でいたいた。こういうタイプの女の子。めだたないけど、自分の世界をしっかりもっている子。友達になりたいタイプ。

コケもいいけど、行ってみたいな。蟲文庫←この店名からして、若い女の子がやっているとは思えないところがステキ。

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2007/12/12

ブログから生まれた料理本

当初はドトーのごとく更新されていたこのブログ。しかしご覧のように、ここんとこほぼ開店休業状態である。

なにせ1日おきの更新だったのが(これがそもそも異常)、今や1ヶ月おきくらいなので、「何かあったのか?」と、このギャップにとまどっている方もいるかもしれない。

理由は、仕事で前にも増してパソコン漬けになり、家に帰ってまでパソコンに向かう気になれないこと。そして、そのことと矛盾しているようだが、パソコンをずっと別の作業(←企業秘密)に使っているので、ブログで使うヒマがないこと。

そういや、うちのパソコン、そろそろヤバイなあ。購入後3年を越え、終了する時にモザイクのようになって画面が消えていく。なんかもう老体にムチ打っているような気分だ。

もし三ヶ月経っても更新がなければ、パソコンが壊れて買えずにいると思ってほしい。たぶんその日は近い。

そう思うと、コメント禁止にしていてよかった。「返事がない!」「急に冷たくなった」なんて文句を言われたり、恨みを買ったりしなくてすむ。買うのかな?恨み。

ところで、最近続々とブログが書籍化されていて、人気ブログがついに!とかアクセス数がどうとかいわれても、あんまり興味がもてないのだけど、この本は買ってしまいました。というか、まさかブログ出身本だとは思わなかった。「ばーさんがじーさんに作る食卓」という料理の本。

タイトルがいいね。でも親しみのあるこのタイトルにつられて中身をみて、ビックリ。

そこらへんにいるフツーのばーさんじゃないよ。にじみでる品性。メニューから見ても相当ハイカラな人だし、センスがタダモノじゃない。広い庭に囲まれた古い家で、四季を感じながら落ち着いた暮しをなさっておられる感じ。

白洲正子と辰巳芳子を足して庶民で割ったような、なんだかよくわからないけど、そういうテイストなんですわ。

それにしても、こういうおじいちゃんおばあちゃんが、ブログを書いて本を出せる時代になったんだなあ。しみじみ。

そこでちょっとライバル心を刺激され、私のブログにも何かテーマを…と思って、まっ先に浮かんだのが、立ち飲みをルポするブログである。

せっかく大阪にいるんやし、もともと興味もあるし。

立ち飲み初心者の女が一人(これが妙齢の美女だったらもっと面白いが)、最初はおずおずとオッサンたちに混じって。昼間っからコップ酒。それがどんな風に変わっていくのか、自分でも見てみたい!

だって立ち飲みの本って、男が書いたのしかないんだもん。ブログは知らないけど。

でもこれは夢やね。今のところ。一人で行けるチャンスが少なすぎるから。あ、ばーさんになってからやろうかな。

いつも、ふたりで ばーさんがじーさんに作る食卓 Book いつも、ふたりで ばーさんがじーさんに作る食卓

著者:岡西 克明,岡西 松子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2007/10/23

MONSTERの恐ろしさ

なんかすごい評判だったという記憶があるので、浦沢直樹の「MONSTER」を読んでみた。

ナゾ解きの面白さと怖さにグイグイ引き込まれ、最後どうなるのか早く知りたくてたまらず、ひと晩で一気に読んでしまったので、面白くなくはなかったんだけど、基本的に「20世紀少年」と同じだったのがガックリ。この2つの作品が発表された順番からすると、「20世紀少年」が「MONSTER」と同じだというべきか。

スケールの大きさ。現在と過去が交差して謎が解かれていくところ。武芸の達人の女性がいて、信頼できる仲間たちが力を合わせて大きな敵に立ち向かい、主人公は人柄のいい男で、その人がボロボロになりながら世界を救おうとするとか、誰も信じられなくなって人がどんどん殺されるところとか、とにかく読後感が似ている。

複雑なジグソーパズルが少しずつはめ込まれていく快感。ロマンティックなハードボイルド?好きなんやね。男はこういう話が。

でも私が自分でビックリしたのは、「MONSTER」に出てくるモンスターが、モンスターと呼ばれるほどの怪物には思えなかったし、だいたいなぜそんな人間になってしまったのかという理由が、「え?それだけ?」という期待ハズレなことだったこと。

なーんだ、その程度で?

といっちゃ悪いが、モンスターの悲惨な過去を知っても、あんまり驚かなかった。なんだか納得できなかった。

だって、もっと陰惨な原因を想像していたから。

これはやっぱり、現実にもっと信じられないような恐ろしい犯罪があるもんだから、フィクションが物足りなくなってきたせい?それとも、私の性格のせい?

どっちにしても、あんまりいいことではないような気がして、「MONSTER」が「20世紀少年」と一緒だったことよりも、そんな自分がちょっとショック。

でもなあ。旧東ドイツを出してきたら、もう何でもありっていう感じがするなあ。

主人公の外科医は、ブラック・ジャックみたいだった。

Monster (1) Book Monster (1)

著者:浦沢 直樹
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2007/10/21

しりあがりジャンゴ

映画「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ!」がマンガ化された。

小説化じゃないよ。マンガ化だよ。しかも、よりによってしりあがり寿に。

ジャンゴ!にマンガ魂をそそられたんだな~。わかるわかる。

俳優陣の顔は全然似てないけど(そのせいか、いちいち俳優名の注釈あり)、これはしりあがり寿ワールドで出力されたジャンゴ!なんだから、全く問題なし。むしろその方がよい。

しかし、すごいなこの本は(まだ上巻しか読んでないけど)。でも、笑っちゃうくらいに短いの。画像をそのままマンガでなぞらえても意味がないし、ツボをちゃんと押さえているから違和感はないとはいえ、よくここまで省略できたものだ。

それに、映画を見た人なら膝を打って笑えるツッコミが時々あって、たまにセリフを面白く変えてもいる。ギャグマンガ家のサガやね。

だからこれはもう、しりあがり寿のマンガになってしまっている。さすがです。

正直言って、この本を読んで「やられた!」と思ってしまった私である。映画を語るのにこの手があったか!

もしかしてしりあがり寿は、これをきっかけに、今後こういう類の映画シリーズを描いていくのかな。うーん。ぜひそうしてほしい。マンガか描けるんなら、私がやってみたいところだけど(くそ~)。

ところで、しりあがり寿は木村佳乃が好きなのだろうか。桃井かおりは絶対に好きみたいだけどね。

桃井かおりは、下巻で大活躍するはず。みつあみ姿で若作りしたこわい桃井かおりが、どんな風に描かれるのか。果たしてそこにコメントは。ああ、読むのが待ち遠しい~。

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2007/10/01

銀色したナイフ

今、銀色夏生の最新エッセイ「銀色ナイフ」を読んでいる。日々感じたことや考えたことを本当につらつらと綴ったもので、今まで旅行記や日記風なものはあったけど、今回のように本音を語ったものは初めてだと思う。

実は私、昔は銀色夏生のそりゃもう大ファンだった。でも、ある時期から嫌いになってしまった。

というのも、自宅や子どもの写真をバンバン出すようになって、「危なくないんだろうか」「何のためにこんなことしてんだ」と思ったのと(子どもを使って私生活を切り売りするのもイヤ)、この人がまたものすごく飽きっぽい人で、例えばある時「島に住みたい」と思って莫大な金をつぎこんで工事始めたのに、途中その気が失せてやめてしまったりとか、そういう気まぐれなところを見て「なにこの人」と思ったから。

まあ、そういうことができる経済力と自由さに対する嫉妬もあるわけだけど。

で、そんなこんなでしばらく遠ざかっていたのだが、ふとこの本を読んでみたら、げげっ。九〇%私も同意見…というか、性格がソックリじゃないか!

いや、実は前からそうじゃないかとはうすうす思ってはいたけど、まさかここまでとは。本人は「自分は少数意見派だから、世の中にこういう人もいるんだと、批判を覚悟で世間に投げかけたい」と言っていて、タイトルに「ナイフ」とあるくらいだから、「これは辛口で辛らつですよ」「傷つく人もいますよ」という自覚があってのことらしいけど、私からすると普通。困った困った。

そして思った。

私がこの人を嫌だと思ったのは、やっぱり妬みだったんだな。同じタイプの人間なのに、向こうは自由業で成功していることへの。好きな時に好きな仕事だけをやって、それでも高収入があって一人で子どもを養えるという身分への。私は仕事と生き方は直結していると思っているので、早いうちから、今の環境を手にいれるために努力していたらしい彼女を見ると、私もそうありたかったのに自分は今まで何をやってきたんだろうかと落ち込んでしまう。

欲しいものがはっきりしていて、それしか自分はできないというものが早い時期にわかっているかどうかで、こうして道が分かれるのね。

ああ。わたしゃ自分の器用貧乏さを恨むわあ。まあ今からでも遅くないけど。

そしてしみじみ思ったのは、「同じものが好き」というだけでなく、「同じものが嫌い」という価値観がぴったり合うと嬉しいし、より深くわかりあえるということ。好悪の基準が似ているかどうかは、人間関係において重要なカギだ。というわけで、銀色夏生が同志だとわかった時点で、ポイントアップ。昔とは違うレベルで、また好きになりました。

銀色ナイフ (角川文庫 き 9-64) Book 銀色ナイフ (角川文庫 き 9-64)

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2007/08/10

どうしても死にたい

重量上げをしている人の脇腹を突く。宇宙人の股間を蹴る。ボウリングのピンの中に混じる。

かわいいけど無表情なうさぎたちが、そういうまわりくどいやり方で、ただひたすら死のうとする。理由はわからない。でも、彼らがあまりにも一生懸命に死にたがっているので、つい応援したくなる。それが「自殺うさぎの本」。

私は、実際に首ちょんぱで死んでしまったうさぎが描かれるよりも、「この後に確実に死ぬな」というその一瞬を描いたものが好きだ。たとえば、恋人(たぶん不倫)に振られて荒れている女性に、映画「危険な情事」を見せようとしているシーンとかね。

 (注)この映画の中で、主人公の不倫相手の女性が、妻へのいやがらせとして、ウサギを丸ごと鍋に入れる場面があるので。

それにしても、どれもこれも「よくこんな方法を思いつくなあ」と感心するような手口ばかりで、このブラックユーモアは、やはりイギリス産のもの。

でも、どうしてうさぎ?うさぎはイギリス人にとって特別な存在みたいだから、こういうモチーフにも使われてしまうのだろうか。

というわけで、今年のクリスマスは、「自殺うさぎの本」「またまた自殺うさぎの本」を2冊セットにして収められるクリスマス仕様パッケージがあるので、プレゼントにいかが?贈る相手を試すようなプレゼントだけど。クリスマスツリーが倒れて頭に刺さっているうさぎが、かわいくてたまりません。

この脱力する笑いのツボにはまる人が続出し、今では自殺うさぎのファンクラブまである。

もちろん、本国イギリスでもとってもよく売れたそうで、中国ではこのパロディ「うさぎの自殺」という風刺漫画まで登場。しかしこちらは、矛盾を抱えたまま競争社会に突入した今の中国で、若者の自殺が急増しているという問題を背景にしているので、笑えない。

自殺うさぎの本 Book 自殺うさぎの本

著者:アンディ ライリー
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Book またまた自殺うさぎの本―まだまだ死にたいうさぎたち

著者:アンディ・ライリー
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2007/07/31

がんばれ!ピクトさん

本屋でパラパラとページをめくっただけで、思わず笑ってしまった本。本当に顔が笑っていた(声も出していたかも)ので、端からみると不気味だったと思う。

いやホント、立ち読みでここまで笑ったのは、生まれて初めてだ。

それは「ピクトさんの本」。ピクトさんが、文句を言わずに体を張っている姿が健気で可笑しい。

で、ピクトさんって誰?

絶対にみんな知っている人です。興味のある方はコチラを。

ピクトさんの本 Book ピクトさんの本

著者:内海 慶一
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2007/07/19

チロルくん

チロルチョコっていいよね~。

次々と楽しい味が登場するのも楽しみだけど、なんといっても私は、あのパッケージデザインに無性に惹かれる。あのひと口サイズの小さな正方形の中の、趣向を凝らしたデザインがかわいい。

ああ、今までのデザインも全部取っておけばよかった…。などと、新作が出るたびに悔やんでいたところ、チロルチョコ初めての公式本「チロルチョコ」が出た。おお。私のために出してくれたんだね。わざわざありがとう。

見ると、創成期から最新のものまでだいたい網羅してあり、懐かしいやら、デザインの完成度に改めて感激するやらで、1人で盛り上がる。

そして、例のごとく本を衝動買いをしそうになったが、いや待てよ。なんだろう。この違和感は。この「あともう一押し」というところで、踏みとどまってしまうワケは。

そうです。私は、チロルチョコのあの正方形の立体の具合が好きなのだ。キーボードみたいな形をしていて、そのてっぺんの小さな四角の中にいろんなイラストが描いてあるという、あの様子がカワイイのだ。

だから、中身を出して包み紙だけにしてしまうと、魅力が消える。かといって、写真に撮っておいてもなんか違う。うーん。平面じゃダメだ!そのことを、私はこの本を見て気づいた。

ならば、どうやったらあのまんまの形で、コレクションできるのか。そうだ。チョコと同じ形の何かを中に入れる。これしかない。でもそれは何?

昔は10円という安さだったのに、今はちょっと豪華になると、30円もするチロルチョコ。まあそれはよしとして、気に入っている味がすぐなくなってしまうのが、本当に残念である。ミントチョコが好きだったのに~。

でも、最近の「塩バニラ」もわりと気に入っている私は、こうやって新しい味を開拓し続けるチロルチョコにどこまでもついていく所存だが、時々アイデアが頭打ちしやしないかと、心配になる。できればいつまでも、小さな体で限界に挑戦してほしいものだ。がんばれ。チロルくん(男)。

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2007/07/17

ビバ!かえるくん

小さいサイズの絵本が好きだ。豆本まではいかない手のひらサイズの本。普通サイズのものを改めて小サイズで再版したやつではなく、最初から小さく作ってある本。

しかしこれが、赤ちゃん向けの絵本ではよくあるのだが、そうではないタイプの絵本となると、ほとんど見かけないのが現状。なので、たまに店頭で見つけたら、即買いである。

私の好きなものは、すぐなくなるんじゃい。

中でもこの「かえるくんのほん」シリーズは、一度図書館で借りて読んでからというもの、どうしても欲しくなって探して、最近やっと入手。全てを絵のみで語っている「これぞ絵本!」という傑作絵本で、デッサン風なイラストに古きよき時代の匂いがする。

登場するのは、男の子と犬とかえる。このかえるくんが、毎回何やら騒動をしでかすのだが、いたずら好きでヤキモチ焼きなかえるくんの表情が、笑えるやら愛おしいやらで、目が離せない。

犬を助けに行く時の勇ましい顔。自分を捕まえようとする男の子からさんざん逃げていたくせに、結局あきらめて帰っていく男の子を見送る時の、残念そうなさびしそうな顔。そして、結局男の子の跡をつけて家まで押しかけていった時の、照れくさそうな嬉しそうな顔ときたら!

また、こんなに怒った表情がいっぱい出てくる絵本も、めずらしいと思う。人も動物も、本気で怒っているのよ。で、その怒りがストレートに出ている表情がうまい~。

特に、レストランでかえるくんが暴れて大騒ぎになった話では、帰りの車の中で、男の子の両親とおねえちゃんがそれはもうすっごく怒っていて、気まずい空気が車内にずっしりと流れている様子が、1枚の絵からヒシヒシと伝わってくる。それがまた可笑しい。

全6冊のうち、唯一タイトルに「かえるくん」がついていない「めいわくなおくりもの」という話が、私のお気に入りだ。それは本当に迷惑な贈り物なんだけど、誰にとって何がどう迷惑なのか、それは読んでからのお楽しみ。

Book かえるくんのほん(全6冊)

著者:マーサー・メイヤー
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2007/06/23

時間が美味しさのヒケツ

日に日に暑さが増してきた。

暑いと食べたくなるのが、薬味やスパイスをふんだんに使った料理。大人になって何がよかったって、こういうものの美味しさがわかるようになったのが、嬉しい。

そんな私が最近ハマっているのが、薬味みそだ。みそ+酒+みりんに、しょうが、にんにく、青じそ、ネギ、みょうがなどなど、とにかく薬味なら何でもみじん切りにして、混ぜ込むだけ。水が出てきたらそれを捨てて混ぜていれば、日持ちもするし、ごはんやお肉や野菜につけて食べたら、ああ、食欲増進。酒の友。

あと、私は梅ぼしを手でちぎって、いつも梅肉だけを包丁で叩いてビンに詰めておくのだけど、そのまだ梅肉がいっぱいついている種を、しばらくしょうゆに漬けておく。すると、とろりとした梅じょうゆの出来上がり。ゴーヤとちりめんじゃこを和えたものにたらして、うーん、食欲増進。酒の友。

それから、にんじんを柏子木切りに、にんにくとしょうがを薄切りにして、酒+しょうゆ+酢に漬ける。お弁当のおかずにもなるし、お風呂上りにまたお酒が飲みたくなった週末の夜などに重宝。

こんな風に、ただ漬けておくだけで、勝手に美味しくなってくれる料理っていいよね。保存も効くから、冷蔵庫にあると安心。

でも実はこれ、みーんな高山なおみさんのレシピなんです。彼女の料理はシンプルで潔くて、大胆で繊細。そんなところが好き。

手抜き料理とか節約料理とか、そういう嫌なネーミングをわざわざつけなくても、素材の味を大切にして普通に料理すれば、どれも簡単で安くて美味しい。そんなもんだ。


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シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
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高山なおみさんののんびり作るおいしい料理 Book 高山なおみさんののんびり作るおいしい料理

著者:高山 なおみ
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2007/06/18

サラリーマン蛭子

買うほどではないが、ちょっと読んでみたい本。そういう本は、立ち読みに限る。またそういう本は、立ち読みでさらっと読んでしまえるようにできている。

たとえば、蛭子能収「こんなオレでも働けた」というビジネス書コーナーで浮いている本。

あの蛭子さんが、一体どうやってサラリーマン生活を耐えていたのか。どんなサラリーマンだったのか。べつに蛭子さんのファンではないが、「金のためなら死んだフリ。いいように会社にコキ使われよう。心だけは自由なままで」という帯のキャッチコピーにそそられ、つい手に取る。

そこにあったのは、群れることが嫌いで、出世欲もなく、飲み会が苦痛なサラシーマン。思ったとおりの蛭子さんである。

「会社にいる時は自分を押し殺しているのだから、自分は死体。そう思えば、何でも言われたとおりに働ける」という下りには笑ったが、若くして妻子がいた蛭子さんは、こんな割り切り方をして苦手なサラリーマンをやっていた。上司に叱られても怒鳴られても、「この人、こういうことでこういう怒り方をするんだ」と冷めた人間観察をし、ヘラヘラしてやりすごす。出世したくてガツガツしているわけでもないから、何を言われても柳に風。

しかし、「こんな人が会社にいたら、周りはイライラするだろうな~」と思いきや、蛭子さんは社長に気に入られたり、営業成績ナンバー1になったりと、ただのダメ社員ではなかったようだ。むむむ。

何よりも、蛭子さんには「漫画家になりたい」という夢があったし、趣味もあったので、退屈で鬱々としたサラリーマン生活を乗り越えることができたんだと思う。サラリーマンをやっていたお陰で、マンガのネタにもできたわけだしね。

何だかんだいっても、蛭子さんは自分で何かを生み出せる才能がある。そういう人は強い。

ところで、「長崎から、自分を追っかけて上京してきた女性と同棲し、子どもができたので入籍した」というところが気になった私。追っかけて?若い頃モテたんだろうか。そういえば、すごい年下の女性と再婚したしなあ。

外見はともかく、一緒にいるとホッとするのかもしれん。世間の尺度から解放されて。

この本を読んだサラリーマンも、ホッとするのだろうか。巻末にサラリーマン相談も載っていることだし。

でも蛭子さんは、サラリーマンを辞めて夢を叶え、それで一応成功している人である。蛭子さんの「サラリーマン処世術」にも一理あるし共感もするけど、退職までヘラヘラしながらサラリーマンをやった人の話じゃないってことを、忘れてはいけない。

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シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
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こんなオレでも働けた Book こんなオレでも働けた

著者:蛭子 能収
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2007/06/01

よりみちしよう

子供の頃に、こんなことを教えてくれる人がいてくれたら、どんなによかっただろう。

本を読んでいて、ついそう思ってしまうことがある。

この「よりみち パン!セ」も、そう。寄り道の楽しさと気持ちよさを知っているこどもたちと、もう1度こども時代をやりなおしたい大人のために、学校でも家庭でも学べないリアルな知恵を満載したというこのシリーズ。100%ORANGEのイラストで目をひくかわいらしい本だが、なかなかどうして、個性的な執筆陣と、ユニークで濃い中身は、大人にも十分読み応えがある。

いや、大人こそ読むべき新しい人生書かもしれない。読みやすくて、深い。場合によっては、ちょっと笑えます。

最近その中で、小倉千加子「オンナらしさ入門(笑)」を読んだ。

小倉千加子といえば、著書「結婚の条件」で、「現代に生きる若者は、自分が結婚しないかもしれないと覚悟して、一人で生きていく力を身につけるべき」といい、痛快であたたかで、テレビで1度拝見したが、目つきのやや鋭い大阪のオバチャン風な学者。もそもそとした体つきと、オッサンぽいしゃべり方が、どことなく「虫」を連想させて、いっぺんにファンになってしまった私。

その小倉千加子さんが、10代の女の子に向けて書いたジェンダーのヒミツ。小倉千加子だからこそ、タイトルの(笑)が生きてくる。すごい。この本で救われる女子が、いるかもしれん。こんな子供向けの本が出されることに、時代を感じる。

いーじゃん。だめなの?

どうしてだめなの?えー、そんな理由で。

なんでー。それって、なんか意味あんの?

よくわかんないよ。ありえねー。

だってさ。いったいそれって、なんなわけ?

…と思っているあなたに捧げられたこの本は、

あなたは「男」ではないのだから、「勝つ」ために生きるのではなく、自分を「養育する」ために生きられるのです。「女」に生まれて、本当によかったですね。

…という話で終る。

その間に何が語られているかは、読んでみてください。

しかしオンナは、まだ参政権のなかった時代から長い時間をかけて、オンナという幻想と闘い、それを少しずつ乗り越えてきたというのに、オトコはかわいそうね。社会が求める「男らしさ」から、なかなか抜け出せないでいる。小倉千加子さんに、今度は「オトコらしさ入門(泣)」というのを書いてほしいなあ。

あと、森達也「世界を信じるためのメソッド」と、しりあがり寿&祖父江慎「オヤジ国憲法でいこう!」もオススメ(っていうか、私がこれしか読んでいないので)。

続刊で期待しているのは、バクシーシ山下(AV監督)「ひとはみな、ハダカになる」、長尾はな「ワタシは一生、ブスのまま?」、リリー・フランキー「ことばの教室」、辰巳渚「家を出る日のために」です。このシリーズは児童書エリアにあるので、ぜひチェック!

各巻末には、谷川俊太郎による著者への質問があり、その中の「何がいちばんいやですか?」に注目。


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オンナらしさ入門(笑) Book オンナらしさ入門(笑)

著者:小倉 千加子
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2007/05/27

おじいちゃんの封筒

海月書林発行の「いろは」5号に、「おじいちゃんの封筒」の話が載っていた。

明治35年生まれの神前弘さんは、71歳で大工を引退してから、「ひまつぶしに手を動かしたい」とメンコを作るようになり、80歳になってからは、チラシやカレンダーやダンボールを使って、封筒を作り始めた。毎日不要な紙を封筒に作り直し、正月で親戚が集まった時にも休まなかったという。

そのおじいちゃんが遺した大量の封筒が、今回孫の藤井咲子さんによって、「おじいちゃんの封筒」という本になった(9月9日まで、千葉県のギャラリーで展覧会も開催中)。ただし、この本には、封筒の写真がシンプルに載せられているだけなので、おじいちゃんのことをもうちょっと知りたいなと思ったら、家族のインタビューや、バラエティに富んだ他の封筒も掲載されている「いろは」を読んだ方がいい。

「年寄りは、手を動かす方が健康にいい」と、毎日せっせと封筒を作り、紙が足りなくなってしまうと作り続けることができなくなるので、厚い紙をはがしたりして、完成までの工程を故意に増やしていたというおじいちゃん。のりづけしやすいよう、紙にヤスリをかけ、裏から補強し、つぎはぎした穴をふさいでは、また表からヤスリをかけてある。

うーん。これは確かに、大工の仕事だ。

微妙なモザイク模様になった白い封筒は、まっすぐきっぱりしていて、強くて味がある。

実は私も高校生の頃、封筒作りにとりつかれたことがあった。なぜだかわからないが、徹夜もしかねないほどに熱中し、そこらへんの紙を使って、封筒をいっぱい作った。

でも私の封筒は、いきなりハサミでじょきじょき切っていたから、曲がっているし、三角形のものもあったりして、おじいちゃんの封筒とはずいぶん違う。違うけれど、なんだかすごくわかる気がするのだ。

べつに使う目的はないのに、ただただ作ってしまう気持ちが。

家を壊す時、咲子さんが見つけたダンボール4箱分の封筒。デザイナーの咲子さんは、大人になって改めてその封筒を手に取り、そのすばらしさに心を打たれたという。もし、咲子さんが再発見しなければ、おじいちゃんの封筒は、そんなの当たり前だと思って特に気にもとめていなかった家族に、処分されていたかもしれない。

おじいちゃんは、95歳で亡くなった。入院中は、眠っていても手を動かしていたそうだ。棺おけに紙とメンコをいっぱい入れてもらい、空へ上っていったおじいちゃん。きっと天国でも、封筒を黙々と作り続けていることだろう。

そうそう。おじいちゃんの封筒には、イトーヨーカードーや高島屋の包装紙をうまく使っているものがあり、デザイン的にもハッとさせられるのだけど、雑誌から切り抜いたのか、早見優の写真で作った封筒がある。

早見優が好きだったのかなあ。そんなお茶目な封筒を、もっと見てみたい。

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おじいちゃんの封筒―紙の仕事 Book おじいちゃんの封筒―紙の仕事

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2007/05/25

白洲次郎と正子が食べた味

再現料理を読んだり食べたりするのが好きな私だが、この「白洲次郎・正子の食卓」という本には、それを超える面白さがある。

著者は実娘の桂子さん。結婚するまで料理をしたことがなかったという桂子さんが、ご主人に「俺に食わせてもらっているんだから」といばられないよう、家事に対して文句を言わせまいと料理を覚え、今の私たちからすると、ものすごく手間と愛情のこもった本物の料理を、毎日食卓に並べた。

そこへ登場したのが、「娘夫婦が、なにやら美味しいものを食べているらしい」とウワサを聞きつけた、食いしん坊だけど自分は何もしない白洲正子。この本には、娘が両親に乞われて作った四季折々料理の数々が、豪華に紹介されている。

どの料理も、正子の目利きにかなった食器と一体となって、「目のお正月」という感じの見事さがあるが、私が大変面白かったのは、それに添えられた桂子さんの文章だ。

「父は、めんどくさがって食べませんでした」とか、「手抜きをしたのに両親は気づかず、美味しい美味しいと食べていました」とか、料理の解説というよりも家族のエッセイのようなこの味わい。そこには、娘からみた普段着の両親がいる。「りっぱな人」という世間のイメージからは遠い、ごく普通のお父さんとお母さんの姿がある。

それが、ほほえましくもあり、観察者である桂子さんに、陰でペロリと舌を出しているような茶目っ気もありで、なんだかいいなあ。食事を通して蘇ってくる家族の思い出って。

桂子さんはこの中で、反面教師だった母親に対する想いも、チラッとのぞかせているが、率直で、またどことなくユーモアのある文章から、なかなか知性のある方とお見受けした。

ところで、白洲次郎が木のスプーンや竹の器などを作っていたことを、この本で初めて知り、ますますファンになった私。男としても父親としても、ステキだわ。

でも、妻が家のことを何もしないため、接待が好きなのに、お客さんを家に連れてこれなかったというエピソードには、「恐妻家だったのか…」と白けつつも、「あの嫁ではねえ」と、ちょっぴり同情。

そんな風に、白洲夫妻の新しい一面を垣間見れる本としても、貴重かも。料理については、目で味わうのみ。マネして作れるはずがありましぇん。


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2007/05/23

ともとも

以前NHK教育で、「うたううあ ドレミノテレビ」という歌番組があった。

これは知る人ぞ知る名番組で、UAが童謡を歌うという画期的な音楽教育番組で、そのクオリティの高さと遊び心に、「子供向け番組にこんなのがあるなんて、ありがたい」と、私も毎回拝むようにして、見ていたものだ。

そういや、珍しいキノコ舞踊団も出ていたっけなあ。おもろい(大人の)番組だった。

そして、その時パーカッションで共演していたのが、山口とも

彼は、「ともともなのよっ!」と体をくねらせ、ヘンな髪形とヘンな顔をしたカマキャラだったので、そういう意味でもこの番組は画期的だったのだけれど、その技術とセンスに注目していた私は、先日彼の「ガラクタえんそう会」というDVDつきの本を見つけて、思わず購入。「音が出ないものない」というコンセプトのもと、日用品やそこらへんのガラクタを使って音を出し、即興音楽を演奏。新聞紙。食器。タッパー。空き缶。叩き方を工夫するだけで、音の世界は無限に拡がる。

実は私は、こういう試みが大好きである。みんながよく知っているけど見過ごしているようなモノに、視点や切り口を変えて、新しい命を吹き込むという試み。

ともともは、そういう方向性をもったプロのパーカッショニストだった(お笑い系だけど、経歴も遺伝もすごい人)。

で、DVDには「一緒にやってみよう」というコーナーがあり、うちの5歳児も、目の前にナベや茶碗やカンを並べて、狂ったように箸で叩きまくり。「叩くなんて行儀が悪い」と言われがちなこれらの日用品を、想いっきり叩けるとあれば、そりゃ楽しくないわけがない。

ふうむ。これでますます、宅録に拍車がかかるなあ。

宅録っていうのは、カセットテープに、歌や語り(創作話)や楽器演奏を録音する遊びのこと。今のところ、娘のブームで 毎日大変です。

そうそう。ともともは、ポテトマッシャーにカギをつけて、チャラリチャラリと鳴らしていた。うーん。きれいな音!そして、「いっぱいカギ買って~」と言われたのでした。私も、カギコレクターの血が騒ぐ。


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シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

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ともともと遊ぼう! ガラクタえんそう会 Book ともともと遊ぼう! ガラクタえんそう会

著者:山口 とも
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2007/05/19

ガリガリもいいよ

消しゴムはんこが、あれよという間に流行っている。

この現象をナンシー関が見たら、なんて言うだろう。かくいう私も、「みんなそんなにハンコが好きだったのか」と半ばあきれつつ、自分もちょっとあやかりたい今日この頃である。

そしてこの前、「つまようじで彫れる」という消しゴムはんこを見つけて、子供用に購入し、私も初めてチャレンジ。でも、大量に出るカスが消しゴムカスみたいなので、それがイヤだった。

結局それが消しゴムだろうが木だろうが、「何を彫りたいか」ってことに尽きるんだよねえ。特に消しゴムはんこは、誰でも簡単に彫れてしまうだけに、センスが勝負だ。

ところで、まるでパンのように、ハンコ素材が柔らかい方へ柔らかい方へと流れていく中、1人颯爽?とその逆をいっているのが、「ガリガリはんこ」のカキノジンさんである(15日のNHK教育「おしゃれ工房」に出演)。

その作風は、よくあるレトロチックな風合いであるだけでなく、大阪人だけあって、ぷぷぷと笑える図案が目白押し。消しゴムはんこって、よく知らないけど、力がいらないから、女性や子供に人気があるんでしょう。なので、おのずとカワイイ系やほのぼの系が多い気がするのだけれど、これにはほのかな男気があります。だって、ガリガリの石だもんね。

ああ、昔、篆刻教室に2回通って挫折した思い出が、よみがえる。

で、とりあえず、封書に使う「封」という文字入りハンコを、ガリガリで入手。鞍馬天狗のやつです。実は「封」ハンコが好きな私は、面白い封ハンコを密かにコレクションしていて、これでやっと4コめだ~い。

今度は、さやえんどうの郵便番号はんこが、ほしい。そして、はんこ教室にも行ってみたい。 


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ガリガリ絵はんこ帖 Book ガリガリ絵はんこ帖

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2007/05/15

マンガのあじみち

私はべつに料理が好きでも上手でもないんだけど、料理のレシピ本を読むのが趣味である。

といっても、「100円で作るおかず100選!」みたいな実用書じゃなくて(そういうのも持ってますが)、料理人の生きる姿勢が、料理を通してにじみ出ているような本が、好き。そういう料理本は、一つの読み物としても楽しめる。

他には、昔の文豪や芸術家たちが食べていたものとか、映画や小説に出てくる料理だとか、そういうのを再現してある料理本。レシピつきなら、実際に作ってみたくてムラムラよ。このジャンルには、なぜだか無性に惹かれてしまうんだなあ。

さて、そんな私が最近気に入っているのが、福田里香の「まんがキッチン」という本だ。マンガに登場するお菓子をそのまま再現するのではなく、そのマンガのワンシーンをイメージして、オリジナルお菓子を作ってある。

この福田里香というお菓子の料理研究家とは、例によって、不思議なつながりで縁があり、たまたま持っていた「来鳥手帖」「来森手帖」というリトルプレスにも、彼女が関わっていたことが後からわかって驚いた。料理とは関係のないリトルプレスなのに、これも運命?

ちなみに福田さんは、ご両親が民藝運動家だったそうで、私と同世代のお人。うーん。道理で、この「まんがキッチン」で取り上げられている漫画家が、どれも私のツボにはまるわけだ。

三原順「はみだしっ子」。池田理代子「ベルばら」。他にも、萩尾望都。陸奥A子。田渕由美子、坂田靖子、山岸涼子、くらもちふさこ。やまだないと。今市子などなど。漫画家の趣味が合うのう(涙)。

それだけではない。少女マンガにおける「食べ物」に関する考察がお見事なので、感心してしまった。食べ物と心。食べ物と人間関係について、漫画家(萩尾望都や羽海野チカなど)と対談したコーナーもあり、なかなか読み応えがある。

それにしても、「のだめカンタービレ」ののだめが叫ぶ擬音「ぎゃぼ」から着想を得て、「ぎゃ棒」というお菓子を作ってあったのには、笑いました。どんな棒や。それから、「ベルばら」には食べるシーンがほとんどない、という指摘には、食べてばっかりの映画「マリー・アントワネット」を思い出して、しばし考え込んでしまった。面白いなあ。

作者が「食べる行為」をどう扱うかという戦略には、言うまでもなく、食欲と肉欲にはつながりがあり、食べることはセックスを象徴する行為だから。なので、親しくない異性と食事をするのは緊張するし、嫌いな人とは食事をしたくないし、食が合わない人とは暮らしにくいわけで、同じ釜の飯を食った仲間と精神的に強く結ばれるのも、そのせい。少年マンガよりも少女マンガに食べるシーンが多いのは、女性の方が食べることに敏感だからなんですね。

食べ物を大事にする人に、悪人はいない。

そう思ってマンガを読み直すと、新しい発見がありそう。

しかし、さすが福田さんは、マンガの食べ物シーンをよく観察しているなあ。私なんか、ほとんど覚えていませんがな。やっぱり食いしん坊じゃないのかも。


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2007/04/25

ヤノッシュの絵本

大阪市中央区のベルリンブックスで、ヤノッシュの小さな絵本を見つけた。200円。ドイツ語なので、友人に託して訳してもらっているところ。

ちなみに、このベルリンブックスのある大阪農林会館は、レトロな雰囲気の古い建物で、階段をカツンカツンと上っていくと、そこはもう別世界だ。

ヤノッシュは、私の好きなドイツ人の絵本作家である。彼の描く動物たちは、見た目があんまりかわいくないのがいい。細長い手足で笑うと歯が見えたりして、トラだからこう、ウサギだからこう、というありきたりなタイプでなく、それに、確かに擬人化されてはいるけれど、「人間そっくり」というより、「人間のような動物のような、よくわからんけどこういう生物」と思わせる不思議な作風が、クセになる。話も文体も独特だ。

私が初めてヤノッシュと出会ったのは、ヤマハのDVD「世界絵本箱」シリーズに収録されていた「夢見るパナマ」だった。

幸せに暮らしていた小さなトラとクマが、ある日川に流れてきたバナナの空き箱を拾い、そこに書かれていたパナマという文字を読んで、パナマに憧れて旅に出る。2匹は結局ぐるりとそこらへんをまわって、いつのまにか自分の家に戻ってくるのだけど、荒れてしまった我が家を我が家だと気づかず、「なんて良い所なんだろう。パナマってサイコーだね!」と言いながら、自分の家を修理して、そこに住み始めるのだ。

私は最初にこれを見た時、なぜだかすっごく感動してしまい、ドキドキした。

この話は、一見「幸せはもとからそこにあった」という「青い鳥」的教訓のようで、実はビミョーに違うところがミソ。だってこの2匹は、元の場所に戻ってきたことすら、全く気づいていないのだから。なんてへんてこで、不思議な話を作る人だろう。

次に、ヤノッシュの「恋の悩みにはリンゴムース 生きてるのが楽しくなる料理の本」という絵本を買い、この中で、料理上手なクマくんが作る料理を、マネして作ってみたことがある(レシピが盛り込まれてるし、簡単なので)。

中でも特に、ニシンの塩漬けとジャガイモにサワークリームをかけただけの何でもない料理が、「王様も驚く」という言葉通りにあまりに美味しかったので、しばらくこればっかり。もちろん、「こんな気持ちの時には、こういうものを食べたらいいよ」という話も、ユニークな面白さで、たちまちヤノッシュのファンに。

ヤノッシュは、ブルーナをドイツ人にしたような?優しい笑顔のおじいちゃんだ。ひげがステキな絵本作家に、悪い人はきっといない。

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恋の悩みにはリンゴムース―生きてるのが楽しくなる料理の本 Book 恋の悩みにはリンゴムース―生きてるのが楽しくなる料理の本

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2007/03/19

OLだけどオカマです

都内の会社で0Lをやっている20代の能町みね子さん。

彼女は一見どこにでもいるような地味めでフツーの女の子だが、実は彼女の下半身には「チ×コ」がついていた!


この彼女?の実録ブログが本になり、水商売でも芸能人でもなく、女性に混じってOLをやっているオカマちゃん(ご本人は、「性同一性障害」という呼称が嫌いだそうです)を見たことがない私は、早速購入。
これがまた、単なる暴露的な内容ではなく、オトコ時代から女性化時代までの出来事や心境を、ゆるくも鋭く語ったなかなかレベルの高い本で、頭がいいのね。みね子さんは。イラストもおもろい!

もちろん会社や同僚には、男であることを内緒にしているので、社内ではオトコらしいくしゃみやしゃっくりを必死で堪えたり、セーリさんの話にビクッとしたり。面白かったのは、女子になったら重い荷物を持ってもらえるし、上司から丁寧な言葉遣いで話しかけられたりすることに、感激しているところ。

また、相手が自己否定的なことを言ったら、すぐ「そんなことないよ~」と自然にフォローするのが女子の鉄則だと発見しておられます(だから女子は腹黒いのさ)。女子が想像していたよりも群れない(しかし足はむれる)という話も、さもありなん。

性同一性障害だからといって、世間と闘っているつもりはないというみね子さん。お笑い系オカマでもなく、美形ニューハーフでもなく、ごく普通の女子になりたい彼女の行く末を見守りたい人。本の続きを知りたい人は、彼女の
ブログでどうぞ(チ×コ取ったらしい)。

オカマだけどOLやってます。 Book オカマだけどOLやってます。

著者:能町 みね子
販売元:竹書房
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2007/03/06

絵本カバーの使い道

古本を扱う海月書林(http://www.kurageshorin.com/index.html)の店主市川慎子さんが、「新刊本は、買って買って!と叫んでいるみたいでコワイ」というようなことをおっしゃっていた。うーん。その感覚、私にもよくわかるなあ。

私も本屋に行くと、「ちょいと、そこの姉さん。私どう?」「後悔させないから、一度読んでみてよ」「こういうの、お好きでしょ」などという誘惑の声が、あちこちの棚から聞こえてくるような気がして、「いや、今手持ちの金がちょっと」「最近カード使い過ぎちゃって」「子どものミルク代が」と自分に言い訳しながら、悪魔のささやきを振り払うのに必死。買うつもりで持ち歩いていた本を、思い直してまた元の場所に戻す時の、あの何ともいえない気持ちは、「生娘にお手つきをして捨ててしまった罪悪感」なのかもしれない。書店は売春宿か。

そういや、買って帰った本の帯をひっぺがす時、「いや~ん。ご無体な」という声がしたした。私は帯を捨てないと、それが自分の本になったような気がしないのだけれど、あれは着物の帯を解く快感だったんだなあ。気分はオヤジ。

そんな私は、こと絵本に関しては、帯はもちろん、カバーまで容赦なくはがしてしまう。ほとんどの絵本カバーは、書籍と違い、ただ保護のためについているらしいので、はがしても本体に同じ装丁がほどこされている。だから、なくてもへっちゃらだ。何よりも、ツルツルのカバーがペラペラついていると、子どもには扱いにくいし、それに私は、絵本本体のあのザラッとした手触りと、背表紙あたりのカクカクしたところが好きなのだ

しかし、きれいな絵が描かれたカバーをそのまま捨ててしまうのは、しのびない。もったいない。かといって、放っておけばどんどんたまっていく。どうしょう。

そこで私は、子どもと一緒にそれらを切り抜き、コラージュを作っている。これがまた、ありえない絵と絵の組み合わせが面白くて、ついついはまるのよ。例えば、こんなの。

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他にも、周りに吹き出しをつけて会話させたり、勝手に背景を描きこんだり。好きな絵本のイラストを使って、自由な作品つくり。みなさんも一度やってみてはいかが?

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2007/02/28

絵本と音楽で世界の旅へ!

私は、海外の絵本作家の作品が好き。それは、読んでいると、その国を旅しているような気分になれるからである(旅ができない反動ともいえる)。絵本は異文化の水先案内人。それは、子どもにとっても同じだ。小さい子どもからすれば隣町も外国みたいなもんだが、目に見えないこの世界に、自分たちと違う暮らしをしている人がたくさんいる。この不思議を子どもたちに最初に教えてくれるのは、絵本ではないだろうか。

そして絵本を読んだ後、たまに「この国はどんな国?」と話をしながら地図を見たりして、地理オンチの私は、「この国はこんな所にあったのか…」と子ども並に驚くこともしばしば。子どもと一緒に成長していくってこういうことかな(ちょっと違う?)と思う今日この頃である。

こんな風に、1冊の絵本を入り口にして、文字通り世界は拡がっていく。その楽しさを、その国の音楽を聴きながら、子どもと一緒に発見してみようではないかというイベントが、3月にクレオ大阪北で開催される。

実はこれ、友人が「絵本を通して親子の絆を深め、子育ての支援をしたい」と立ち上げた事業の初仕事。題して、「親子で楽しむ絵本&クラシックコンサート」!世界の絵本とその国のクラシック音楽を一緒に楽しめるという、なかなかあるようでなかった企画だと思うので、ぜひぜひ行ってみてください。

●日時 3月30日(金) ①11時~ ②14時~  入場無料(申し込みによる抽選)

■プログラム■
オープニング モンティ:チャールダッシュ
  < 日  本 >    絵本「みるなのくら」
              音楽「金関環による創作演奏」

  < アメ リカ >    絵本「ロバのシルベスターとまほうの小石」
              音楽「フォスター:スワニーリバー」

  < スペイン >    絵本「はなのすきなうし」
              音楽「ファリャ:スペイン舞曲より」

  < ハンガリー >   絵本「ラチとらいおん」
              音楽「バルトーク:フォーダンスより」

               ヴァイオリン奏者 金関 環
               絵本読み聞かせ 助田康子


申し込みはコチラ→Ehonclassic_3


オープニングが「チャールダッシュ」なので、きっと盛り上がるだろうなあ。「はなのすきなうし」とファリャ、「ラチとらいおん」とバルトークの組み合わせに、思わず「ふふふ」と笑みがこぼれた私。これは期待大です。

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2007/02/21

クッキング絵本バンザイ!

私は、実用性や教育色の強い絵本が気持ち悪くて大嫌いなのだが、子ども向けに「絵本」という形をとった料理の本が、大好きだ。なんでだろ。

しかしこういうジャンルの本は、書店ではあまり見かけないし、見かけてもそのうちすぐになくなってしまいそうなので、あせって買い集めている今日この頃。それでも、マンガみたいな作りではなく、大人の鑑賞にも耐え、「料理」と「絵本」の両面で質の高いものは、そんなに多くはない。

そこで、現在私が「これは」と思っている料理絵本を紹介しよう。子どものためでなく、自分のために手元に置きたくなり、眺めているだけで「作ってみたい!」とムラムラしてくること必至。どの料理もカンタンに作れて、でもちゃんと本格的なところが、ミソ。

ちびっこシェフのフランス料理 (1) Book ちびっこシェフのフランス料理 (1)

著者:林 孝三,林 利恵子
販売元:大空社
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「ちびっこシェフのフランス料理」(大空社)
コルドン・ブルー卒業生の林利恵子さんが、「子どもたちに、食べることの本当の楽しさや料理を作る喜びを伝えたい」と、かわいくてわかりやすいイラストで、ていねいにフランス料理を教えてくれる本。子どもはじめての料理編・おかし編・おもてなし編の3冊がある

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「プチシェフのためのフレンチレシピ」(学研)
こちらも前著同様、イラストでレシピを紹介したフレンチだが、「ホテル・チッルの子ども料理教室」で実際に使われていた教則本だというから、恐れ入りました。とにかくイラストが、消しゴムハンコみたいでステキ。上野万梨子さんによる「親愛なるプチシェフたちへ」というメッセージと、料理写真カードのおまけつき。

親子でつくろう!世界の料理絵本―各国の家庭料理を通して世界を知ろう Book 親子でつくろう!世界の料理絵本―各国の家庭料理を通して世界を知ろう

著者:キャロライン ヤング
販売元:集文社
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「世界の料理絵本」(集文社)
各国の家庭料理を通して、世界を知ろうという絵本。世界の国々の料理とお菓子が紹介され、その国や材料の話がちゃんと載っている。ロシアはビーフストロガノフ。オランダはカリフラワー・イン・チーズソース。インドネシアは鶏肉のココナッツソースあえ、などなど。ページをめくっていると、世界中を食べ歩いたような気分に。

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「フェリックスの料理ブック」(ブロンズ新社)
「くいしんぼうのフェリックスとソフィーが集めた世界24ヵ国37レシピと4通の手紙つき」という、フェリックスシリーズおなじみの手紙つきの絵本。世界各国から、季節の便りとレシピが送られてくるという設定で、コンセプトは前著と同じだが、こちらは世界の暮らしや祭りなどが物語で紹介されている。タマゴの割り方やレタスの洗い方、パイナップルの切り方など解説あり。

リサとガスパールのデザートブック Book リサとガスパールのデザートブック

著者:アン・グットマン
販売元:ブロンズ新社
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「リサとガスパールのデザートブック」(ブロンズ新社)
これはデザートオンリーのレシピ絵本。リサとガスパールが、せっせとケーキやクッキーを作る。作り方は文字で説明されているが、完成料理の写真あり。オリジナルマグネット(材料のイラスト)が、42コついてます。

「アンジェラさんの料理絵本」(講談社)
こちらは今までと一風変わった絵本。というのも、イラストではなく、手順から料理器具まで全て写真で載せられているのだ。カラフルでポップな作りで、おままごと感覚で料理が楽しめそう。ちなみにこのアンジェラさんは、アンジェラアキではない。

この他に、もしよさそうな絵本を見つけたら、ぜひ私までご一報を。

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2007/02/07

ヨゼフ・パイオンの正体

ナゾだ。でも、一つの結論は出た。これは、「ヨゼフ・パイオン」という名のプロジェクトに違いない。

何の話かというと、ヨゼフ・パイオン「おとなのひとにいってほしかった24のこと」(祥伝社)という本のことである。これは、「ヨゼフ・パイオンという人が、誰にも知られないようにこっそりと作っていたHPを、多田文子という人が発見し、そこで語られていた24のことを訳して本にしたもの」というコンセプトになっているのだが、よく考えてみたら、何かヘンじゃない?ありそうな話だけど、解説も何もないし、そもそもヨゼフ・パイオンって何者?

そこで私は、本に記載されているアドレス(http://www.pion314.com/yuigon/)にアクセスしてみた。すると、パイオン氏の怪しい気な肖像画がアート的に載せられているだけで(今は一転して、「遺言」という彼の別れの言葉が綴られている)、もう一つの手がかり(http://www.ne.jp/asahi/314/pion/j/index.html)を見ても、わかったようでわからない。

本当にパイオン氏のHPはあるのだろうか。いや、実はヨゼフ・パイオンは存在せず、これらはすべて、多田文子さんの創作ではないだろうか。それが妥当な解釈のような気がする。

もしそうなら、なんちゅー変わった本だろう。こんなの、今まで見たことがない。でもそういうことについて、この本には何も触れていないから、そのままパイオン氏の存在を信じてしまう人もいると思う。

まあ、パイオン氏が実在しようがしまいが、そんなことは本質的な問題ではないんだけども、たぶんそういった本以外の情報もひっくるめて、作品として楽しめるような仕掛けにしてあるんだと思うので、一応お教えしておきます。

で、この本には、「子どもの頃に、大人から言ってほしかったこと」が24つ挙げられている。でも、実際にそう言われたことがあったとしても、経験を積まなきゃわからない事柄ばかり。でもその中に、私が「若い時にこういう考え方を知っていれば、もう少しラクだったかも」と思うことがあった。

友だちはいらない。自分の得意なこと以外は、してはいけない。

だいたい私たちは、「友だちはたくさんいる方がいい」と刷り込まれているが、本当に心が許せる友だちが2~5人もいれば、人は十分生きてゆけるし、苦手なことに労力を注ぐヒマがあったら、そのエネルギーを得意分野の向上・持続に注いだ方がいいに決まってる。でもそういう本当のことを、子供に言うのは難しいよね。

それにしても、多田文子さんの発想も面白いが、何の注釈もなくこの本を出した出版社も太っ腹である。騙されたことに腹を立てる人もいるだろうに。

なんつって、本当にいたらどうしよう。パイオン。いたら、ごめん。

おとなのひとにいってほしかった24のこと Book おとなのひとにいってほしかった24のこと

著者:上野 紀子,ヨゼフ パイオン
販売元:詳伝社
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2007/02/04

お金ってなんだろう?

これは、昔自分のために買った本だったが、それが今、子どもの役に立っている。いや、大人になった今でも、私は事あるごとに、これを読まなければいけない。

L・ジャフェ&L・サン=マルク「お金とじょうずにつきあう本」(晶文社)

これは一見絵本のようだけど、なかなか奥が深い。それもそのはず。これは、フランスで出版された子どものための生活ガイドで、子どもを社会の一員と認め、彼らが自立した大人になれるようにと、社会の現実を教えた本なのである。だから、わかりやすい上に、ビシッとしてます。ビシッと。

労働と賃金の関係。物の値段や価値。お金では買えないもの。お金にまつわる基本的な知識。それらが、「おはなし」「しらべてみよう」「やってみよう」という3つの項目の中で、いろいろな視点からさりげなーく、しかしきっぱりと、語られている。

もちろん啓蒙書ではないので、はっきりとした答えが示されているわけはなく、子どもたちに「自分だったらどうする?」を考えさせる仕組みになっている。

私も子どもに読み聞かせながら、「欲しい」と「必要」の違いについて改めて考え、本当に豊かな生活を送るための、上手なお金の使い方について、しばし我が身を振り返る。ううむ。身につまされるのう。だから大人も読んだ方がいい。

本当にやりたいことがあったら、本当に欲しいものがあったら、簡単にあきらめないで、何か良い方法を見つける。そういう知恵も授けてくれます。大切なのは、物とお金の関係ではなく、物と自分との関係かも。

実は私、定期的に「これがないと生きてゆけないモノ以外は処分」したくなることがあり、そんな時にはごっそり所持品を減らして、スッキリシンプルになるのだけど、その後しばらくすると、「やっぱりあれが手元にないと!」と思い、また買いなおしたりする。物欲があるのかないのか(ある)。これって、金の無駄遣いかな?やっぱり。

お金とじょうずにつきあう本 Book お金とじょうずにつきあう本

著者:L. ジャフェ,L. サン=マルク
販売元:晶文社
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2007/02/03

哲学的な気晴らし

誰もいない部屋で、自分の名前を何度も読んでみる。おしっこしながら水を飲む。音声を消してテレビを見る。アリの行列を追跡する。頭の中でリンゴの皮をむく。今から死ぬと思ってみる。電話線を抜く。目を閉じてシャワーを浴びる。服をたくさん試着する。身の上話をいくつかでっちあげる。1000まで数える。違う人になってみる。頭の中で人を殺す。あてもなく地下鉄に乗る。寝ている人を眺める…。

これは、ロジェ=ポル・ドロワ「暮らしの哲学」(ソニーマガジンズ)の中で紹介されている「日常の中で、思いがけない発見をするためのきっかけ」である。どうです?どれかやってみたくなりませんか?そして、それをやったらどうなるか、体験してみたくはありませんか?

これらはすべて、「いつでも短い時間で気軽にできるものばかり」と書いてあるが、自分にはとてもできないこともあれば(デラタメに電話をかける)、やりたくてもできないもの(森を散歩する)もあるが、すでにやっていることもある。

それは例えば、私はこの中の「世界中のあらゆる場所について考える」「他の人が何をしているのか考える」のだけれども、私はこれを時々無意識でやってます。著者によれば、それによって「心がウキウキする」「世界と溶け込む」という作用があるそうだ。うーん。確かに、現実逃避というか、わけもなく楽しくなったりするなあ。そのためにしていたわけではなかったが、つまらない気分の時によく自然にそんなことを考えていたような…。

中には、「ていねいに字を書いてみる→心が落ち着く」という項目があって、もろに写経の域。日々の暮らしの中で煮詰まった時など、こんな風にほんのちょっと視点をずらしてみれば、思わぬ発見があって、いろんなことがバカバカしくなるかも。

ちなみにこの本は、自己啓発書ではありません。

暮らしの哲学―やったら楽しい101題 Book 暮らしの哲学―やったら楽しい101題

著者:長崎 訓子,ロジェ=ポル ドロワ
販売元:ソニーマガジンズ
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2007/02/01

1年かけてあそぼう

私が絵本を選ぶポイントの一つに、「自然」がある。季節のうつろいや自然の中の暮らしを、あるがままに淡々と描いたもの。「自然の大切さ」を啓蒙的に主張しておらず、ただ自然の美しさや素晴らしさを伝えることで、読み手の心に「自然と共に生きたい」という想いを湧き起こさせてくれるもの。特に森が舞台になっているものに、強く吸い寄せられてしまう。

だって、ないんですよ。周りに自然が。かといって、自然あふれる環境(つまり田舎)では、映画だの演劇だのが好きな私はとても暮らせそうにないし…。だから、私がそういう絵本を手元に置きたがるのは、夢や憧れからきているんだと思う。

しかし、そんな疑似体験を絵本(本)に求めようとすると、おのずと「昔」や「田舎」が舞台になったものが多くなる。ま、そうやってノスタルジーに浸るのも悪くはないが、「結局自分のいる世界にはないんだ」と気づかされたりして、たまにむなしくなるんだよなあ。

そんな中、ロートラウト・スザンネ・ベルナー「さがしてあそぼう」(ひぐま出版)シリーズは、今までになかった面白さ。ストーリー性が織り込まれた「ミッケ!」のような、うーん、いや、ちょっと違うかな。春夏秋冬の4冊に分かれているこの本には、四季折々の町の風景や、そこで生活する人々の1年間の暮らしが細かく描写され、そこには自分が肌で知っている季節感があるのが嬉しい。

この本のユニークなところは、ページいっぱいに描かれている生き物や人間たちの行動を、場所を移動することで、また季節を移動することで、その背景にある物語を想像しながら読んでいけることだ。

例えば、同じ場所を開いた4冊の本を並べると、春に着工された幼稚園が秋に完成していたり、図書館やデパートの催しが季節で変わっていたりする。また、1冊の中をじっくり見ると、例えば、道でバナナを踏んで転んだAさんにもストーリーがあり、そのバナナを捨てたBさんにもストーリーがある、という具合い。ええっと、わかるかな?

とにかく、登場人物のキャラクターがはっきりしているので、行動を見ているだけでも楽しい。

さあ、百聞は一見にしかず。ちょっと大型本ではありますが、丈夫な作りなので、子供が乱暴に何度めくってもOK(たぶん、それに耐えられるように作られている)。我が家では、春に「春ものがたり」を買うという風にして、1年かけてそろえた。子供がめざとく…いや、観察力が伸びること請け合い!

さがしてあそぼう春ものがたり Book さがしてあそぼう春ものがたり

著者:ロートラウト・スザンネ ベルナー
販売元:ひくまの出版
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「っ」が消える

子供が書いたひらがなの文章を見るたびに、感じていたこと。それは、平気で「っ」を抜かしていることである。

これはうちの子だけかもしれないが、「あそびにいった」と口で言いながら、何のちゅうちょもなく「あそびにいた」と書いている。もとより本人に悪気はない。でも、そうよね。「っ」は聞こえないから、君たちには存在しないも同然なのよね、と妙に納得していた私。ないがしろにされている「っ」のことよりも、そういう子供の感覚を不思議に思い、感動していた。

でも「聞こえない文字を表記する」なんて、よく考えてみれば面白い。日本語を習う外国人も、この「っ」に悩まされるらしい。

そんな扱いを受けてきた「っ」が、ある日「ふん。どうせワシなんか、いてもいなくてもおなじなんやろ」と言って、消えてしまう。それが、ステファノ・フォンロー「ちいさい“つ”が消えた日」(新風舎)という物語だ。作者がドイツ人というのが意外だが、いや、日本人でないからこそ、「っ」の気持ちがわかったのかもしれない。

さて、日頃「音がない」ということでバカにしていた「っ」がいなくなり、他の言葉たちは困ってしまう。で、話は予定調和的に、「いなくなって初めてわかった大切な人」というところに落ち着く

作者は、「最初は子供たちのために書いたが、大人にこそ読んでほしい」と言っている。そうねえ。大人が読めば、「っ」に己を投影したり、近くにいる「っ」の良さを再発見したりして、生き方が変わるのかもしれないねえ。今は「あっっ」という表現もあることだし、「っ」にはまだまだ可能性があるよ。がんばれ、「っ」。

でも私は、「っ」に注目したアイデアは認めるけど、「あいうえお」の世界に無理やりヒエラルキーを持ち込んでほしくない。そしてこれはこの本だけに限らないが、何でも人間社会に置きかえて擬人化し、教訓めいた人情物語を導き出すことに違和感がある。というか、やり方がダサイと思う。「っ」もオッサンではなく小さな男の子だし、うーん。そこらへんのキャラクター設定もなあ。

ところで、私が50音の中で一番不憫に思っているのは、「へ」ですよ。「へ」。カタカナでもひらがなでも区別がつかないでしょう。この字だけ。疎外感やアイデンティテイの崩壊にさらされているのは、「へ」だよ。絶対。

小さい“つ”が消えた日 Book 小さい“つ”が消えた日

著者:トロステン クロケンブリンク,ステファノ・フォン ロー
販売元:新風舎
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2007/01/31

ダーシェンカのしっぽ

チェコの作家カレル・チャペックの飼い犬として、あまりにも有名なダーシェンカ。このやんちゃなワイヤーフォックステリアとの生活を綴った彼のエッセイは、愛らしい挿絵と写真(作者本人による)、そしてユーモラスで温かい文章もさることながら、本の装丁がセンスいいので、犬好きでなくてもつい手元に置いておきたくなってしまう。犬好きならば、んもうたまらない。

その不滅のアイドルダーシェンカだが、最近またかわいいヴァージョンの本(ピチグラパブリッシング)が出た。この出版社から出た同じシリーズは、私の記憶では、「クルテク」「チェブラーシカ」「ルドルフ赤鼻のトナカイ」という映像作品と関係したものばかりだったので、まさかこれにダーシェンカが加わるとは。やられた。でもよく中身を見ると、「ダーシェンカ」をもとに作られたショートフィルム「ビトゥイーン アス、ダーシェンカ」が載っている。そうか。やっぱり映像ありきだったのか(知らないけど)。

他にも、カレル・チャペックの生涯や関連写真も載っていて、気軽に読めるダイジェスト版という感じ。装丁も相変わらず魅力的だ。

しかし、うーん。見た目はかわいくて食指が動くけど、買うべきか買わざるべきか。値段とにらめっこしながら書店でしばし悩んでいたところ、娘がさっとこの本を手に取り、胸に抱きかかえてトコトコとレジへ。ん?自分で買うのか?

…ということになるわけもなく、こうしてこの本は我が家にある。絵本のように小型で読みやすく、何よりも「ダーシェンカ」のアニメを見られるのが、(動いていないのが残念だけど)楽しい。娘も「ダーチェンカ(正しく発音できない)」と言って喜んでいるし、ま、無駄な買物ではなかったようで。

ところで、ダーシェンカって女の子だったのね。今まで本を読んだことがあったのに、オスだと思い込んでいた私。最近こういう勘違いというか、勝手な思い込みが多い。気をつけなくっちゃ。

Book ダーシェンカ

販売元:プチグラパブリッシング
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2007/01/30

ないない大事典

いっそ、番組タイトルを「ないない」にすりゃよかったのではないか。例えば、「納豆にはダイエット効果がない」という切り口で情報提供するの(すごいネガティブ)。しかし、確かにウソはいけないが、基本的にマスコミ情報を鵜呑みにしてはいかんでしょう(特にダイエット関係)。今は健康情報に限らず、学者でも研究論文でデータをねつ造する時代。マスコミで流れる情報には、ある程度の情報操作がなされている、とこの機会に改めて肝に銘じておこう。

というわけで、世間を騒がせている「あるある大事典」事件にたいしてショックは受けていない私。というか、そもそもこの番組を一度も見たことがない。健康情報に興味がないのではなく、スタジオにいるタレントが、しょうもないコメントを言ったり、わざとらしく感心したりするああいう類の番組が嫌いなので。

でも「レタスに催眠作用あり」もウソだったというのを聞いて、こんなことを思い出した。

ピーター・ラビットの絵本「フロプシーのこどもたち」の中に、レタスを食べて眠ってしまい、マクレガーさんにつかまってしまう子ウサギたちが出てくる。それが、「ああ、レタスを食べてしまったので、眠ってしまった=レタスを食べたら寝てしまうのは当たり前なのに、ドジね」という感じで語られるので、私は子供の頃から「ウサギはレタスを食べると寝てしまう」と思っていたのです。

しかしその後、当時うちで飼っていたウサギが、レタスをたらふく食べてもピンピンしているのを発見。だから、「レタスで寝るのはイギリスのウサギだけ」と勝手に解釈していた。ところが大人になって、ヨーロッパでは「レタスには鎮静・催眠作用がある」と信じられており、古代ギリシャやローマ時代の文献にもそう書いてあることを知って、ビックリ。でもそれは昔の話やろと思ってたら、「韓国では、運転中にレタス入りサンドイッチを食べないようにしている」という話をウワサで聞いて、二度ビックリ。ま、それは一部の人だろうけど、それでも「レタスで寝る」を信じている人がいるんだなあ。

レタスの催眠効果の実験結果がどうあれ、自分がレタスで眠くなったことがないんだから、それでいい。だけど、ウサギが好物のレタスを食べて、グーグー寝ちゃうなんてことが本当にあるんなら、カワイイな。ピーター・ラビットのこの絵本では、ウサギのそんな無防備さと、そのせいで引き起こされるハラハラドキドキな展開が見事にマッチ。もし読んだことがない人がいたら、ぜひオススメ。

ところで、「みょうがを食べ過ぎると、物忘れがひどくなる」の是非を問う実験は、誰かやったことがあるんだろうか。やった人がいたとしても、結果は公表しないでください。

フロプシーのこどもたち Book フロプシーのこどもたち

著者:ビアトリクス・ポター,Beatrix Potter
販売元:福音館書店
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2007/01/29

働くのがつらい時に読む絵本

働かなきゃいけないが、働くのがイヤになった時。働きたくないが、働かなきゃいけない時。この絵本のクマさんを見てみよう。朝起きて仕事をこなし、金をかせぎ、ご飯を食べて、寝る。だたそれだけのことを、毎日繰り返しているクマさん。

ああ、働くってこういうことなんだよなあ。

初めて「せきたんやのくまさん」を読んだ時、このクマさん(絶対にぬいぐるみ)に人間の基本的な営みを教えてもらったような気がして、じんわりした私。いかにも教訓的な強いメッセージがないからこそ、まっすぐ心に届いてくる。

それにしても、「いよっ!働き者だね!」と声をかけたくなるほど、よく働くのよ。このクマ。ある時は郵便屋さん、ある時は植木屋さん、ある時は石炭屋さんなどと、職業を転々としているようだけど、汗もかかずグチも言わずに、淡々と働いている姿にプロ意識を感じる。見た目は健気なクマさんだが、なかなかどうして、仕事は最後まできちんとやり遂げ、お金もきっちり数えます。

このシリーズの中で一番好きなのは、「パンやのくまさん」だ。早朝に起き、仕込みをしながらお茶を飲み、店も配達も一人で切り盛り。寝る前に今日の売り上げを数えて、8時頃就寝。なんか充実してる。かといって、クマさんは仕事人間ではなさそうで、家の中も住み心地よさそうにしてあるし、食べることも好きみたい。仕事をひっくるめて暮らしを慈しんでいる。そんな感じである。

だからこの絵本を読むと、「私もがんばろう。もう1日」という気になり、一瞬力がわいてくるのだが、よく考えてみると、クマさんの仕事はどれも自営業。誰にも雇われていないのである(もしかして、フリーター?)。

自分の足で立って生きているんだから、四の五の言わない。

私が感動したのは、クマさんのそういう姿勢だったのかもしれない。そして、こんな絵本を作った人(たぶん昔の絵本。イギリス?作者のことを詳しく知りたい)がいるってことにも、感激。

人生の大切なことを、シンプルにさりげなく伝えている絵本。子どもには、学校の副読本みたいな絵本で「労働の喜び」を教えるよりも、黙々と働いているこのクマさんの背中を見せたい。

Bookパンやのくまさん

著者:フィービ ウォージントン,セルビ ウォージントン
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Book うえきやのくまさん

著者:フィービ ウォージントン,ジョーン ウォージントン
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ゆうびんやのくまさん Book ゆうびんやのくまさん

著者:フィービ ウォージントン,セルビ ウォージントン
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せきたんやのくまさん Book せきたんやのくまさん

著者:フィービ ウォージントン,セルビ ウォージントン
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ぼくじょうのくまさん Book ぼくじょうのくまさん

著者:フィービ ウォージントン,ジョーン ウォージントン
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