2008/03/16

旬の雑誌

最近また雑誌にはまっている。私がミニコミ誌を作りたがるのも、いろんな話題がスクラップのようにコラージュされた「雑誌」という形態が好きなせいだと思う。

とはいえ、腐るほど出版されている雑誌の中で私が好きなのは、特徴がはっきりしている個性的な雑誌。ある一つのテーマに沿って、それをあまりマニアックに走らず、いろんな角度からアプローチしたりアレンジしたりしている雑誌である。

なので、べつに韓国が好きでもないのに「スッカラ」を愛読し、他には「大阪人」「自休自足」「Loveカメラ」など、あちこちのサークルにちょっとずつ顔を出しているような感覚で、それぞれの世界を楽しんでいる。

その中でも特に気に入っているのが、「『旬』がまるごと マザーフードマガジン」というなんだかすごいタイトルの雑誌だ。毎回「トマト」「カニ」「ネギ」「さつまいも」「マグロ」など、1つの食材について「語りつくす」というほど力は入ってないんだけど、切り口がなかなか面白く、しかもためになる。

取り上げる食材もいい。だってネギだよ、ネギ。

「食材ごとのレシピ紹介」という切り口はよくあるが、こんな風に読み物として、しかも1冊まるごと使って1つの食材を、という雑誌は他にないだろう。表紙もさりげなくインパクトあり。580円という安さも、魅力だ。

今は似たような雑誌が節操なくあふれているだけに、たまにこういうユニークなものがあると、それだけで嬉しくなる。

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2008/03/06

直筆のよさ

私もそうだが、今や原稿を書く人はほとんどパソコンを使っていると思う。

そこで気になるのは、そのために作家の直筆原稿が残らないということ。今活躍している作家たちの直筆原稿が全く存在しないとなると、将来の研究者にとってゆゆしき問題だろうし、私たちにとっても、つまらないことである。

直筆原稿には、創作の苦労や字体から推察される人物像など、その作家の息づかいが刻み込まれていて、それがとうの昔に亡くなった作家のものであれば、なおさら面白い(確か、原稿用紙の余白に借金の覚書だか家計簿らしきものを落書きしていたのは、石川啄木じゃなかった?)。直筆原稿には、これが心血を注いで生み出した作品だという生々しさがある。

だいたいパソコンで打った原稿は、サインがない限り、厳密には誰が書いたかわからない。だからそのうち、人気作家の没後に未発表作品の偽物が出回ったりして。

しかしそれは、手紙も同じだ。メールは長期間残らないし、残さないだろうから、手紙という第一級資料を使った研究は期待できなくなる。

パソコンの普及により、それらを使った文学研究が成り立ちにくくなってしまうのも、時代の流れとはいえ、さみしいことよのう。

とまあこんな風に、作家の直筆が見られなくなるという危機感をつのらせていた時、新潮社のPR誌「波」の表紙に、毎号有名作家の直筆写真が載っているのを発見。北杜夫、伊丹十三、阿川弘之、村上春樹など、昨今問わずのラインナップに、すごい!これは貴重だ!と1人でコーフン。

毎回直筆サインも載っているので、まるでサイン本を手にしたような気分も味わえる。

さすが新潮社。やることがしぶいな。本好きの方は要チェック。

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2007/09/17

裂いて織る

セキユリヲさんを、最近あちこちの雑誌でよくお見かけするようになった。伝統工芸の手法を使って新しいデザインを生み出す「サルビア」として活躍していたのが、今やすっかりソロ活動?で売れっ子。

そのサキユリヲさんが発行しているミニコミ誌「季刊サルビア」第5号が、裂き織りの特集だった。

いらない布を裂いて織る裂き織り。まだ「リサイクル」という言葉もなかった時代に、布を大切にする心から生まれたこの織物は、とにかく丈夫。でもその作品を買うと高い!

ところがこのミニコミ誌では、ダンボールのような厚紙で機織を作り、気軽に自分たちで織っていたのでビックリ!そんなこと、夢にも考えたことなかったなあ。簡単にできそうだなあ。

裂き織りで編んだぞうりがかわいい~。もしかして、今手作りぞうりがブーム?他にも、ぞうりの本を見かけたような気がするので。

手で編む可愛い布ぞうり  お気に入りの布で! 思い出の服で! Book 手で編む可愛い布ぞうり お気に入りの布で! 思い出の服で!

著者:小石 正子
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シネマチックな夜 Book シネマチックな夜

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2007/08/10

万人にはオススメできないが

私は、写真や絵を見ながらそれをマネて描くのはわりと得意だが、思い出して何かを描くとなると、からっきしダメ。

Img168 ←その証拠にこれを見てくれ(クリックすると拡大します)。一番まともなのはスヌーピーか。

本当に、自分でもビックリするほどの記憶力だよ。そう。これは画力ではなく記憶力、いや、観察力の問題なんだよね。

さて、私がこの記憶絵をつい描いてしまったこの冊子は、「車掌」というミニコミ誌だ。

最近はパソコンを使って、プロ並みにきれいな写真やイラスト満載で、でもあまり中身のないこじゃれたミニコミ誌が続々と発行される中、この「車掌」は手書きで字がいっぱい。しかも、汚い。わざと汚くしているらしい。写真も。

内容も、「ただ自分たちのお気に入りを並べただけ」という芸のないものではなく、かといって、切り口が鋭くてためになるというわけでもない。

例えばこの「記憶」をテーマにした号には、伝言ゲームの要領で、前の人から言われた通りに旅をして、それをまた次の人に伝えていく「伝言ハイク」(しかもそのルポを、最後の人から逆順に掲載)。数人が同じ料理番組を見て、それぞれがその料理を記憶だけで作るレシピコーナー。AさんがBさんに昨日の出来事を聞き、それを記憶だけでAさんが綴る「他人日記」。

ええっと、他には、これは記憶とは関係ないみたいだけど、お客のいない店を紹介するコーナーが、私は好きだ。あと、街で見かけた人を数人で尾行するやつとか。

面白い。面白いけど、くだらないよなあ。またそのくだらないことを本当にやる人が、ここにいるんだよなあ。

でもこれが、ミニコミ誌の本質なのだ。ミニコミなんだから、広く受け入れてもらう必要はない。わかる人にだけわかってもらえばいいのである。その腹のすわり具合が好感持てる。

ところで、編集長の指令を受けて、とんでもない企画を次から次へとやらされている編集スタッフが、めんどくさそうにイヤイヤやっている印象を受けるのがミソ。もちろん、心底嫌いじゃないんだろうけど、「楽しんでやってま~す」が主流のミニコミ誌で、これは異色では?

ちなみに、「ゲップをサイコロ代わりにしてスゴロク旅行をする」という企画では、血を吐いたスタッフもいたらしい。

編集長の塔島ひろみは詩人で、大安の日にあんぱんを食べ続けている子持ちの主婦。著書のほかに車掌文庫あり。この人についていくのは大変そうだけど、でもちょっと私も参加してみたい気がするのよね。特に尾行コーナー。尾行をしてみたい人、大阪にはたくさんいます。

Book 楽しい「つづり方」教室

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Book ドキュメント ザ・尾行

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2007/08/09

てくり

てくてく。てづくり。厨。クリアー。これらのイメージを込めて、「てくり」。

盛岡市を舞台に、この地に住む人の暮しや風景を温かく綴ったミニコミ誌である。

そう言うと、まあよくあるミニコミ誌のように思えるが、私が持っている第3号は岩手大学の特集で、ちょっと切り口が変わっている。さんさ踊りを踊るサークル。古い伝統をもつ男子寮。学生食堂のおじさん。学生たちに愛された飲食店。校舎も古い木造だし、これを読んでいると、なーんか自分の大学時代を思い出してしまってノスタルジー。

他にも、「どうしてここに住んでいるのか?」という問いに答える人たちのコーナーがあり、今自分が住んでいる土地があまり好きではなく、ずっと住み続けたいとも思っていない私は、「この街が好き!」と言い切れる人たちをうらやましく思ったり。

私も盛岡に行ったら、そんな気持ちになれるのかな。あ、でもそういえば、行ったことがあるんだっけ。宮沢賢治を訪ねてその昔。

「てくり」が気になったのは、私が南国よりも北国に惹かれるから。て
くりは、広告収入に頼らず、友の会みたいなものに支えられて作っているという。私も遠い国(地理的にではなく気分的に)から応援しています。

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2007/08/03

ヒッチハイク?!

パクマガというフリーペーパー25号に、ヒッチハイクが特集されていた。

ヒッチハイク?今時そんなの映画の中だけの話かと思っていた。それが、実際日常的にヒッチハイクをしているという男女2人(やはり、というべきか、共にアーティスト)が、大阪から高松までヒッチハイクをする様子がルポされていて、ビックリすると同時に、なんだかとても感激してしまった。

旅の目的は、おばあちゃんに会いに行って、ご飯を奢ってあげること。それから実家に帰って、お父さんの誕生日祝いをすること。

時間やルートが初めからわかっている移動は、つまらない。ただ「そこに行きたい」という思いだけで、バスや電車を使わずにそこへ行ってしまう。

でも、思うようにいかないのがヒッチハイク。彼らは、途中で落ち込んだり喧嘩をしたりしながら、いろいろな人との出会いをくりかえし、現地に到着する。

結局、往復で16台。すごいなあ。

交通手段のない土地ならともかく、あるのにそれを使わないという選択かあ。特に女性の方は、普段からお金があってもヒッチハイクをしているそうで、知らない人の車に乗って大丈夫か?とか、そんなノンキなことは、自由業だからできるんだとか、まあ私も一応常識的なことを思ったりしたのだけど、ヒッチハイクを生活に取り入れたら、世界が変わると私も思う。絶対にできないけど。

だから、ちょっとうらやましくもあり。

ヒッチハイクでどこかに行く。このフリペでは、それは彼らの生き方とリンクしているという評価をされていた。合理的でまっとうな道を進むのは確かに安全だけど、社会に組み込まれずに、道端の石や花を拾いながら進んでいくようなマイペースな生き方。

ステキね。ステキだし見習うべきところもあるけれど、それを40代になっても50代になっても、子供と一緒でもやっていたら、認めてあげる。イジワルかな。私。


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2007/07/30

Kino創刊!

ついに、空想映画館Kinoが発行するミニコミ誌「Kino」ができました!めでたいめでたい。あまりにめでたいので、創刊のみ特別価格100円です。

毎回1つのテーマで構成されるKino。第1号は「花」とあいなりました。

なぜ「花」?それは、当初は去年春に出すつもりで、しかも、その頃は無謀なことに季刊のつもりだったので、季節感を出そうとして「花」にしたのです。

で、結局「夏に花」になっちゃいましたが、「花」はオープンにふさわしいテーマでもあることから、違和感なく受け止めていただけたようで、ホッ。これが「雪」とかじゃなくて、本当によかった。

さて、空想映画館Kinoは、どのようにして生まれたのでしょう。どんな映画館なのでしょう。それは「Kino」を読めばわかります。

もちろん、この映画館は実在しません。映画好きの友人と私が、「こんな映画館があったらいいのに」と、文字通り空想して生まれた映画館。なので、そこには、私たちの夢と妄想が詰め込まれています。館内にはライブラリーもあって、ロビーでは、毎週日曜日に映画ファンなら見逃せない蚤の市が開かれているし、本当に夢のような映画館です。

読者の方には、「Kino」を通して、この空想映画館Kinoならではのユニークな切り口と、映画上映だけにとどまらない遊び心を面白がっていただき、ぜひともこの映画館で、現実では味わえない楽しい時間を過ごしていってほしいです。

さて、次号は一体いつ?わかっているのは、発行は不定期になるということ。でも、細く長く続けていくつもりですので、今後ともどうぞお見知りおきを。

●取扱店はコチラ↓
  まみいぬ堂
  マーゴ
  コマカフェ
  ロカ
  貸本喫茶ちょうちょぼっこ
  オソブランコ
  &‘s
  シャムア(大阪市西区北掘江)

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2007/07/19

傘と水筒

雨模様が続く今日この頃ですが、眺めているだけなら、雨は大好き。でも実際には、そうやってゆっくり雨を眺める機会はなかなかなくて、それに霧雨とか五月雨とか、そんな風に雨を名前で呼ぶことも最近ないなあと思ったりする。街にいると、雨がよく見えないし。

さて、「あまがさ」というミニコミ誌があるのをご存知でしょうか。

その名の通り、傘の形をしたかわいい小冊子。1・2号はフリーペーパーで、形も傘をたたんだ形になっている。見た目は、そうだなあ。昔あったペコちゃんの傘の形をしたチョコレートみたいです(確かペコちゃんだったよね?)。

その「あまがさ」が、3号から傘を広げた形に変わり、ミニコミ誌になった。今号の特集は「bag」。雨の日に持ちたいbagの紹介、雨をイメージしたbagの作り方などなど、ちっこい冊子にbagの話がもりだくさん。他にも、雨を楽しめるスポットや、雨の日の外ごはんメニューとして、レモン塩うどん、鶏のメイプル照り焼きetcのレシピあり。bagに入れて歩きたいCDや本を紹介した別冊もついていて、デザインに懲りすぎて文字が見づらい、文字が小さくて読む気がしない、という難点はあるものの、まあ、面白いミニコミ誌です(これってほめてるのか?)。

これと同じように、テーマを装丁デザインに反映したミニコミ誌として、「すいとう帖」がある。

こちらは、シンプルな長方形の冊子に長いヒモがついていて、水筒みたいに肩にかけられるようになっている。内容は、水筒の良さを見直し、マイ水筒のある生活を提案するもので、おそと好きには魅力的なミニコミ誌。ちなみに私も、おそと系水筒派です。水筒、この前落として壊したので、今持ってないけど。

どちらのミニコミ誌も、通販で購入可。こういう変形のミニコミ誌を見ると、確かにマスコミじゃ作れない冊子だなあとつくづく思う。なので、そういう意味でも、とってもミニコミらしいミニコミです。

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2007/07/12

北海道の日々

一度も行ったことがないので、北海道に行ってみたい。旭山動物園とモエレ沼公園。できれば、雪深い季節に。行きは寝台列車でゴトゴトと。

な~んて最近ちょっと本気で考えていたら、北海道が私を呼んでいるのか、北海道で発行されている「hibi.N」という雑誌を偶然見つけた。&‘sという雑貨と本を売っている店。北海道のミニコミ誌(全国紙ではないという意味で)がこんなところで?と驚いたが、店主さんが北海道に行った時に見つけて気に入り、仕入れたのだそうです(大阪では、他では紀伊国屋梅田店にしか置いていない)。

「北に暮らす私たちの日々」というコンセプトで、仕事も暮らしも大切にしたい3040代をターゲットに作られたというこの雑誌は、毎号特集があって、写真もオールカラーで、記事の数はそんなに多くないけど、小さい写真に写っている風景を見ているだけでも、遠い北国の空気を感じることができる。

広くて、澄んだ空気(イメージだけど)。


どこに行っても、面白い場所はあるし、面白い人もいる。自分の嗅覚を信じて匂いをたどっていけば、どこに住んでも自分の居場所は必ず見つかる。この雑誌を読んでいて、そんなことをふと思った。

北海道。いつか必ず行きます。

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2007/07/05

PR誌の魅力

この頃、出版社が発行しているPR誌を集めている。「ちくま」とか「」とか「本の話」というタイトルの、定価は一応あっても大きな書店では取り放題のあれである。

昔は、読んだらすぐに捨てていたのだが、ある時改めてじっと中身を見てみると、ここでしか読めない記事ー著者が自分の新刊について語っていたり、珍しい顔合わせの対談があったりーが載っていることに今更気がつき、何だか捨てるのがもったいなくなってしまったのである。

その時ならではの特別企画もあるしね。作っている方にも、雑誌や書籍ではできないことができるという解放感があるのか、内容に肩の力を抜いた遊び心が感じられて、なかなかどうして侮れない。

え?あの人がこんなところに何か書いているという発見もあるし、表紙も著名人が手がけていたりするし。

それにこういうPR誌って、残りにくい性質のものだけに、案外資料的価値があるんじゃないかと思うのだ。数年後に読み直すと、面白いかも。

というわけで、図書館にはあるけど、古本屋は扱わないであろうこのPR誌を、コツコツ集め始めた次第。

しかし、こうと決めたからには、網羅的に収集しないと気が済まないタイプの私は、出版社に問い合わせて、バックナンバーまでしらみつぶしに入手しかねない勢い。ああ、実はこうなるのが怖かった。まあ、買ったとしても100円くらいだからそれはよしとして、置く場所が…。

ヘタすりゃ、出版社の数だけあるPR誌。うう。もしかして、とんでもない分野に手を出したかもしれん。

しかも、1つの出版社が出しているPR誌には、数種類あることを最近発見。絵本だよ。絵本。今は「絵本」というジャンルが確立されているから、絵本専門のPR誌があるのだよ。

で、西原理恵子が、講談社の「dandan」という絵本専門PR誌から長いインタビューを受けたと知って、早速購入(といっても、切手200円分を送るだけ。送料無料)。これは書店には置いていないようだから、資料的価値としても貴重(←ついついこういう考え方をしてしまうのは、私が以前歴史を研究していたせいです)。

いいよ~。これ。オールカラーでバーバパパの迷路もついてるよ。ああ、バックナンバーも申し込まなきゃ!

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2007/04/11

草間弥生とキム・ギドク

私は雑誌(という形態)がものすごく好きなんだけど、実際に買うことはほとんどなくて、でもたまにムラムラして、いっぱい買ってしまうことがある。

Img064 そんな最近のムラムラ雑誌が、スタジオ・ボイス5月号別冊「Tokion トキオン・ジャパン」だ。

何しろ特集が、荒木経惟とキム・ギドクの対談だの、奈良美智+grfのベルリン・金沢の展覧会だの、草間弥生だの、こんなに3つも読みたい記事があったら、そりゃつい手元に置いておきたくなるというもの。

案外と安いし。

それにしても、草間弥生には笑わせてもらいました。

太田莉菜の対談コーナーに、「ファンです」ということでゲスト出演したのだが、「草間さんの詩が好きです」と言われて、自作の詩を朗読しはじめる草間弥生。切りのいいところで話題を変えようと思ったのか、莉菜が「私、宇宙にものすごく惹かれます」と口をはさんだのに無視し、今度は他の詩の朗読を始めちゃって、もう大変だ(光景が目に浮かぶ)。

サイコーですね。草間弥生。

その後弥生は、昔モデルやパフォーマンスをしていた頃の自分の写真を披露。「すごくおきれいですね」「60年代の太田莉菜ですね(←?)」という賛辞を贈る莉奈とカメラマンに、「ええ、そうです」と普通に返答するのであった。

草間弥生は自社ビルを作ったそうだが、それも水玉なんだろうか。彼女が、いつも目をまんまるく見開いて写真に写るのは、パフォーマンスなんだろうか。水玉みたいな目玉も作品か。
老いてますます謎と興味が深まる芸術家。太田莉菜との対談も、宇宙人と話をしているみたいで、およそ対談の体をなしていないのがまた味わいあり。

一方、映画「悪い男」でファンになったというアラーキーとキム・ギドクは、似た者同士。監督の新作「絶対の愛」を肴に、本質的なことをさらりと、またぐいぐいと語り合う。

キム・ギドクいわく、

「韓国の女性は、見た目が激しくて怖いけど、わかりやすい。でも日本の女性は、見た目はあたたかいけど、一回怒るととことん怖い」
「北野武には笑ってほしくない。笑うと怖い。世の中をあざ笑っているように見える」

だって。

そうですか?そうですね。

そういえば、キム・ギドクはその衝撃的な作風から、最初「韓国の北野武」と呼ばれていたような気がするけど、「韓国の大島渚」とも言われているそうで、でもご本人は「大島渚よりも、自分は今村昌平に親近感がわく」とのこと。いやいや、たけしにも大島にも今村にも、誰にも似てないってば。

それにしても「絶対の愛」という映画、今までにも増してすごそうだ。ファンとしては、期待が高まる。

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2007/04/05

もっと身近に豆を!

以前このブログで紹介したフリペ「散歩日和」を、作者kamoさんから送っていただいた。バックナンバーは在庫切れということだったけど、欲しかった「豆」の号が入手できて、嬉しい。

Mame1gif_1 ←クリックすると、拡大します。

これは、豆の力強さと美しさと控えめなところに惹かれるというkamoさんが、豆への愛をイラストと短い文章で綴ったカワイイ冊子。思っていたよりも小さいサイズで、私好みのA6判だ。


製本は、ミシンで縫っているのかな?この嬉しくなるような手作り感!

誰に頼まれたわけでもなく、「好き」「作りたい」という想いだけで、こうやって一つ一つ丁寧に作り続けているkamoさんの姿が、目に浮かびます。

この「散歩日和」を知ったきっかけは「フリペの楽しみ」という本だったけど、やっぱり実際に現物を見てみないと、そういうことはわからないものですね。Kamoさん、ありがとう。

Mame2_1 さて、その中身は、「空豆」や「小豆」など、いわば「豆」の代表選手たちが、デフォルメされたkamoさんのイラストで描かれ、そばにかわいらしいコメントがちょこっと載せられている。


Omame3_1

中でも、豆のデザイン性に惹かれる者の一人として、いろんな豆をビンに詰めて飾っておきたい!と私も思っているのだけど、「紙に貼って飾る」というアイデアは、うーん。初めて知りました。


Omame4_1
食べてもよし。眺めて愛でてもよし(なかなか腐らないしね)。

豆はかくも偉大なり。

これを読んで、ますます豆が愛おしくなりました。

興味のある方は、kamoさんのブログで申し込めば、送ってくださると思います。80円切手を送れば、今後最新号を届けてくれるそうですよ。


フリペの楽しみ―とっておきのフリーペーパーのつくりかた Book フリペの楽しみ―とっておきのフリーペーパーのつくりかた

著者:柳沢 小実
販売元:ピエ・ブックス
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2007/03/29

古本屋の女店主

本当は100円するのだが、でかい本屋ではタダで取り放題の出版社PR誌。その中でも私が気に入っているのが、筑摩書房の「ちくま」だ。

最近奈良美智(←最近ドキュメンタリー映画が公開!)が表紙を描いているせいか、油断するとすぐなくなってしまうこの「ちくま」。そこに連載されている岡崎武志「古本屋は女に向いた職業ー女性古書店主列伝」が、バツグンに面白い。

ここ数年、男社会である古書の世界に、若い女性の経営者がチラホラ出てくるようになり、彼女たちの文科系女子的な感性によって、古本に新鮮ないぶきが吹き込まれるようになったのは、ご存知の通り。

では一体彼女たちは、どのようないきさつで、古本業界に飛び込むことになったのだろう。

そこにスポットをあててインタビューをしたのが、この連載である。

それにしても、どの店主も個性的な古本屋を構えるだけあって、ここに行き着くまでの経歴が面白く、感心するやらビックリするやら。
しかし、どなたにもほぼ共通しているのは、残業の多かった会社勤めを辞め、何かに導かれるようにして「本と人の濃密な関係」に目覚め、「古本屋」という自分の居場所を見つけた、というところ。古本業は、「流れ流れて、ここにすっぽりおさまった」という感じなのだ。

中でも一番強烈なのが、「火星の庭」の店主前野久美子さん。1969年福島県生まれ。
小学生の時、お小遣いをもらえないので、自分で作った手芸品を売って、本代を稼いでいたというのも恐れ入ったが、大学受験で上京した時、下宿仲間と毎晩飲み歩いて、二日酔のまま試験会場へ行ったというのも、スケールがでかいというか刹那的というか。

もちろん受験には失敗。その後は調理師学校へ行き、それから「斜陽館」に住み込みで働いたり、六本木と(親に勘当されてまで)ドイツでコックをやったり…。

実はこれ、彼女がまだ10代の頃の話である。

しかし、そういう怒涛の人生が祟ったのか、帰国してから失語症に。ところが彼女は、その荒治療のため、ホステスになったという。

私には「やりたい」がなくて、「やる」と決めたらどんなことをしてでも「やる」んです。

と、前野さんはおっしゃった。それもこれも、多感な少女時代に金子光晴や太宰治の影響を強く受け、どうやら文学の毒が全身に回ってしまったせいのようだ。もともと無頼の気があったにせよ、くわばらくわばら。

でもだから、好きです。この人。

他にも、苔に夢中になっている「一人でいるのが好きな」店主など、毎回どんな人が登場するのか予測できないから、ワクワクする。

古本屋には、そこにしかない「色」があってほしいが、その「色」とはすなわち店主の「色」。その色を知ることのできるめずらしい連載ではないかなあと、私は思っている。

この連載が単行本になったら、絶対に買います。もちろん古本で。

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2007/03/27

フリペの活気

フリペが多い!しかも、「え?こんなのをタダでもらっちゃっていいの?」と思うような完成度の高いフリペが、いっぱいある!

都会に住むと、こういうことを痛感する。あと、一応有料になっている出版社広報誌(「波」とか「ちくま」とか)がタダだったり(以前通販で定期購読していた私っていったい…)。

思えば私も、ある時何かに突き動かされるようにして、「じぶんじゅうぶん」という個人新聞をしこしこ作っていた時期があったが、あれも実はフリペだったんだなあ。全部一人で企画・執筆・編集して、夜な夜なコンビニでコピーして、それを折って封筒に入れて投函して、収入にもならないどころか経費の方がかかるというのに、そんなことを月2回やっていた私。

たぶん80号以上は作ったんだけど、途中で生活環境が変わって忙しくなり、そのまま作らなくなってしまった。

でも今やこうしてブログを始め、それだけでは飽きたりずに、リトルプレスも制作中。やっぱり、冊子という形態が好き。いろいろなテーマがコラージュのように詰め込まれた個性のある雑誌を作りたい。そんな思いが、またフツフツと沸き起こっている今日この頃である(要するに、ヒマになったのかも)。

なので、柳沢小実「フリペの楽しみ」という本を店頭で見つけて、つい買ってしまった。この本は、同著者による「リトルプレスの楽しみ」と、対象がリトルプレス(有料ミニコミ)からフリーペーパー(無料ミニコミ)に変わっただけで、基本的なコンセプトは同じ。しかし今回は、「こけし通信」と「乙女ライフ」の発行人インタビューと、実際にフリペの作り方を指南した特別コーナーがある(そのフリペがオマケでついている)。

中身は、膨大なフリペの中から晴れて選ばれたフリペが、「暮らし」「まち発信」「カフェやお店」「誌上ギャラリー」「旅」「アート情報」というカテゴリーに分けられ、デザイン性もさることながら、イベントにあわせてのパンフという形であったり、個人的な冊子であったりと、単なる情報誌にとどまらない種類の豊富さに、自腹でこういうものを作り続けてしまうサガにシンパシーを感じつつ、フリペの世界も何だかすごいことになってきてるなあと、何だかしみじみとしてしまった。

HPやブログもいいけど、やっぱり「紙」という形態を愛する人は、21世紀になっても不滅なのね。

特に、デザイナーやライターを本業とする人の場合、「普段仕事ではできないような、自分たちの好きなことを好きなように発信したい!」という強い欲求があるようで、マーケティングやスポンサー、そして本屋に並べなければならない(形が決まっている)という制約から解き放たれ、自由にイキイキとモノ作りを楽しんでいる様子。ミニコミは作品なのだ。

個人的には、独特の切り口や手作り感のあるものが好きなので、字もイラストも全部手書きの「散歩日和」が気に入った。「板に鯛」という回文なタイトルのフリペも、粋で面白い。

こういうフリペを店頭で入手できない人には、送ってもらえることもあるようなので、興味があればお問い合わせを。フリペの検索サイトで、お気に入りを探すのもよし。

ところで、肝心の私のリトルプレス「kino」ですが、管見の限りでは、ジャンル的に拮抗しているフリペもリトルプレスもないようで、うーん。この様子ならいけるか?ああ、完成が待ち遠しい(デザインは私の管轄ではないので、現在待ちの状態なのです。あしからず)。

フリペの楽しみ―とっておきのフリーペーパーのつくりかた Book フリペの楽しみ―とっておきのフリーペーパーのつくりかた

著者:柳沢 小実
販売元:ピエ・ブックス
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2007/03/08

リトルプレスのおまけ

今制作中のリトルプレス「kino」には、おまけとして「栞」をつける予定だ。この栞は、空想映画館kinoの入場券をイメージしたデザインのもので、それを栞として使いたい人は、キリトリ線を切り取って使ってもらい、そうでない人はそのままで、という両刀遣いのような優れもの。

このアイデアを思いついた時、友人と私は、「おまけ」があると嬉しいよね~。遊び心とおトク感があってさ~とウキウキしたのだが、実は「おまけ」付のリトルプレスはすでに存在していた(後で知った)。なーんだ。考えることはみんな一緒だったのね。

例えば、パリでブックハンティングをする模様を綴った「grisーgris」は、栞とシールつき。「minibook Hana」の特集「きつねいろイマジネーション」では、ホットケーキの写真シールがついていた。他にも、ユニークなおまけとして、こんなものあり。

Little Mag」3号には、ポケットティッシュ&リトルマグ文庫「カミサマ」。これは、「紙へのラブレター」という特集にちなんだもの。「ユルリナ」3号には、アイスクリームのスプーンみたいな木のスプーン。三つ葉の焼印が押されていてカワイイ。これも、「スプーンひとさじの恋」というスプーン特集にちなんだもの。

仙台の店や人を紹介した「ふきながし」1号には、黄色い毛糸で編んだ小さいコサージュ。特集とは関係ないが、このコサージュの記事が載っているせいかな。また、かわしまよう子さんの「なまえのほん」には、なんと、小さい錠前とカギが表紙に貼ってある!内容との関連性は見出せないけど(何かメッセージがあるのかもしれないが)、大胆なアイデアなので、目を引く。どっちかというと、おまけというよりも表紙デザインの一環という感じ。

しかしこうしてみると、シールはそのまま冊子に貼ってしまうとしても、本体と離れているおまけは、保管場所に困るなあ。冊子とセットになっているからこそ、意味のあるおまけもあるわけだし。

ということは、「必要な人だけに使ってもらえる」という「kino」のおまけは、やっぱり素晴らしいアイデアだね!とまあ、できてもいないものを自画自賛する私であった。

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2007/02/27

ロングライフデザインとは?

この頃年間購読したくなるような雑誌がないなあと思っていたところ、ナガオカケンメイが編集している冊子「D」を見つけ、何冊か読んでみて気持ちがよかったので、つい定期購読を申し込んでしまった(http://web.d-department.jp/shop/index.html)。

ナガオカケンメイといえば、D&DEPARTMENTという会社を経営し、リサイクルとデザインを融合させたモノを作っているデザイナーである。最近出版された「ナガオカケンメイの考え」(アスペクト)は、書店で平積みされていて、ただいま注目度の高いケンメイさん。テレビ「トップランナー」で拝見した限りでは、朴訥としたしゃべりに妙な説得力のある静かな人でした。

この冊子「D」にも、ナガオカケンメイの「新しいことやものが次々現れては消えていく現代に、昔からあるものの中の意味について考え、見直して、生かしていきたい」という想いが込められている。最近このような考えを基に、以前のレトロブームとは別のレベルで、長い間受け継がれてきた生活スタイルや価値観を見直そうという動きが、だんだん増えてきたような気がする。それだけ、今の日本に違和感や危機感を抱いている人が多いってことだろうか。

で、この「D」だけど、「ロングライフデザイン」がテーマなので、モノの話だけでなく、「サンタクロースとは何か?」という記事も載っている。

グリーンランド国際サンタクロース協会から、アジア人初のサンタクロースに認定されたパラダイス山元。彼の取材を通して見えてくる日本のクリスマスのいびつさ。そして、サンタクロースが500年も存在し続けている理由について、ケンメイさんは考える。

中でも、「震災に遭った子どもにあげて」と、北欧の子どもたちから自分の大切なオモチャを預かってきたパラダイス山元が、それを渡した日本の子どもたちに「なんだ。ゲームソフトじゃないんだ。それにお古じゃないか」と文句を言われたというエピソードには、あまりの寂しさに私もガックリ。ケンメイさんが言うように、ケーキと鶏肉を食べて、ほしいプレゼントをもらうのがクリスマスだと思っている日本の子どもたち。でもそうしてしまったのは私たち大人だと思うと、何だか落ち込むなあ。サンタクロース山元は、クリスマスを家族で過ごすことの大切さを伝え、「サンタクロースにしかできないこと」をするために、世界中を飛び回っている。

他にも、子どもたちに料理を教える三國清三シェフの話や、ロングライフ文学としての本の紹介、「箸で食べる優雅さと機能性」を絶賛するドイツ人デザイナーペア・クラーセンのコラムなど、特にデザインに興味がなくても、興味深い記事あり。

ところで、全然関係ないけど、ナガオカケンメイとファッションデザイナー皆川明、顔が似てない?イメージ的によく混合してしまうのは、私だけ?

ナガオカケンメイの考え Book ナガオカケンメイの考え

著者:ナガオカ ケンメイ
販売元:アスペクト
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2007/02/25

和心のリトルプレス

最近、商業雑誌に負けず劣らないキレイなデザインのリトルプレスが、次々と登場している。そして中身も、商業雑誌に負けず劣らないというか、ミニコミなのにマスコミと似たようなことをやっているなあと思わないでもない内容(好きな店や雑貨や本を紹介しているタイプ)のものも多い。

そういう類のリトルプレスは、正直言って、何号も読んでいると飽きてくるのだけど(だって、どれも方向性が同じなんだもん)、そんな中、一つのテーマにきゅっと絞って作られているものがあると目につくし、やはり面白い。

まずは、「モジ便り」(http://www5.ocn.ne.jp/~moji/)。これは、日本語・英語・パソコン・手書きという枠を超え、純粋に「モジ」の面白さを伝えたくて発行したという冊子で、猿田彩さんという人が、一人で作っている。

第1号特集「モジと仕事」では、モジに関わる仕事を「書く」「売る」「デザインする」「教える」の4つにわけ、それぞれの分野で猿田さんが「いい」と思っている人たちにインタビュー。私が印象に残ったのは、「書きたがり」の国分佳代さん。お酒のラベルや店のロゴなど、幅広く活躍されているが、モジが視覚的にかもし出すメッセージの強さを、改めて感じてしまった。他にも、活版印刷の話など。モジの魅力にとりつかれている人って、たくさんいるんだなあ

もう1つは、「からころ」(http://d.hatena.ne.jp/wkudoh/)。「着物で散歩する時、カフェでのんびりしながら読める小さな本がほしい。そこに、大好きな着物のことが書いてあればなおいい」ということから、工藤和音さんという人が作った冊子。シネマ文字(映画字幕の文字)ライターの渋谷展子さんにわざわざお願いして、タイトル文字と目次を書いてもらったそうで、この人もモジが好き?

第1号特集は「きものが生まれるところ」ということで、着物の産地である新潟県十日市を取材。「糸をよる」「機で織る」「呉服屋で売る」という工程をたずね、そこで伝統を守りながら着物つくりに携わる人たちの話を聞いている。永井荷風の「日和下駄」の紹介もあり。

ん?こうしてみると、「モジ頼り」と共通点があるなあ。切り口も似ているけど、作り手が若い女性であることや、まだ一号しか出ていないところなど。どっちも好きだけど、強いて言うなら、「モジ便り」の方に注目している私。こういう内容の冊子って、今まであまりなかったと思うし、何よりも「一人で全部作っている」というところに好感が持てる。

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2007/02/18

ミニコミといえばリトルプレス

この前、東京のcow books(カウブックス)で、リトルプレスフェアをやっていた。うーむ。ついにここでもこんなことを。HPで見た限りでは、見たこともないオシャレなリトルプレスがあって、リトルプレスの種類はどこまで増えていくんだろうと思った

ところで、今では本屋でも入手可能となりつつあるリトルプレスだが、マニアっぽいものからオシャレなものまで、多種多様。中には一見似たような作りも多いけど、そこにぎゅうっと込められた「想い」に触れるだけでも、勇気づけられる。私が好きなリトルプレスは、自分の住んでいる土地や、何か1つのテーマにこだわっているもの。店や雑貨の紹介よりも、イベントや人のインタビューが載っているのがよい。

そんな中、最近「おいおい」と思ったのが、「Billetビエ」という冊子だ。これは、神戸のトリトンカフェが経営するオンラインショップ(http://www.billet.jp/)とリンクしたリトルプレスだが、モデルが着ている服(自分んとこの商品)の値段が載っていて、何だかなあ。ショップとリンクしているとはいえ、こういうカタログぽいところは、興ざめだ。

実は私、1年ほど前に、フリーライター&編集者山村光春さんの「リトルプレス講座」を受講したことがある。そこで彼が力説していたのは、「誰かに届けたいパーソナルな強い想い」があるのがリトルプレスであり、そこにリトルプレスの存在意義があるということ。だからリトルプレスというのは、単に「ミニコミ」という出版形態を指す概念ではないということになる。

じゃあ、人気のあるリトルプレスってどんなの?とお思いのあなたには、とりあえず、柳沢小実「リトルプレスの楽しみ」(ピエ・ブックス)をどうぞ。最近話題になっている若い女性向け?リトルプレスは、これで一応網羅できる。作り手の情報(資金・本業など)も載っているので、これからリトルプレスを作りたいという人には参考になるだろう。

あとは、南陀楼綾繁「ミニコミ魂」(晶文社)。こっちは「魂」っていうくらいだから、「楽しみ」よりかは濃くて熱くて厚く、読み応え十分。それから、貸本喫茶ちょうちょぼっこ(http://www.geocities.co.jp/chochobocko/)とタコシェ(http://www.tacoche.com/)がコラボして作った「ボブ」が、ミニコミ特集をしている。何しろ、この冊子そのものがリトルプレスだし、幅広いジャンルのリトルプレスを一望でき、作り方も手作り感ありまくり。それにしても、ここに紹介されているリトルプレスの数とディープさには、圧倒されてしまう。

リトルプレスを愛する人々。売れなくても作り続ける人々。売れなくても売り続ける人。リトルプレスの世界はこうなっとるのか、と感極まれり。私が個人的に好いているリトルプレスは、追々ここで紹介していこうと思っている。実は私も作ってみたいんだけどねーっ。

リトルプレスの楽しみ Book リトルプレスの楽しみ

著者:柳沢 小実
販売元:ピエ・ブックス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ミニコミ魂 Book ミニコミ魂

著者:南陀楼 綾繁
販売元:晶文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2007/02/10

大阪発の注目雑誌

最近「ロハス」だの「ていねいに暮らす」だの、似たようなテーマで似たような人と似たような写真が載っている似たような雑誌が、わんさか書店に並ぶようになった。

かく言う私も、ここ数年「クウネル」と「アルネ」を定期購読しているのだけど、以前この二冊は通販でしか入手できなかった。それが今では、普通に書店で見かけるんだから、それだけ需要が高まったんだなあと思い、それはそれでまあ喜ばしいことではあるけど、でも何だかなあ。自分の好きだった世界が、流行モノという流れの中に組み込まれてしまったような気もして、ちょっと面白くない今日この頃。

そんな中、それらと一見同じ仲間のように見えて、実はやっていることがちょっと違う面白い雑誌がある。「OSOTO(おそと)」と「Re:S(りす)」という雑誌だ。

OSOTO」(http://www.opus-school.com/osoto/index.html)は、“おそと”で過ごすライフスタイルペーパーとして、おそとの楽しみを小さなことから伝えている。おそとでご飯を食べたり本を読んだりするのが大好きな私には、「まってましたっ!」という本。雨の日でも寒い日でも、おそとの楽しみ方はあるし、人によってそれもさまざま。なんとこの本には、海外の“おそと”ライフも紹介。

Re:S」(http://www.re-s.jp/main.html)は、「あたらしいふつう」について、みんなで考えていこうという雑誌。マイ水筒にお茶やコーヒーを淹れてくれる店を募集したり、フィルムカメラやワープロを見直したりと、ただ提案するだけでないところがミソだ。最新号の特集「物々交換」では、リュックサックマーケット(http://www.parkediting.com/rucksack/index.html)というステキなイベントを紹介。お金を介さず、モノとモノ、モノと時間などを交換することで見えてくる人と人、思いと思いのつながり。ただいま大阪で、「Re:S」関連の写真展開催中(http://www.re-s.jp/index.php?e=1)。

偶然にも、この雑誌はどちらも大阪で作られている。そのせいか、私は大阪がちょっと好きになった(いや、べつにそれまで嫌いだったとゆーわけではなく)。スピードと新しさを競う現代に、自分だけの、自分らしい「ふつう」を大切にしていこうという気持ちになってホッとする雑誌。誰かの好きなものやライフスタイルを紹介するだけの雑誌とは、根本的に目指す場所が違います。

たぶん全国的にはあまり知られていないと思うけど、どちらも入手可能。ぜひこの雑誌で、新しい出会いを見つけてください。

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2007/02/02

表現すること=生きること

まだ行ったことがないのに大好きな場所。そこは、大阪市にある図書喫茶ダーチャ。そこには、まだ会ったことはないけど、私と気の合う大好きな人たちがいる。絶対!

私がそんなことを確信したのは、「brut(ブリュット)」という雑誌を読んだから(いや、実はその前からダーチャが気になっていたんだけど、これでますます!)。障害のある人たちの表現とそこに関わる人たちについて、またその場所について特集された「brut」00号には、「日本発」というキャッチコピー?がついているが、「日本初」でもある。すごい。こんな雑誌を私は待っていた。

で、この雑誌の編集部が、ダーチャにあるのでした。

アール・ブリュット。アウトサイダー・アート。いろんな呼称があって、どれも厳密には違うのかもしれないけど、「生のまま」から生まれ出る表現という意味では同じだろう。私は以前「まひるのほし」というドキュメンタリー映画を見て、障害を持つ人たちの絵にショックを受けたことがある。中でも印象に残っているのは、雑誌の広告写真を見ながら、全然違う絵を描いていた女性。だって、どこにでもあるようなモデルの写真を見て、拡大された時計を描いたりするのだよ(ウロ覚えだけど)。

彼らの目にはどんな風景が映っているのだろう?想像もつかない。うらやましい。

もともと私は、「フォーク・アート」が好きだった。これは、アカデミー教育を受けていないフツーの人々が創り出す作品のことで、昔は「素朴派」という言い方もあった(モーゼスおばさんなど)。富や名声のためでなく、ただ描かずにはいられない人たち。作らずにはいられない人たち。そこには、「芸術」というものの原初的な衝動がある。彼らの、意表を突くほど大胆にデフォルメされた作風が好きだ。

brut」には、彼らの作品を手元に置いているクリエーターが登場し、「これを見ていると、ものをつくることが好きだという気持ちを思い出す」と話していた。なんだかわかるなあ。いくら好きなことを仕事にしていても、好きなだけじゃやっていけないし、さまざまな意図も関わってくる。でも日々の中で、少しでも「表現することが生きることに直結している」瞬間がほしい。いや、作らねば。いつも感性OFFの仮死状態で仕事をしている私も、彼らの作品を改めて見て、そう思った。

最近、アール・ブリュットの聖人と呼ばれるニキフォルのドキュメンタリー映画「ニキフォル」が公開された(公式サイトhttp://www.nikifor-movie.com/)。言語障害があるため、意思を伝える手段として絵を描き始めたポーランド人。こんな風に、もっともっと彼らのような存在が発掘されてほしい。

  ダーチャのブログはコチラ→http://dachadacha.exblog.jp/

  雑誌「brut」のHPはコチラ→http://www.brut-magazine.com/

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2007/01/23

クールな日本

「BRUTUS」最新号が、世界で注目されるクール・ジャパン特集だった。私の読書タイムは通勤電車の中なのだけど、このまま仕事をさぼって終点まで行ってしまいそうになるほど、面白かった。

誰かが「美しい国」と言って教育基本法を改悪したが、今世界で通用しているのは、「美しい日本」ではなく「クールなニッポン」。

「カワイイ」がもはやフランス語になっているという話は知っていたけど、より強いパワーのあるキーワードは「クール」らしい。そういえばテレビで、人間が前に立つと自動で上がる便座を見た白人が、「超クール!」と叫んでいたっけ。

N.Y.のニンジャレストラン(「GOMEN!」と料理をもってくる)。タイにあるメイド喫茶「アキバ」(家族連れの客でにぎわう)。イギリスのカプセルホテル(むちゃくちゃカッコイイ)。リオの海岸で指圧マッサージ(ブラジル人も肩こり多し)。イタリアの禅寺(精進料理は野菜パスタ)。ロシアの100均ストア(お年寄りに大人気)。

笑ったのは、どこかの寿司バーの大皿小皿に、それぞれ「愛」と「和」という墨文字が書いてあったこと。できれば、「愛」と「誠」にしてほしかったです。

しかし、改めて「世界のニッポン・カルチャー」をまとめて見せられると、なんだかすごいことになっているなあと思う。ある国では、日本人とお友達というだけでステイタスになるそうで、アメリカやパリに憧れていた昔の日本みたい。

日本にとっても、世界から「経済大国」としか呼ばれていなかった頃より、ずっといいに決まってる。日本がこうして、自国の伝統や文化で自信を取り戻しつつあるのなら、けっこうけっこう。

でも結局、こんな風に「外」から認められてやっと自分たちで再認識するところが、日本だよね。この前までマンガやアニメやオタクをバカにしていたくせに、急に「世界に誇るカルチャー」とかいっちゃって、良さもわかんないまま、金儲けに利用している輩も多いに違いない。

ともあれ、英語を必死に覚えてすり寄っていかなくても、日本の優れたワザを持っていれば、向こうから近づいてきてくれる時代がきた!

ああ、私もマンガ家になればよかった。いや、折り紙作家でも書道家でもいい。大学時代にやっていた三味線、今から極めようかな(ウソ)。

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