2008/07/17

どーすんの?デイモス

悪魔の花嫁」を「デイモスのはなよめ」と読む人は、35歳以上であろう。

最近この「悪魔の花嫁」の
連載が再開されたらしい。未完だったのか…。やっぱりデイモン、結局ヴィーナスと美奈子のどちらも選べなかったのね。原作者も、あの三角関係を収束しきれなくて、とうとうさじを投げたのね(よく知らないけど)。

だから、未完のままでもよかったのに。

で、連載再開に触発されてムラムラきた私は、新連載の方ではなく(もちろんだ)昔の作品をついつい読み返しているところである。

ああ、これぞ少女漫画!

絵柄はお目目キラキラだけど基本的にホラーなので、怖ければ怖いほど面白い。どんでん返しも古臭くなっていなくて、なかなかの名作だったことが判明。

それに今読むと、意外にツッコミどころもある。

例えば、第1話で、デイモンの黒い羽を見つけた美奈子の「きっと羽布団から出てきたのね」というセリフや、さりげなくバックに描かれた「こわれ荘」という名のアパートとか。話がシリアスなだけに、まじめな顔して冗談を言われているみたいな気分だ。

それにしても疑心暗鬼とはよく言ったもので、古今東西の女の嫉妬と独占欲がこれでもかこれでもかと、まあ、中には純愛もあるけど、ほとんどが男を他の女に取られた恨みや、他の女に取られたくないという嫉妬から男を殺す話なんだから、すごいな。

愛に向けてど真ん中。直球勝負。

この執拗に一途に愛を求める女の姿に時代を感じるので、今読むとさらによい(昔の一条ゆかりや里中満智子もそうだった!)

そして、当時中学生くらいだった私も40代の私も、美奈子よりもヴィーナスの方が断然好きheart04一方、自分が大人になって変わったところといえば…そうだな。ついていきゃいいじゃん。デイモスに!と思うことかな。人間の男よりもデイモンの方が、なんぼ頼りになってかっこいいかしれん。黄泉の国OK。

こんな大人になって、すんません…。

悪魔(デイモス)の花嫁 (1) (秋田文庫) Book 悪魔(デイモス)の花嫁 (1) (秋田文庫)

著者:池田 悦子,あしべ ゆうほ
販売元:秋田書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/08/28

よく人が死ぬ

「あずみ」と「20世紀少年」を読んでいる。コミかるで一気に届くので、こちらも深夜にかけて一気読み。

もちろんどっちも面白いんだけど、読んだ後はなかなか寝付かれず、翌朝はちょっといや~な夢を見たような見ていないような、どっちにしろあんまり目覚めはよくはないのが玉にキズ。

とにかくどっちのマンガも、人がよく死ぬ。いや、殺される。時には理不尽に、どんどん人が死んでいく。

そして、そういう場面があっても、「そういうこともあるかもね」と、あまり衝撃を受けない自分がいる。で、なんだかとっても不愉快。

昔はそういう時にも、「これはマンガだから。現実ではあり得ないから」ということで、ショックだけど娯楽として楽しめた。

だけど今は、ちがう。

映画にもマンガにも陰惨で残虐な暴力シーンがあふれているが、それを見ると、どうしようもない不快感や恐怖や嫌悪感に襲われる。それは私が大人になり、母親になったせいもあるだろうけど、大きな理由は、こういうことが現実に起こりうるし、実際にもっと信じられないようなひどいことも起こっているから。

なので、よほど荒唐無稽な設定でない限り、全然楽しめない~。こわい~。わざわざそれを見せてくれるな~。

こんな風に、フィクションの中の暴力が非日常性を失ってくると、今後ますますインパクトを求めて、暴力シーンがエスカレートしていきそう。セックスシーンと同じやね。きっと。

なんて、「あずみ」と「20世紀少年」を読みながら、つらつら思った次第。あ、べつにこのマンガは暴力をウリにしているわけではないので、そこらへんは誤解のないように。

どっちかというと、「あずみ」の方が心に残るかなあ。あずみは男の理想の女。「20世紀少年」は、男の子の話という感じ。そしてどっちも、やっぱり男が描いたマンガだなあと思う。

あずみ (40) Book あずみ (40)

著者:小山 ゆう
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する


20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22) Book 20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22)

著者:浦沢 直樹
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する


夏りょうこの映画専門ブログ「空想映画館Kino」は、コチラ

シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
販売元:文芸社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/05/31

マンガはいいのう

相変わらず、イーブックオフの「コミかる」を使って、マンガを読みまくる日々。

べつに延滞料はないのに、もともとが貧乏性なので、「早く次のを借りないと、月会費がもったいない!」と思うあまり、何となくマンガに追われている感もなきにしもあらずだが、これくらいの強制力がないと、読めないのも確か。

では、今まで何を読んだかというと、

●犬夜叉(高橋留美子)
 まだ3分の1しか読んでないけど、なかなか面白い。もちろんアニメよりも面白い。しかし、高橋留美子の絵が、ほとんど変わっていないのにはビックリ。桔梗が好き。

●YASHA(吉田秋生)
 最近は絵柄がちょっと変わってしまったけど、この頃の切れ目顔が一番好き。さすがに私も高校生ではないので、話としては物足りないところもあり。相変わらず、アメリカのテレビドラマみたいなセリフが、いちいちツボにはまる。

●拝み屋横丁顛末記(宮本福助)
 深夜ドラマになったんだってねえ。絵柄はあまり好きではないけど、まあまあ面白い。でも思っていたよりもフツーで、憑きモノのジャンルでは「百鬼夜行抄」(今市子)の方がレベルは上。絹代ちゃん(カラス)のクールなツッコミが好き。

●花のあすか組(高口里純)
 いきなり昔のマンガですが、読みたい読まねばと思いつつ、読んでない話題作って結構多いもので。これ、今読んでも全然古びていない。気合いが入る。みんなに好かれなきゃいけないと、毎日無理をしている今の子供たちに、読ませたい。

●プルートウ(浦沢直樹)
 買います。今ならまだ間に合う。でも途中で、レクター博士(ハンニバル)みたいなロボットが出てきたのには、ちょっと。

ところで、最近手塚治虫について、いろいろ考えてしまう。いろいろ考えるほど読んでないけど。

手塚治虫はすごいと思うし好きだったし、子供にも読ませたいと思うけど、彼の作品を読んだ後のあの落ち込み方が、自分の中でどうもひっかかるのだ。若い頃はそれを「感動」とみなしていた。

でも、本当にそうなのかなあ。

なんだか手塚治虫って、真実をそのまま訴えてくる。本当のことを、これでもかこれでもかと。本当のこと、言いすぎ。その手法がストレートすぎて、受け止める側としては逃げ場がなく、つらい。

私はこの頃チャップリンもイヤになってきたんだけど、それとこれはどこか似ている気がして、うまくいえないけど、アンチ手塚治虫&チャップリン派には、わかってもらえると思う。このモヤモヤした気持ち。


★夏りょうこの映画専門ブログ「空想映画館Kino」は、コチラ

シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
販売元:文芸社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/05/21

ついにプルートウ

ベストセラー書籍は、ベストセラーというだけで、悪いけど敬遠してしまう。

しかし、ことマンガに関しては、けっこう評判を参考にしている。そもそもマンガが好きな人とは、最初から感性が通じ合うので、ガッカリすることがほとんどなく、安心。

そこで、今頃ではありますが、かねてより大絶賛の嵐であった「ブルートウ」を読んだ。

実は、「YAWARA」で浦沢直樹の絵があまり好きではなかったし、話題の「キートン」「モンスター」も、「わざわざ買ってまでねえ」という程度の認識だったのだが、今回は「アトム」の大胆リメイクということで、これだけは読んでみようと思い、レンタルして(←結局買ってない)通勤電車の中で読みふけり、感動のあまり涙目のまま出勤した次第。

ああもう、この年になって、人前でマンガで泣かせないでくれ。

評判通り、焼き直しでごまかしている昨今のリメイク・ブームに、でかい一石を投じる名作(まだ終ってないけど)。そうだそうだ。原作に愛と敬意があるんなら、これくらいのことをやるべきだ。

手塚治虫文化賞をもらって、嬉しかっただろうなあ。すごいプレッシャーだろうなあ。

といっても、そういや私は、アトムはテレビアニメだけで、原作は読んだことなかったんだっけ。じゃあ、「ブルートウ」でどこがどうなっているのか、全然わかってないじゃん。

いや、オリジナル作品としても、十分堪能できる必読マンガです。しかし実は、本当のことをいうと、私が「プルートウ」を読む気になったのは、テレビで浦沢直樹の制作風景や本人のインタビューを見たからでした。

この人、目がいいね。目が。狂気の光があるよ。


★夏りょうこの映画専門ブログ「空想映画館Kino」は、コチラ

シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
販売元:文芸社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


PLUTO (1) Book PLUTO (1)

著者:浦沢 直樹,手塚 治虫
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/05/07

ラクチンラクチン

「在宅でDVDもCDもレンタルできるなんてすごいっ!」と思っていたら、今度はコミックも宅配レンタルができる時代になった。イーブックオフで、レンタルコミックのサービスが始まったのだ。月額980円で、1冊126円。もちろん、延滞料も送料も0円である。

まあ、これが高いか安いかは、読む冊数によるわけだけど、買うほどじゃないが読んでみたいマンガがいっぱいある場合には、かなりおトクだと思う。

というわけで、私も1回利用させてもらいました(何を借りたかは、ヒ・ミ・ツ)。

仕組みは、あらかじめウォッシュリストに読みたいコミックをバンバン入れておくと、その中からレンタル可能なものを、勝手に送ってきてくれる。ただし、TSUTAYAのMプランのように、「今度はこれ」とその時々の都合で選べないので、いきなり15冊が届いて驚いた。

ダンボール箱には、すでに返信用の送り状(着払)が貼ってあり、ヤマトさんに来てもらって集荷してもらうことも可能。シリーズを1巻からまとめて読みたい場合には、重宝する。「ガラスの仮面」とか、最初っから読み直してみようかなあ。

よくわかんないけど、月3冊で元はとれるんじゃないでしょうか。子供が大きくなったら、めいいっぱい活用しようっと。

しかし、私の読みたいマンガの在庫がことごとくないのが、不満といえば不満。どうせどうせ、私の好みは一般的じゃないわよ。

それにしても、私のような者にとって、こういう宅配レンタルは嬉しいシステムなんだけど、その分消化するのに忙し~っ。欲求に体力と時間がついていかないのが、目下の悩みです。


★夏りょうこの映画専門ブログ「空想映画館Kino」は、コチラ


シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
販売元:文芸社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/04/19

孤独にグルメする

あなたは一人で外食ができますか?

私はけっこう平気なんだけど、やっぱり女が1人で入りやすい店とそうでない店があるし、行きたい店と入りやすい店はまた微妙に違うしで、いざ食事をしようとする時にいろいろ迷う。

それが、知らない町で店に入らなければならない時なら、なおさらだ。ハンバーガーショップのチェーン店なら安心感はあるが、面白くないし好きでもない。でも、初めての店に入って失敗したくないし…と、グーグー鳴るお腹を抱えてウロウロ。

私はべつにグルメではないけど、食べることを大切にしたいタイプなので、コンビニ弁当でもかまわないが、それを食べるのは緑の多い公園で、というこだわり方をする。

なので、「孤独のグルメ」というマンガを読んだ時、主人公の男性にすごく共感してしまった。

彼が食べるのは、豚肉のいためライスや定食など、庶民的な普通の料理。必要とあらば、神宮球場のウインナー・カレーだって食べる。

彼はいつも、町をブラブラしながら、「何を食べよう」「あそこはどうか」と頭を悩ませ、意を決して入った店で、運ばれてきた料理を見て、「うーん。とん汁と豚肉で、豚がだぶってしまった」と反省したり。面白いのは、料理の説明に、「ごはん大盛りの方がよかったか?」「不思議な練りからし」「おしんこがうれしい」という、彼の心のつぶやきが盛り込まれているところだ。

ここに登場する店の場所が、東京都台東区山谷や大阪市北区中津など具体的に記述されているので、モデルとなった店を探すのもまた一興。

変わったシチュエーションとして、新幹線ひかり55号でシュウマイを食べる回があるのだけど、ジェット式でシュウマイを暖める弁当を初めて買い、その装置に「おお」と感激しつつ、周りに漂うシュウマイ臭を気にする主人公が、可笑しい。他にも、コンビニへ夕食の買出しに行き、「とん汁もいいけど、ここはナメコ汁で決めよう」など、心の中でブツブツ言いながらいっぱい買ってしまう話も、何だか好きだ。

また、このマンガには、こんなエピソードも載っている。

洋食屋でハンバーグ・ランチを頼んだ時のこと。そこの主人が、アジア人留学生のアルバイトを客の目の前で叱りつけ、怒鳴り続けているのを見た彼は、「食欲がなくなった」と苦情を言って店を出ようとする。その時、「なんだ、あんたは」と謝りもしない主人に、彼はこんなことを言うのだ。

モノを食べる時はね。誰にも邪魔されず、自由でないと、というか、救われてなきゃダメなんだ。独りで静かで豊かで。

そうそう。食べるという行為は、それが1人であれ数人であれ、料理と一対一で向き合うってことだよね。

このセリフが、「孤独のグルメ」というタイトルの意味です。


追記
私は、いくら料理が安くて美味しくても、B.G.Mがミスマッチな店には二度と行かない。食事と音楽には深い関係があるのに、それを軽んじている姿勢が許せない~。そう思うと、パーフェクトに外食ができる場所って、なかなか少ないんだよなあ(好みがうるさいだけ?)。


★夏りょうこの映画専門ブログ「空想映画館Kino」は、コチラ

シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

著者:夏 りょうこ
販売元:文芸社
Amazon.co.jpで詳細を確認する



孤独のグルメ Book 孤独のグルメ

著者:久住 昌之,谷口 ジロー
販売元:扶桑社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/04/13

沈夫人の舌

料理が好きな人には、「自分が美味しい物を食べたい!」という気持ちが強いタイプと、「人に美味しい物を食べてもらいたい!」という気持ちが強いタイプがいると思う。

私はどっちかといえば前者。自分のことを特に食いしん坊だとは思わないけど、自分が食べたくないものを作る気がしない。料理人として、家庭人として、大失格だ(すんません)。

料理人には、「美味しいと言って喜んでもらいたい」という尽くしの精神、もといサービス精神が必要だし、またそういう人が、良い料理人になるのだろう。

しかしそれが、金で買われた専属料理人で、ご主人様に料理で忠義を尽くすのが使命となれば、ちょっと事情が違ってくる。

明時代の中国を舞台にした「沈夫人の料理人」というマンガは、食い意地の張った沈夫人と、金で買われてきた料理人李三の物語だ。腕はいいが気が弱い李三は、美しい沈夫人に憧れつつ、しかしいつ逆鱗に触れるかとビクビクしながら、今日もご主人様の舌を満足させようと、せっせと料理を作るのであった。

毎回豪華な中華料理が登場し、そのレシピも紹介されるので(とても作れりゃしないけど、面白い)、いわゆる料理マンガとしても楽しめるが、主役は料理ではなく、意地の悪い沈夫人だ。

プレッシャーをかければかけるほど、李三が美味しい料理を作ってくるのを知った沈夫人は、無理難題を言って彼をいじめ、必要に応じて怒ったりほめたりして、李三の心をもて遊ぶ。で、李三の方も、主従関係に縛られた召使いだしバカなので、そんなご主人様のアメとムチに翻弄され、毎日天国と地獄を行ったり来たり。

おわかりのように、誰が見てもこの2人は、サドとマゾの関係であろう。でも主従関係には、もともとそういう要素があるし、それも強い信頼関係があってこそ成り立つわけだから、2人ともそういう相手がいて幸せね。

沈夫人が李三をいじめるのは、美味しい料理が食べたいから。ヒマな金持ちで食いしん坊は、かくも業が深い。

でもさ。沈夫人でなくても、女ならいじめたくなるよ。李三は、そういうキャラだよ。

それにしても、過剰におしゃべりないとこに閉口した沈夫人が、「あいつを黙らせる料理を作れ」と命じたのには、笑った。プライドを賭けて料理対決をすることもある沈夫人にとって、李三はかけがえのない料理人なのであった。

沈夫人の料理人 4 (4) Book 沈夫人の料理人 4 (4)

著者:深巳 琳子
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/04/09

本の中の友人

ここ数年、小説を全く読まなくなってしまった。

それは、もともと小説があまり好きではないというのもあるけど、一番の理由は、私の読書タイムが電車の中だということ。だから小説だと、本にどっぷり浸かって乗り過ごしてしまいそうだし、それ以前に、時間や駅が気になって、とてもストーリーにのめり込めそうにない。

特に大人になった今、哀しいかな、長編を読みこなすなど不可能に近い大仕事で、物理的肉体的なハードルを考えただけで挫折。昔はそうじゃなかったのに。

あ、でもよく考えてみたら、高校生の頃だって、学校もクラブ活動も習い事もあったんだから、細切れの時間しかなかったはず。それが、なんであんなに集中して本が読めたんだろう。なんであんなに、本と一心同体になるような読書ができたんだろう。

この高野文子の漫画「黄色い本 ジャック・チボーという名の友人」を読んで、そんな昔の自分を思い出した。

ジャック・チボーとは「チボー家の人々」の主人公。昭和3040年代?のある女子高校生が、バスで、コタツで、屋根の上で、この長編小説を読みふける。

彼女も決してヒマなわけではない。煮しめを作らなきゃいけないし、セーターも編む。しかし本を読んでいない時にも、心はいつも小説と共にあり、ジャックは彼女のそばにいて、彼女と会話を交わす。

ジャック。あなたとは考え方がとてもよく似ているから、きっと友だちになれると思っていた。

この女の子は、目次をクリップで止めて、筋立てが目に触れないようにしているほどの本好きだ。夜遅く布団の中でこの本を読み、ジャックたちと一緒に集会に参加して、「革命とはいかなるものか」と問いかけて盛り上がっていた時に、突然母親に電気を消されて、「弾圧だーっ!」と小さくつぶやいて泣き崩れたりして、その気持ちわかるわあ。

そしてとうとう、この本を図書室に返さなくてはならない日がやってくる。それに彼女は、じきに卒業を迎え、就職して社会に出て行くのだ。

お別れしなくてはなりません。私は仕事につかなくてはなりません。革命とはやや離れますが、気持ちは持ち続けます。

彼女は登場人物たちにそう言って、本と別れを告げる。書架に戻された本は、彼女に優しく語りかける。

いつでも戻っておいで。

思春期特有の孤独や疎外感をさりげなく描き、自分もまたこんな風に本を読みたい。昔夢中で読んだ本をまた取り戻したい、という気持ちが狂おしく沸いてくる漫画。手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。

黄色い本―ジャック・チボーという名の友人 Book 黄色い本―ジャック・チボーという名の友人

著者:高野 文子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (1)

2007/03/21

明日香ふたたび

私の中で、マンガ第二次ブームが沸き起こっている。一時期封印していたマンガ熱の再沸騰だ。

もちろん、まだ読んだことのないマンガも読みたいけど、以前手放してしまったマンガを再収集したい欲求の方が強い。それは、大好きだったマンガをもう一度読み直したい気持ちと、うちの5歳児が将来読むかもしれない(読んでほしい)という期待と。

で、その第一弾が、和田慎二の「超少女明日香」。和田慎二といえば「スケバン刑事」があまりにも有名で、それも好きだけど、この「超少女明日香」もなかなかの作品です。

飛騨の山奥に住む自然を精霊(とも)とする砂神一族。その血を受け継ぐ明日香は、普段は前髪を下ろして目を隠し、ちんくしゃでどうってこともない平凡な少女なのだが、しかしその正体は、セーラー服姿で悪と戦う美少女エスパー。ミックというエスパーな白ネコをお供に、宇宙に飛んだり分身したりする超人だ。しかしそれらの力は、「自然」を味方につけているからという設定。自然の声を聞き、風に守られて、明日香は今日も戦う。

それにしても、普段の明日香がお手伝いさん(スーパーお手伝いさん)っつーのが、改めて読み返してみると、すごい話だなあ。たぶんまだ高校生なのに、お手伝いさんって…。しかも着物着て、荷物を風呂敷に包んで背負って歩いてるし。連載していた昭和50年代当時は、これに何の違和感もなかったのが不思議(今読んでも違和感ないけど)。

和田慎二は、明日香といい麻宮サキといい、セーラー服の少女?を戦わせるのが好きだ。セーラー服って戦闘服なのね。でもその少女が色っぽいけど強くて男らしいから、全然いやらしくなくてカッコいい。
しかも明日香は恋する乙女。その想い人に自分と同じ宿命を背負わせたくない明日香は、両想いなのに彼から逃げる逃げる。この場に及んでまだ逃げるんかっていうほど逃げ続けているお陰で、続編が作りやすいのか、実はまだ明日香シリーズは終っていないらしい。

ところで「スケバン刑事」の方は、監督深作健太によってまた映画が作られた。4代目麻宮サキは、どう見てもスケバンに見えない松浦亜弥。映画も大コケ。でも和田慎二が「あややならOK」と言ったらしいので、原作者は喜んでいるだろう。とほほ。いっそ私は、その昔PTAの逆鱗にふれたというアニメが見たい。
でもその前に、いいかげんスケバン刑事から離れて、超少女明日香を世に出すべし!アニメなら許す。

超少女明日香 学校編 1 (1) Book 超少女明日香 学校編 1 (1)

著者:和田 慎二
販売元:メディアファクトリー
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/03/17

うつうつで読書三昧

朝食トースト(はちみつ)にコーヒー→仕事2~3p→昼寝→うつ→薬→図書館&本屋&テレビ→アイス(中毒)→薬→寝る。これらが順番を入れ替えながらグルグル回っている吾妻ひでおの「うつうつひでお日記」。

仕事は2時間くらいしかせず(できず)、将来への不安と創作の苦しみからうつになる。ダメでビンボーなその生活は予想通りとして、ひでおの読書量には驚いた。

もともとこの日記は、アル中病棟を退院したひでおが、誰に見せるためでもなく描き始めたマンガ日記。だから、「何時に起きて、どこに行って、誰と会って、何を食べた」という平々凡々な日常があるだけなのに、しかも、本人いわく「ネズミのように行動範囲が狭い」のに、何となく充実しているように見えるのは、この膨大な読書量のせいだろう。

吾妻ひでおは、娯楽と現実逃避のために本を読んでいるという(お金がなくてヒマがあるというのもある)。
でも、うつだし、まともに仕事ができるほどの体力もないのに、1日2冊は読んでいるらしい。しかもほとんどが、立ち読みとレンタル。面白そうな本をマメにチェックし、図書館で予約を入れたり、すごいエネルギーだ。だいたい読書自体に体力がいるよ?

しかも、読んだ本の感想にも熱がこもり、コメントや
○△×で評価。ついでにテレビのお笑いタレントにも、「採点してるから手を抜くなよ」と○△×。こういうことに貪欲なのは、ギャグ作家のサガか。
関係ないけど、勝手に氷をつくる冷蔵庫を買い、どんどん出てくる氷を見て、「これはすごい!わはははは。俺は勝ち組だ!」と喜んでいたのが、おかしくてたまらなかった。

ところで、断酒しているとはいえ、ヘビースモーカーだし、生活は不規則で運動不足で、食べているものだってロクでもなくて、ストレスの権化のようなひでおの血液検査の結果が、良好っていうのはどういうこと?もしかして吾妻ひでおは、強運の持ち主では?
だって、自殺しようとして失敗し、ホームレス生活で凍死しそうになっても助かり、アル中で肝硬変直前になっても復活。仕事も、自費出版作品をコミケで売るにまで堕ちたのに、結局こうやって復活しているんだから。人生何がどう転ぶか、神のみぞ知る。吾妻ひでおは、何かに生かされているのかも(でも長生きするかどうか)。

現実逃避するエネルギーがいかにすごいのを、私はこの本で知った。そして、「貧乏とヒマ」という外圧の素晴らしさも。ブラボー!ひでおがいい年をしてすぐ寝るのも、現実逃避に違いない。

うつうつひでお日記 Book うつうつひでお日記

著者:吾妻 ひでお
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/03/16

失踪願望

松尾スズキが、「夜の団地よりも吾妻ひでおが怖い」と言っていた。それとはちょっと違うけど、私も「吾妻ひでおは怖い」と、ずっと思っていた。

なんせ私のひでお初体験は、小学生の時。読んだ漫画は「2人と5人」で、確か、絵柄のかわいさにだまされて読み始めたのだったけど、これがまた「こんなものを小学生の女の子が読んでいいのか」というエロでシュールなギャグ漫画でね。丸っこい線で描かれたロリータな美少女と、不条理なストーリーとのギャップが、それを面白がれるところまで成熟していない小学生には、ただうすら怖く、またそれと同時に、「見てはいけない世界を見てしまった」という快感も味わってしまった私。
「こんなかわいい絵を大人の男の人が描いている」というのも、いたいけな女の子にとっては、十分怖い要素であった。

のちに高校生となった私は、当時大人気SF作家だった新井素子との共著「ひでおと素子の愛の交換日記」で、ひでおと再会。これで「新井素子=吾妻ひでお」と刷り込まれてしまったのだが、その後は住む世界が違ったのか、パッタリ見かけなくなってしまった。

それが今、「失踪日記」で再再会。こんな形で復活したひでおに、うーん。複雑な気持ちです。しかしこれで、「才能はあるけどダメ人間」という漫画家が、私の中で2人になってしまった(もう1人は江口寿史)。

さて、怖いもの見たさで「失踪日記」を読んでみたところ、絵柄と作風がほとんど変わっていないのにまずビックリ!でも、こうやって逃げることができるだけ、この人はまだ幸せかもしれないねえ。それにしても、ホームレスになったら、食料確保よりも、時間をもてあますことがつらいのか。個人的には、拾いもので案外充実した生活を送っていることに、興味シンシン(見習いたい)。

この漫画に悲壮感がないのは、悲惨な自分を第三者の目から見て笑うセンスがあるからだけど、ゴミ箱をあさって見つけた食料に、ひと工夫を凝らして調理するなど、錯覚だけど何だかおいしそうに見えてくる。

失踪中、残された奥さんは、それはもう大変だっただろう。でもそれが今、「失踪日記」が手塚治虫文化賞マンガ大賞までとってバカ売れしたんだから、人生先のことはわからないものだなあ。

さあて、今度は、アルコール依存症の闘病生活を綴った「うつうつひでお日記」を読もうかなっと。ひでおの作品よりも、ひでおが見たい。漫画よりも本人が面白いから。

失踪日記 Book 失踪日記

著者:吾妻 ひでお
販売元:イースト・プレス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

うつうつひでお日記 Book うつうつひでお日記

著者:吾妻 ひでお
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/03/10

鳥が私を呼んでいる

うちの朝食は、パンである。小さい頃からずっとそうだったので、それが当たり前になっている。そもそも私はパンが大好きだ。だから、朝から美味しいパンがあると、それだけで少しは起きる気力が沸いてくるというもの。ああ、いつの日か、毎朝イチジク入りパンや焼きたてのフランスパンを食べられる身分になりたいものだなあ(今は100円の食パン…)。

そんな我が家では、子どもが中途半端に残してどうしようもなくなったパンや、電子レンジのトースターとあたためボタンを間違えて押してしまい、カチカチになってしまったパンや、賞味期限が確実に切れてしまったパンなど、食べられなくなったパンが定期的に発生する。しかしそんなパンでも、こんな姿にしてしまった責任を感じ、何とか成仏させてやりたいと思うのが人情。むげに捨てるなんてもったいない。

そんな時、私はそのパンを裏庭(木が生えている大家の土地)に放り投げる。または花台に置く。いつもそこらへんで見かける鳥や動物(ネコやテン)にあげるためだ。でも、実際にそのパンを彼らが食べているのかどうかは、未確認。そこからなくなっているのは、風に飛ばされただけかもしれないしね。だから、ただの自己満足である。

とまあ、こんな風に、生ゴミ放置(パンだから許して)に近いエサやりをしている私だが、野鳥たちがパタパタと庭にやってくる光景を夢見ていることも確か。春も間近になったことだし、本気でエサ台を作ってみようか…などと思っていたところ、とりのなん子の漫画「とりぱん」を読んで、その考えが甘かったことを知る。
この漫画は、岩手に住む漫画家が野鳥と自然と触れ合う日々を描いたもので、野鳥を対象にしているという珍しさと、鋭い観察眼とツッコミの面白さで、じわじわ人気上昇中。個人的には、会社員勤めでストレスがたまり、漫画家に転向したという経歴に惹かれる。

でも野鳥の餌付けって、育児よりも大変そうですね。この漫画家のように、生き物を愛おしく思う気持ちがないと、できないかも。

だって彼女は、カマキリの世話までするのだ!この包容力というか余裕というか。あっぱれ。

彼女が生き物に向ける視線には、「自然の中で共に生きている私たち」という感覚がある。だからこの漫画は、単なる「野鳥観察日記」を超えて、四季折々の自然や、そこで暮らす生き物たちの世界へと私たちを連れて行ってくれるのだ。

ロハスなんていう言葉で括ってほしくない、昔から受け継がれてきた地に足がついた暮らし。でも、そういうのに憧れるし羨ましいけど、それは彼女が、子どもの頃から自然に馴れ親しむ環境で育ってきたからこそできるわけで、同じことをしようと思ってもムリ。

ま、とりあえず私のできることとして、エサ台を何とかしようっと。これからの季節は、自然の食べ物がたくさんあるので、あまり鳥は来ないらしいけど。でもその前に、自分と娘をまともに養えないのに、鳥が養えるのかっていう問題もあったりして。


Photo_1
←実はうちの母親が作った鳥の巣箱オブジェを、こうやって木に括りつけている。もちろん、中には誰もいない。気分だけ。


とりぱん 1 (1) Book とりぱん 1 (1)

著者:とりの なん子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/02/24

酒飲みのバイブル

農家の若い嫁を主人公にした漫画「GREEN」がドラマになった時、これを機に二ノ宮知子がブレイクするような予感がちょっとだけした。でもまさか、「のだめカンタービレ」でここまで売れるとは、人生すごろくを目の当たりにしているかのよう(リリー・フランキーも然り)。これも、続けていればいつか一発当たる…いや、日の目を見られる好例か。

でも、私にとって二ノ宮知子とは、クラシック通の漫画家ではなく、大酒飲みすぎて血ゲロを吐いていた漫画家なんですよ。彼女が自分の酒飲みライフを綴った「平成よっぱらい研究所」を、みなさんご存知でしょうか。

「ま、いっか。だってよっぱらいなんだもん」を合言葉に、酒飲んで大バカ状態になっているよっぱらいたち。いや、私はここまで飲んで過激にはならないが(ホント)、このノリが実感としてわかるだけに、読んでいて楽しいったら。そうそう。この解放感!この自己嫌悪!よっばらって道端の幟を持って帰っちゃたり、店でヤクザに話しかけてしまったりするんだよねえ(←経験があるわけではない)。

小学生の頃から酒を飲んでいた二ノ宮知子。こっそり学校に酒を持って行き、ドキドキしながら一人で飲んで、翌朝二日酔いになったという話は、まるでマンガ。それから、二ノ宮家がみんな酒豪で、姉の見合いの席に「鬼ごろし」が運ばれ、つぶした見合い相手を姉が送っていったという話には、爆笑だ。

私はこの漫画で二ノ宮知子を知り、二ノ宮知子その人のファンになった。ああ、うらやましい。こんなに酒飲んでバカができる仲間がいるなんて。ただ騒いで一気飲みするだけの学生の飲みとは一線をかくす、このダメっぷり。私の人には言えないあんな失敗やこんな醜態を、彼女なら笑って聞いてくれるだろう。

現在この「平成よっぱらい研究所」は、酒が強すぎるOLとサラリーマンを描いた「飲みに行こうぜ!」が同時収録され、「完全版」という形で文庫になっている。二ノ宮知子には、ぜひまたこういうよっぱらいマンガ(ドラマ化希望)を描いてほしいのだが、「のだめ」が続く限り期待薄。

でも待ってます。そして、私も研究員にしてください。

平成よっぱらい研究所―完全版 Book 平成よっぱらい研究所―完全版

著者:二ノ宮 知子
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/02/15

大阪にいるハムレット

大阪に住んでまだ二年目だが、私が大阪で好きなところは、歩行者が信号を守らないところと、乗客がプラットホームで並ばないところだ。

信号の色に関係なく、車がこっちに向かって走ってこなければ、道をゾロゾロ渡ってしまう歩行者の一群を見た時、ここは中国かと思ったのだけど、内心すごく嬉しかった。というのも、私も他県で同じことをよくやっていたのだが、よそでこれをやると、ヒンシュクを買うし、浮くので困った。しかしここ大阪では、車が走っていないのに、信号が青になるのをじっと待っている生真面目な歩行者は、ただのアホや。自己判断と責任において堂々と信号無視をするのが、大人の歩行者。うん。やっぱりこうでなくては。

「大阪人はプラットホームで並ばない」というのも、私にとっては好都合である。だって私はちゃんと並ぶので、ギリギリにホームに着いても一番前に並べる。しかしこれは、順番抜かしをしようと思って、しているのではないよ。実際、漫然とダラ~ッと人間の固まりがホームいっぱいに広がっているので(最初にこの光景を見た時、この人たちは何をしているのか?と思った)、どこが最後尾かわからないのである。どうやらこれは、きちんと指定位置に並んでいても、そこに扉が正確にくるとは限らないので、並ぶだけソンということらしい。彼らもたこ焼きやでは並んでいるから、行列が嫌いというわけではなさそうだ。

とまあ、前置き(だったんですよ。これ)が長くなったが、そんな大阪にいなければ読まなかったかもしれないのが、「大阪ハムレット」というマンガ。大阪を舞台に、そこで暮らす人々の悲喜こもごもが綴られた人情短編集だ。

その中に、「女の子になりたい男の子」の話があって、それは実話だという。当然私はこの話が一番お気に入りで、小学生でカミングアウトっつーか、そういう概念以前にフツーにしているというか、映画「ぼくのバラ色の人生」の男の子みたいなこの子が、これから世間の冷たい荒波にもまれていくのかと思うと、お姉さんの胸はきゅんとなるのだけど、本人はいたって明るい。ぜひこの子の話を独立させて、まとめてほしいなあ。他のはいいから。

ところで、このタイトル。私はどうも好きになれなくて、軽い拒否反応すら覚えるのだけれど、それは私が「ハムレット」を嫌いだから?

大阪ハムレット (1) Book 大阪ハムレット (1)

著者:森下 裕美
販売元:双葉社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/01/30

菅原道真の応援歌

菅原道真の末裔が合格ソングを歌い、縁起を担ぎたい受験生の心をわしづかんで、ただいまヒット中!そんなことがこの21世紀に起こるなんて、冗談みたい。驚きを通り越して笑ってしまう。でも「梅は咲いたか 桜はまだかいな」だって。最初恨み節かと思ったよ。もし藤原時平の末裔に受験生がいたら、聞いちゃいかんな。絶対に落ちるから。

この勢いに乗り、歌手のMetisは「太宰府天満宮でライブをしたい」と言っているそうだが、天満宮も複雑な気持ちだろう。合格エンピツ(私は受験で使いました)よりも、梅枝餅つきCDが売れたりして。

これにより、今後○○の末裔たち(自称も含む)がいろんな応援歌を出してくるかも。ジョン万次郎の末裔による「英語なんてカンタンOK!」なんか、どうだろう。

話を戻すと、私にとって菅原道真は、「学問の神様」ではなく「崇る人」。近寄ったらえらい目に遭いそうな、荒ぶる神様のイメージである。それもこれも、全ては岡野玲子の「陰陽師」の影響だ。いや実際、このマンガの菅公はすばらしい。怨念の権化となり、青筋立てて怒っている姿が恐ろしいというか、かわいいというか。「そうそう。きっとこんな感じ」と、会ったこともないのに納得。それくらい説得力がある道真の決定版だ。

さてさて、映画「陰陽師」の原作になったこのマンガも、とうとう完結。本の表紙カバー見返しに易の卦が描かれてあり、全巻のカバーを集めて「ある順番」に並べると、表紙が1つの絵になるという仕かけがあるというので、ぜひ「陰陽師」のイメージサントラを聴きながら、やってみよう。

どこかにいるはずの安倍晴明の末裔も、何か歌う気ない?呪文をラップで唱え、摩利支天の印を切りながら、へんばいを踏むとか。「雨乞いの歌」なんかヒットするよ。絶対にバチが当たりそうだけど。

陰陽師 (1) Book 陰陽師 (1)

著者:夢枕 獏,岡野 玲子
販売元:白泉社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/01/28

ハイジのしあわせ

あまり大きな声では言えないが、私はジブリがあまり好きではない。あの小動物のような顔が苦手(小動物は好きなのに)。要するに、絵柄がいつも変わりばえしなくてイヤなのだ。女の子のキャラクターも、どれも似ているし。

そうはいっても、今まで「もののけ姫」までの全作品を見てきた私である。わざわざ映画館に足を運び、「魔女の宅急便」では、信じられないことに、ちょっと泣いた。でも、ただ何となく「そこにあるから見た」という感じ。「ハウルの動く城」は、半ば義務的に「見なければいけない(見ないと何も言えない)」と思っているけど、評価が高ければ高いほど、見る気が萎える(ただのひねくれ者?)。

しかし、「ゲド戦記」が文春きいちご賞(日本のラズベリー賞)第1位とは、久々におもろいニュースだ。観客もバカじゃなかったということで、ホッとしたよ。お父ちゃんと同じ土俵で勝負するからだよね。見てないけど。

と、そんなことを思いつつ、毎日見てます。ハイジ。いや、子どもが見ているので、つい。今、クララが山に来ているところで、明日あたり立ちそう。

しかし、何回見たかもわからないこのアニメも、大人になって改めて見てみると、新しい発見があるものだ。子どもの頃にはわからなかったこの味わい。例えば、ハイジの叔母さんの身の上の苦労(赤ちゃんだったハイジを5年間育ててエライ!)や、8歳になったハイジを学校にやらないおんじの偏屈さ(そりゃあんたが間違っとる!)とか、そういうの。

特に昔は、フランクフルトにいるハイジが、ただただかわいそうだったが、お陰で字も覚えられたし、広い世界も見られたし、クララという親友もできたしで、束の間いい人生経験をしたんじゃない?そんなことを考えるのは、私自身が親になったせいだろうか。

特に、おんじの人柄がよい方向へ変わっていったのも、ハイジを一時期失うという経験をしたからで、だからハイジは、一度フランクフルトに住んでみて大正解!

ところでうちの子は、ロッテンマイヤーさんのガミガミが始まると、こわくて毛布をかぶってしまう。私もこわい。だって、実際にいるから。ああいう人。

| トラックバック (0)

2007/01/27

バカ姉弟のシュールさ

待望の漫画「バカ姉弟」5巻が出た。私はずっとタイトルを「バカしてい」だと思っていたら、5巻めで初めて「バカきょうだい」と読むのだと知った。しかもこの2人は双子らしい。

作者の安達哲といえば、昔ヤングマガジンで連載していた「お天気お姉さん」を、毎回こわごわ楽しみに読んでいた思い出がある。たぶんこれは女が読むマンガではないのだが、なんかもう、この「お天気お姉さん」というバブリーな女の世界を容赦なく描いたギャグが、コワイやらクセになるやらで、当時今よりもまだウブだった私にとっては、大変ショッキングなマンガであった。

今思うと、このマンガを読んだお陰で、女として何か大事なものを失くしてしまったような気がしないでもない。

そんなイメージしか持っていなかった安達哲の新作「バカ姉弟」を、漫画家の友人に薦められて読み始めたら、もう夢中。こんなマンガも描ける人だったのね。

下町に住む幼稚園児の姉弟は大金持ち。でも両親は海外にいて不在なので、地域のみんなに「バカ姉弟」と呼ばれてありがたがられ、かわいがられながら、健気にシュールに生きている。

話がどこへ行くのか見当もつかず、オチがあるようでないようで、随所ですっごく笑えて、間とテンポが実に妙。読んだ後、癒されたような気分になるのも、不思議だ。

うまくいえないけど、すごく感動してしまう。ええ話や。大人に頼らず、2人の世界で生きているバカ姉弟。「でこピカ」おねいちゃんの方は、孤独を知っている賢い子だよ。でもバカでもあるんだよね。

バカ姉弟が存在するこのありえない世界。子どもはきっとこういう世界で生きているに違いない。

しかし、最初はシュールな人情話?と思っていたら、実はこれでも音楽マンガだというのが5巻でわかり、驚いた。なんちゅー展開。しかし同じ天才ピアニストを描いても、この違い。おねいちゃんがピアノを弾くと、鳩が上からバタバタと落ちてくるシーンには爆笑だ。

果たしてこれで、完結したのかしないのか。あれで完結ならばすごい終り方だが、そうであってほしい気もする。

バカ姉弟 (1)     ヤンマガKCデラックス Book バカ姉弟 (1) ヤンマガKCデラックス

著者:安達 哲
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)

2007/01/24

松本大洋の時代劇

松本大洋の母が、「のはらうた」の工藤直子!

ファンの間では周知のことかもしれないけど、さっき知ってあまりに驚いたので、ここで叫んでみた。

一時期、工藤直子のファンだった(コンサートにも行ったし、カレンダーも持っていた)私としては、「漫画家の井上三太が松本大洋のいとこである」という事実よりも、衝撃。

「ともだちは海のにおい」のあの母に育てられたんだ…松本大洋って。何だかしみじみするなあ。  

さて、その松本大洋の新作「竹光侍」1巻を読んだ。

初めての原作つき時代劇だという。松本大洋の時代劇なんて最初は想像もつかなかったが、表紙の絵があまりにもステキだったので、改めて「すごい。この人」と感動。正月飾りにもピッタリだ(ほめている)。

中身も、彼のあのデフォルメされた画風にさらに磨きがかかっていて、このままどこまで高みに登っていくのかと圧倒される。リアルでファンタジーぽくて、時折はさまれる独特のユーモア。相変わらず擬音が面白いのよ。「ちぇっ」というところを「ちょっ」と言ったり、猫もフツーにしゃべってるし。

「バガボンド」と比べるのはヘンだけど、ああいういわば王道になじんでいたもので、こんな「剣」の世界の描き方もあるんだなと、ちょっと目からウロコだった。どっちかというと、こっちの方が好き。

体に鬼(業)を住まわしつつ、ヒョウヒョウとしているきつね顔の主人公が、魅力的だ。

私と松本大洋の出会いは、友人から借りて読んだ「鉄コン筋クリート」だった。頭をガツンとされたのは「ピンポン」。一番好きなのは「ZERO」。「青い春」「花男」だけ読んでいない。

いつも人から借りて読んでいたので、うちには1冊も松本大洋の本がなかった。だからこの「竹光侍」が第一号。これから何巻出るのかわからないけど、本棚のスペースを空けておこう。ふふっ。   

映画「鉄コン筋クリート」も、たぶん見ます。

竹光侍 1 (1) Book 竹光侍 1 (1)

著者:松本 大洋,永福 一成
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| トラックバック (0)